蒲田行進曲 (角川文庫 緑 422-7)

  • KADOKAWA
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感想 : 47
  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041422076

感想・レビュー・書評

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  • Kohei Suka one of Japan's most influential theater figures, to the extent that recent Japanese theatrical history has been divided into pre-Tsuka and post-Tsuka periods.

  • 初めて読んだのは、映画を観たあと。
    映画のシーンと重ねながら、読んだはず。
    原作だけに、つかこうへいの毒に直に触れた気がした。
    銀ちゃん、ヤス、小夏の三角関係は、鮮烈な原体験となった。
    ひけめの美学、前向きのマゾヒズム。
    当時、好きな女の子に、あえて告白しないこと、その口実にこれが前向きのマゾヒズムだと誤読して、友人を呆れさせたのも若気のいい思い出だと思えるほど、歳を食った。
    かれこれ、40年ほど前の話。
    それから何度も読み返していたが、今回30年ほどぶりに読み返す。

    確かに、歴史的なことがらも含まれているし、現在では注釈が必要な名詞も散見される。
    だが、この小説の根深さは、現在の日本社会構造の歪さを今も照射していると感じる。
    つまり、日本特有の共同体のありようは、時間の経過によって消失するような、底の浅いものではないと思う。だからこそ、銀ちゃん、ヤス、小夏によって描かれる関係性は、言わば、日本社会の元型として、今も、読み手へインパクトを与える。
    つかこうへいは、舞台を小説にする際、『銀ちゃんのこと』というタイトルへ変更している。そのタイトルは、出版される際、『蒲田行進曲』へ戻されているが、むしろ、『銀ちゃんのこと』という原題からこそ、つかこうへいの企みを読み取るべきだ。ヤスのはなし、小夏のはなしとしてしか、語られえない存在としての銀ちゃん。銀ちゃんとは、銀ちゃんのこととして語られる以外にない。つまり、読み手にとって銀ちゃんの実像は知りえない。前向きのマゾヒズムという、つかこうへいの哲学を背負うのは銀ちゃんである。前向きのマゾヒズムを担う登場人物は、『ヒモのはなし』の重蔵がいる。重蔵と銀ちゃんの違いは、それぞれの小説の語りの構造の違いによる。この語りの構造は、登場人物の関係性を反映している。『ヒモのはなし』では、重蔵と明美の関係にフォーカスされていて、第3の男性は不特定だが、『蒲田行進曲』では、この不特定人物がヤスに結晶化され、銀ちゃん=ヤス、ヤス=小夏の関係が銀ちゃん=小夏と同等の緊密さをもっている。この不特定人物の結晶化は、舞台制作の過程の事情が大きく影響しているのだろう。長谷川康夫を軸に当初、劇作が行われていたことが『ヒモのはなし』から『蒲田行進曲』への移行において決定的に重要だ。これによって、銀ちゃんは、重蔵のような、自らを語りうる存在ではなくなってしまった。そして、語られる存在とされたことによって、その不在を明かすことになる。

  • 映画は見たことがなく、会社の隣に座る課長さんが貸してくれたので読んだ。
    特に興味もなかった。

    最初から苦手な登場人物ばかりだなぁと思ったが、最後まで苦手なまま読み終わってしまった(^_^;)

    薄っぺらい本なのに時間がかかってしまったのは、気持ちが掴まれなかったからかなぁ?

  • 浦野所有

    万年端役の大部屋俳優ヤスが、憧れの映画俳優・銀ちゃん(銀四郎)から、銀ちゃんの子を身ごもった女優の小夏を押しつけられるという、とんでもない三角関係のお話。ジャイアン的な銀ちゃんが憎めなくていいですね! 友情と恋情をてんびんにかけるとどうなるか、っていうのがテーマなのかなぁ。(読み方が甘くてすみません……)
    ま、テーマはともかく、つか氏の情熱が行間からあふれんばかりの勢いに満ちあふれています。ぜひ読んで!

    「なにが哀愁よ。どうせ顔なんか映っちゃいないんでしょ」
    「映る映らないは関係ないんですよ。いい映画ができりゃいいんですから」
    「いい映画ができるったって、映ってなきゃあしょうがないでしょ」
    (文庫104ページより)

    生きがいって人それぞれ違いますよね。生きることについて、しみじみと考えさせられる作品でもありました。

    劇作家のつか氏だけに、本文はセリフ中心で戯曲のよう。早い人は2時間かからずに読めると思いますよ。

  • 映画を見た後に購入。
    おもしろかったです。

  • 映画や芝居で有名である
    軽快な蒲田行進曲が頭に浮かんでくるほど

    大好きな<銀ちゃん>こと俳優銀四郎にいびられ可愛がられ
    銀ちゃんが妊娠させた元スター女優小夏を押し付けられ結婚した
    <ヤス>ことしがない大部屋の哀しきピエロの苦しみ

    原作を初めて読んで映画と違い
    前半はヤスの独白、後半は小夏の独白
    さすが直木賞文学、軽快なテンポでたたみかけるようなすこぶるSMで
    堪能してしまったのだが(アレ、アレ

    前回読んだ、幸田露伴『五重塔』と、この、つかこうへい『蒲田行進曲』変な取り合わせかもしれない

    でも、たまたま2冊を続けて読んだら
    似ても似つかない2冊なのに
    「サドマゾの世界がおんなじだ」と思ったのが印象的


    偶然に読み継いでしまっただけなのに大発見であった

  • 直木賞、解説:扇田昭彦

  • 映画版が深作欣二作品と言われる所以が分かった。
    話の骨子、登場人物の心理は一緒でも演出方法がまるで違う。

    「銀ちゃんが行く」で描かれたヤスと小夏のその後なんて、現実的で切ない。

  • 人情ものってやつはどうしてこう、辟易するのか。こんな押しつけがましい不器用な人情は、百害あって一利なしだろう。でも、最後にどうしてこうも胸が苦しいのか。

     しかし、合理的に見てしまえば、不合理の塊である銀ちゃんとかヤスの人情はクソなんだろうけれど、みんながみんな合理的になれるもんじゃないってところが、人間なんだよなぁ。だからこういう物語にもリアリティがあるんだよなぁ。

     不器用にしか生きれない可哀そうな人たちの小汚い物語を見ることで、我々読者は自分たちのきれいな生活に安堵し、不条理の少ない自分の人生に彩を感じるのだろう。

     見下しているんだ。銀ちゃんを、ヤスを、小夏を…
     ここに人間の弱さを感じる。読んでいる自分の弱さを感じる。自分よりも低い人種がいることに安心している自分の弱さに、ざわざわする。そして最後、見下していたヤスにすべてを持っていかれる。ひっくり返される。下賤な輩と思っていたやつが、覚悟を見せて高貴なものへと昇華していきやがった。変な焦りが、読者の心にやけどをつける。

     こういうところ、劇作家の妙技である。

  • ヤス、小夏、銀ちゃんの三角関係のお話。スタントマンのヤス、有名役者の銀ちゃん、元女優の小夏。テンポが良くて読みやすい。キャラも分かりやすい。
    ヤスの疑い深い性格がなければ良いのにね。身体を張ったヤスはカッコイイ‼︎

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著者プロフィール

1948年、福岡県生まれ。劇作家、演出家、小説家。大学時代から演劇活動をはじめ、73年『熱海殺人事件』で岸田國士戯曲賞を当時最年少の25歳で受賞。70年代演劇界に一大旋風をおこす。82年『蒲田行進曲』で直木賞受賞。現在も国内外で活発な劇作・演出活動を続ける。

「2018年 『小説 熱海殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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