- Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041422434
感想・レビュー・書評
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熱い情熱で、私も飛龍を投げてみたい。
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解説:武蔵野次郎
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学生運動を見世物としてパロディ化する視線は、いつごろからあったのだろう。
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思い出の一冊。
あれは神戸空港でのこと。
当時仕事が忙しく、十分な荷づくりの時間もなく仕事のかばんそのままに、空港に飛び込んだ。
検査員の方、「何か申告すべきもの、機内に持ち込めないものお持ちですか?」
答えて曰く、「ありません。」だって、注意すべきはライターぐらいだし、さっき一個ちゃんとまだ使えるのに検査場前のボックスに捨てたし。
楽勝と思い、通り抜けようとすると、「お待ちください。」の一言。そこで気がついた。「やばいっ。」
なぜならその時初めて気がついたのです。明らかに不審な所持品のリストを。
それは、捨てなきゃと集めてた100円ライターが7個。それに、赤と黒の使い古したボールペンがおよそ10本。普通の人は持ってないものばかり。
時は、911直後。爆発物には敏感なご時世。明らかに怪しい。
しかも、そのとき持っていた書籍も、内容はともかく、タイトルがポリシーを感じさせます。
まずは、職場の先輩から処分を頼まれた雑誌、『皇室』。
そして持っていた小説が、このつかこうへい作、『初級革命講座飛龍伝』でした。おしまい。 -
革命ネタが好きな私としてはサイコーに笑わせていただいた一冊です。
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角川文庫60周年の記念イベントとして、人気作家さんが月替わりで「編集長」としてお気に入りを5冊ほどセレクトする企画が行われています。この本は8月担当、重松清編集長のセレクトから。
つか作品はコドモの頃に映画『蒲田行進曲』にガツンとやられ(本当はエンディングが原作と違う)、その後演劇での再演が増えた頃にガンガン観に行っていました。この『飛龍伝』は残念ながら観ていないので、早速手に取りました。
ストーリーは伝説のリーサル・ウェポン「飛龍」を操る主人公(微妙にヘタレた過去を持つ)を中心に、若かりし頃の学生運動を引きずる中年の闘士たちがもうスラップスティックにどたばた。デモ隊との衝突で再起不能となった機動隊員の療養施設に「全学連ショー」で慰問って…デモ隊と機動隊の激突ガチンコ生中継ショーとか、もうめちゃくちゃで笑うしかないです。本気で学生運動やってた人が読んだら怒るかも…とちょっとだけ思います(笑)が、台詞の運びは緩急自在で見事。ラストの主人公の長台詞はつか作品のお約束で、ここまでのどたばたを力技でまとめてしまうようでもありながら、大人物ではない人間の面白哀しさを描いていて、思わずしんみりさせられてしまいます(劇場では毎作品号泣者続出でスタンディング・オベーションへなだれ込む:笑)。
『熱海殺人事件』のどたばたっぷりと共通しているなと思いながら読んでいると、同時代の執筆だということで納得。本で読んでもいいですが、やっぱり劇場でね!と思うのでこの☆の数です。
著者プロフィール
つかこうへいの作品





