キリオン・スレイの生活と推理 改版 (角川文庫 REVIVAL COLLECTION つ 2-1)
- KADOKAWA (1996年10月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041425039
感想・レビュー・書評
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“鬼才”と呼ばれた都筑道夫氏は、雑誌編集者、翻訳家を経て推理作家デビュー。
本書の初出は1972年なので、およそ50年前の作品。1970年代当時の推理小説ブームの中、推理小説と銘打ちながら、推理小説としての味わいを持たない作品が多かったという。そんな時代に「トリックよりロジック」を強調し「名探偵復活を提唱」した著者の功績は偉大だ。
本書はアメリカからやってきた怠惰な詩人キリオン・スレイを探偵にすえた本格ミステリ短編集。表紙絵及び意匠はイラストレーターの山藤章二氏によるもので、探偵名Quillionはフランス語で“剣のつか”を意味することから、各編のタイトルページは剣が抜かれるデザインになっていてとてもオシャレ。全編「なぜ〇〇〇〇のか」というタイトルで、ホワイダニット(ロジック)へのこだわりが見受けられる。中でも「なぜ完璧のアリバイを容疑者は否定したのか」は魅力的な謎、その状況が生じた論理性、意外性いずれも良かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ミステリ短編集。かなり奇妙で魅力的な謎がいっぱいです。正直、あまりに奇想天外すぎて、こんなトリック解決できるの?と思うほど。……って、実は単なる虚偽の証言で、トリックではないパターンが多いのですが。それでもなぜそのような嘘をついたか、という謎はきちんと解かれるので。がっかりはさせられませんでした。
お気に入りは「なぜ完璧のアリバイを容疑者は否定したのか」。ミステリとしてはこれ、一番不可解な謎ですもんね。 -
日本にやってきた前衛詩人キリオン・スレイが探偵役のミステリー短編集。タイトルが「なぜ自殺に見せかける犯罪を他殺にしたのか?」等、矛盾を含んだ謎で統一されており、ってコレって、タイトルだけでミステリーのつかみとしては50%くらい成功しているんじゃないでしょうか? 解説も興味深い。とりあえず私は都筑道夫氏のミステリー論『黄色い部屋はいかに改装されたか』を図書館で借りるよう予約しました。おお、面白そうじゃん!
因みに本書では、「なぜ完璧なアリバイを被害者は否定したのか」が一番好き。(出だしのシーンが好きなのは「なぜ殺人現場が死体もろとも消失したのか」)←楽しい。 -
図書館で。シンジンソウに出てきた作家さん、知らないなぁと思って借りてみました。最初に出てきた女子大生はレギュラーじゃないんだ。
なんとなくですが、バブルぐらい?にジュリアナだかクラブだかが流行っていた時代の作品なのかなぁなんて思いました。なんというか、生活だけでなく日々の暮らしに余裕がありそうな感じとかが。
殺人事件の解決とか、アリバイ作りとかはソウナンダーぐらいで読んでしまいましたが。こういうアイディアを考えるのって大変そうだなぁなんて思ったり。 -
まぁ…無理やりの推理て感じもしますけどね。
キリオンさんのキャラが、意外と普通だよね。
1話目の明子さんが嫌すぎる。 -
必読書。
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アメリカ人の詩人キリオン・スレイとキリオンを居候させている青山富雄が事件を解いていく連作の推理小説。興味のままに事件に顔を出してしまうキリオンとそれを少し呆れながらも楽しんでいる富雄の掛け合いが面白いです。
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論理的な推理小説を書かせたら右に出るものはなかなかいないね。それに軽妙な会話と魅力的な謎。これが凄くまとまってる感じ。もっとも素晴らしいのはこの薄さ。変な衒学趣味とかが全くなく、ストレートな推理短編になってる。よかった。