あゝ野麦峠 ある製糸工女哀史 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川学芸出版
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レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (418ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041433010

感想・レビュー・書評

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  • 冷静な筆致で書かれていて、面白かった。
    悲惨なんだけど、お涙頂戴ではなくて、女工哀史のイメージと違う読後感。
    最初の25ページで泣いたけど。
    また他の作品も読みたい。

  • 正確な表題は『あゝ野麦峠 -ある製糸工女哀史-』
    (1968)

    山本氏の主張には共感できる。
    製糸女工史を、単なる哀しい出来事として記憶してはならない。確かに、女工の中には辛い思いをした方もあっただろう。しかし、彼女達のその経験を悲惨な昔話として捉えてはいけない。むしろ、未来に対する重要な教訓として、彼女達の汗と涙に溢れる経験は積極的に語り継がれて行くべきだ。それこそが、当時を生きた女工さん達の努力を無駄にさせないための、私たちのやるべきことである。

  • 悲しい。でも約100年前の工女さんたちが今の日本の基盤を支えてくれたのだなぁとありがたく思う。
    外部から見たら悲惨な環境に見えても、当事者たちは意外とそうは思っていなく、むしろ感謝しているフシもあるという点は、現代のサラリーマン生活にも似たようなものを感じる。(当時に比べて現代は格段に恵まれているが。。。)

    現在の新興国からのニュースでも、本書と似たような状況が報じられている。近代化するのに通らなくてはならない道なのだろうか。

  • 歴史の証言という意味では名作だろうが、純粋にノンフィクションとしてみた場合にはお世辞にも美文とは言えない、この辺が昔の社会科学およびその周辺の書籍の最大の欠点。
    産業勃興時の弱者の惨状は産業革命時のイギリス然り、資本主義の本質が如実に表れているのだろう。昨今のアジアでの労働争議の本質も基本的には同じで歴史は繰り返されているように思われる次第。

  • 雪と氷の峠を越えて生糸紡ぎに励んだ女工哀歌。壮絶な生き様が描かれるが、明治大正の飛騨の娘たちにとっては生きるための必然だった。現代で言えば残業過多のサラリーマンか、あるいは日本人のために魚の骨をとるアジア諸国の女工さんか、はたまたミニカー組立の。。。

  • 「ああ、飛騨が見える……」
    故郷を前に野麦峠で死んだ若き製糸工女みね。富国強兵政策に押しつぶされていった無数の娘たちの哀しい青春を描く、戦後ノンフィクションの名作。

  • 映画化もされ女工哀史の代名詞となつた『あゝ野麦峠』。「アー、飛騨が見える、飛騨が見える」と口にして息を引き取つた女工・政井みねが有名になりました。
    著者は数百人に及ぶ元女工に取材し、本書を世に問ふたのであります。
    明治の文明開化を支へたのは、劣悪な労働条件に耐へたかういふ女性たちでした。

    ではこれら製糸工場の親方たちは、女工たちをアゴでこき使ひ、自分は涼しい顔で楽をしてゐたのでせうか。どうやらさうではなく、親方も自ら水車を回すなどして、労使ともに額に汗してゐたやうです。
    製糸工場の運営の実情はまことに心細く、女工たちの待遇が悪いのも「無い袖は触れない」といふのが正確なところみたいです。
    世の中のどこかにシワ寄せが行かないと、あの驚異的な国力増強は無理だつたのでせう。昭和戦後の高度経済成長も、終身雇用を前提とした会社に忠誠を誓ふモーレツ社員が主流だつたからですね。無責任男なんてとんでもない! 滅私奉公。

    さらに意外な話。著者による糸ひきの後日調査の結果を見ると、必ずしも女工さんたちは悪い思ひ出ばかりではないみたいです。
    出される食事は「うまい」が大多数、労働も「苦しい」よりも「楽」を選んだ人が多く、賃金についても「高い」と評価してゐます。総括は「行ってよかった」が圧倒的でした。
    しかし体調が悪くても働かされるとして、病気については「冷遇」が多いとか。

    日常の労働よりも、冬の野麦峠の往復が辛かつたやうです。何しろ熟練の荷受家業の男でも遭難することがある危険な道程。女工たちは一年の給金を故郷の父母に届けるために、命がけで野麦峠を渡るのでした。涙。
    間違ひなく当時の日本経済を支へた女性たち。わたしらもその恩恵を受けてゐると思へば感謝であります...

    http://ameblo.jp/genjigawa/entry-11144334453.html

  • 社会の教科書に出てきた富岡製糸場。

    産業発展の象徴のように語られていたが、飛躍的に発展を続けた製糸業の裏にあった悲惨な事実が本書に込められている。

  • 中学1年の時に読んだ所為か、記録のように淡々と書かれていたせいなのか、あまり悲劇性を感じなかった分、なにか頭に引っかかる一冊。私の中のこの時代に対するイメージは、この一冊がベースとなっているといいかもしれない。

  • 持たざる日本が外貨を稼ぐにはここまでしなくてはならなかったのか、と改めて。女工哀史は小学校の社会科で初めて知ったが、富岡製糸場を実際見たのはつい最近。峠を越えるという言葉を実感出来る話だった。

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