氷点(下) (角川文庫 み 5-4)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041437049

感想・レビュー・書評

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  • 陽子ちゃんはいい子だ。
    澄んでいてけがれがなく美しく賢い。
    本人には何も落ち度がないところ、それでいてお金に困るところ、そして周りの人をあてにできなく孤立していくところ、その境遇がどことなくザリガニの鳴くところを思い出しました。
    美しく、才能があり、賢い、それでいて認められるべき人に認められない、社会からも孤立してしまう。
    いい人だからこそ、本当に悲しい。

  • 三浦綾子のラストまでの持っていき方のエネルギー涙

    スッキリ

  • 人間の自己愛の深さが如実に描かれている作品。愛、家族のもろさゆえの儚さが印象的です。

  • 心根の優しい陽子ちゃん。
    穢れのない美しさと優しさはなぜかこちらが不安になるほどだ。
    「原罪」がテーマだそうだが、私は隠しテーマとして「愛」があるのではないかと感じる。真の愛とは、憎しみや悲しみを心に秘めて決して表に出さずに笑顔を保ち続けた陽子ちゃんの生き様だ。

  • 考えさせれる

  • とくに下巻では夏枝の暴走があまりにひどくて、憎らしくなってしまいます。
    これほど異常な嫌悪感を持つのは、もしかしたら自分の中にも似たものがある気がするからかもしれません。女性なら大抵の人が少しは近親憎悪的なものを感じるのではないでしょうか。でも夏枝ひどすぎ…いろんな意味で。

    「原罪」について書きたかったと筆者は言ったそうです。それは「塩狩峠」のように涙を流すことはないけれど、救いが見えない重たいテーマだと思いました。
    陽子という、「自分は正しく純真である」ということだけをよすがにして生きている少女が、自分のあずかり知らぬところですでに罪はおかされていたと知り、そしてその罪を自分の内に見出す。これはアダムとイヴがリンゴを盗んだという、あずかり知らぬ遠い昔の人間の罪が、現在の我々のあらゆる苦悩の始まりだとするキリスト教的な考え方と一致します。完全な正義、純真は、人間である限りあり得ないのだ、とわかった彼女に救いはあるのでしょうか。続編のテーマは「ゆるし」だそうです。近く続編も読もうと思います。

    ところで、文中に太宰の『斜陽』を引く場面があるのですが、かず子のセリフが違っています。私は、『斜陽』のこの台詞の出てくるやり取りが好きなので、ちょっと残念に思ったのですが…もしかしたら、オリジナルの台詞(「他の生き物には絶対に無くて、人間にだけあるもの」)は、「原罪」に深く関わってくる問題だからかもしれない、と思い当りました。だから、陽子にそのままを言わせなかったのかなと思います。

  • 名作の誉れ高い小説である。長らく一度読んでみたいと思いながらようやく読めた。
    著者はクリスチャンでもあると聞いていたから、哲学的で崇高な思いを呼ぶ小説かと思いきや、まるで大映ドラマのような、次から次へと強烈な出来事が起こるお話だった。
    夏枝の描かれ方のひどさにびっくり。陽子は申し分なく完璧すぎるほど完璧に描かれていてその対比なのかもしれないけど、同じ穴のムジナともいうべき夫の啓造に比して男尊女卑的も思えるほど愚かに描かれる。これが時代のせいなのか。
    あわせて、完璧な陽子をしてそう思うものなのかと思ったのが、陽子が自身が殺人者の娘であることを知り、罪を背負った意識に深く苛まれたということ。陽子のような賢い人であれば、親は親、自分は自分と考えそうなものだけど、そうはいかなかった。これもまた時代の空気なのか。悪しき家族主義とでもいうもの。結局、陽子は殺人者の娘ではなかったんだけど、それもまた、作者のなかに罪人の子どもは罪を背負うものという意識があったからではなかろうか。

  • 陽子以外のどの人間にも共通して言えることだが感情の波が激しすぎる上にこってり目の心内描写で憎悪や歪んだ愛が描かれていく様が少々胃もたれした、、、。何度も映像化されているとのことで映画やドラマの形の方がアクが抜けて、受け入れられやすい気がした。
    逆に言えばそんな癖モノたちに囲まれてもなお、決然と生き続けた陽子の姿は美しく、結末の遺書の部分は感情を堪えながら読み進めた。自分が犯した罪ではなく、自分の出生に刻み込まれた原罪からくる呵責によって自殺する。
    自殺はキリスト教においては罪とされているにせよ、陽子が自分の出自を知ってしまった上でその後も夏枝や啓造と暮らしていったであろうことを思うと死が「すくい」になることさえあるのだろう。

  • 心の内がつぶさに描写され、人一人の人生の奥行きと重みが否応なしにのしかかってくる。悲しみや寂しさ、醜い悪意と自己愛。重苦しくても読むのをやめられずどんどん没入していった。
    読後、言葉も涙も次々溢れてくる。
    どんな人間にも後ろ暗い感情の一つや二つ、あるものだと思う。聖書の教えを元に自問自答する啓造が、教会に行かずともその役割をほとんど果たしているのではないかとか思えた。
    愚かだが愛すべき人間が何を選択しどう生きるのか、心に訴えかけてくるものがあった。

  • 評価は5(++)

    内容(BOOKデーターベース)
    自分が辻口家を不幸にした殺人犯の子であるとして、自殺をはかった陽子。一命をとりとめ、父・啓造や母・夏枝からすべてを謝罪されたが、自分が不倫の末の子であったという事実は潔癖な陽子を苦しめた。

    大人になりきれない夏枝にイライラ。そして良い子過ぎる陽子にやきもき。大人の分別のある辰子が出てくるとホッとする。イライラしながらも続・氷点(上)へ続く

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著者プロフィール

1922年4月、北海道旭川市生まれ。1959年、三浦光世と結婚。1964年、朝日新聞の1000万円懸賞小説に『氷点』で入選し作家活動に入る。その後も『塩狩峠』『道ありき』『泥流地帯』『母』『銃口』など数多くの小説、エッセイ等を発表した。1998年、旭川市に三浦綾子記念文学館が開館。1999年10月、逝去。

「2023年 『横書き・総ルビ 氷点(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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