続氷点 (下) (角川文庫)

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本棚登録 : 1393
感想 : 89
  • Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041437063

感想・レビュー・書評

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  • 「氷点」上巻を読み終えて、いざ下巻へ…と思ったら。

    陽子は実は佐石の子ではなかったことになってるし、陽子の母は三井恵子…だ、誰??

    話が飛びすぎでついていけない…それもそのはず、私が買っていたのは「続 氷点」の下巻でした…。

    高木の配慮により、佐石の娘ではなく他の子を養子縁組させられていた辻口。陽子のことをルリ子の仇 佐石の娘と思い込み、冷淡にし続けていた夏枝。陽子を絶望させ、自殺未遂にまで追い込んでしまったことへの自責の念を抱えながら、彼女が殺人犯の娘ではなかったことに安堵する辻口夫妻。

    陽子の弟や本当の佐石の娘まで登場して、ますます昼ドラ風に…
    赦すこと、赦されること。裁くこと、裁かれること。ザ・三浦綾子作品。

    私は夏枝や恵子にイラッとしちゃうのですが…特に夏枝…何で高木さんまで夏枝にホの字なんだよう…

  • 考えさせれる

  • 日常生活で人が普通に抱くような憎しみ、嫉妬や、
    犯してしまった過ち、
    それを取り巻く事柄の因果関係が巧みに描写されていた。

    望まれて生まれなかった自分に対し、いっそ殺人犯の娘でもよいと
    感じた陽子の気持ちが苦しかった。

    自分が生を受けた意味を見いだせない陽子をみて、
    今後自分が大人になっていく中で、
    単純かもしれないが子供は愛していきたいと思った。

    続氷点で描かれていた「罪」は、現実世界においても突拍子もないことでもないと思う。
    それぞれ犯した罪をどう許すか、許せるのかみせてもらった気がします

  • 無名の主婦だった三浦綾子氏を一躍作家にした作品。

    全四冊でしたが、一気に読めました。

    1970年代くらいの作品ですが、時代は変わっても
    人の嫉妬・憎しみ、欲望は変わらないもの。
    2010年の今でも、ある意味違和感なく読めました。

    「原罪」とは何かがテーマですが、人はほんとに罪深い生き物だと思いました。そのうごめく臨場感は、秀逸でした。

    育ての母親が言い放つ陽子さんへの怨念のような言動は、
    どの女性でも持ちえる独特のものなんでしょうか。
    レビューには、独特の醜さと記した方もいましたが、ほんとにそうなのか。判断はつきません。


    「許す」ということは、人を上からも下からみない、そう接しないということでしょうか。

    それが隣人への愛でしょうか。
    「許さない」と思った時点で、上か下かはわかりませんが、
    自分の立ち位置が変化しているということなのか。

    主人公の陽子さんは、ラストでそれがわかったので、
    ああいう決断に至ったのか。

    心情的には、そっちじゃない方にいってほしかったけど。
    せつなかったので。

    人は絶対ではない、永遠に相対的な存在だ、と常々考えの基本においてますが、「許さない」とは、絶対的な存在だと自己を示しているということか。だとしたら、神以外許すことはできないっていうことになる。

    だから本文にもあった、大きな石と小石の話か。

    大きな石を移動させて、元に戻せと言われてもできるけど、
    小さな石は、いちいち場所を覚えていないので、元に戻せないって話に繋がるのか。


    多くのひとは小さな石(小さな悪)の集合体とも言えて、そのひとつひとつを覚えてはないし、覚えていては生きていけない。
    なぜなら、人は相対的な存在でしかないから。
    だから、小さな石のことくらいは許すけど、大きな石は許せないか。


    陽子さんは、本文で「権威がほしい」と言っていたけど、あいにく永遠に持てない存在。だから苦しいのか。

    わかったようで、わからない永久なテーマですねえ。

  • 弥吉の手紙が衝撃的だった。<戦争は、人間を人間でない別な動物に墜としこませる、恐ろしいものである>。そんな体験が、妻の娘が別の男との間で生まれていたことを<救い>だと感じさせる。それほどまでの狂気の中で生きた弥吉の精神の神聖さに人間の小ささと命の重みをみる。人間は正義の基準を自分とし、他者を批判しながら生きている。しかし、たとえ他者に明らかな過ちがあったとしても、他者を批判し、糾弾するだけの資格があるのか、まずは自分を顧みなければならない。そうすることで他者の過ちをも受け入れられるようになるのだろうか。

    <ほうたいを巻いてやれないのなら、他人の傷にふれてはならない>を教訓として自分で自分に包帯をまくことを知っている順子の生き方に胸を打たれた。

  • 学生時代に父親に勧められて読んだが、改めて再読。
    ストーリーの面白さだけでなく、色々と考えさせられる内容。赦すということの難しさ。

  • 評価は5(++)

    こういう最後なんですか(?_?)・・とは言え流石に素晴らしい本だった!
    基本がキリスト系の考え方なので陽子は一貫して自己犠牲の精神でいつも自分を振り返って見直している。
    出てくる人達もみな・・・そう夏枝以外は。
    最後までこの甘えた奥様だけはいい加減にせよよ。旦那ももっと言えよ!と思い続けてしまったが・・・・

    しかし、やはり昔の作家は日本語綺麗だし素晴らしい。
    ロングセラーになるには理由がある。

  • 今冬ドラマ化予定の石原さとみちゃん主演、氷点。
    どこまで放送されるのかわかりませんが、とりあえず続編までも読み終えました。

    前作品でのテーマは原罪。
    そしてこの続編でのテーマは罪のゆるしとなってます。


    人間って勝手なものですべて起こったことを自分中心の観点から判断しますよね。
    実はそれっていかに傲慢なことなのか・・・っていうのが最後の結末。
    まあこれはキリスト教の教えみたいなんですけどね。


    本文の描写の中にもそれが何度か出てくるんです。
    他の人のやったことは許せないのに、同じようなことでも自分がやったことなら許せる・・・みたいな。
    こういう感情ってけっこう日常茶飯事だと思うんですけど、そういった感情を個人個人が持ってるから世の中ってややこしいんですよね。


    最後のほうの流氷の描写は、ちょっと読むだけではわかりにくかったのでドラマの放送が楽しみです。


    以下に簡単なあらすじをまとめてみました。


    続編は、自殺を図った陽子が大学生として新しい一歩を踏み出すところから始まります。

    新たに登場するのが、陽子の実の母とその子どもたち(とその父親)。
    それから、徹と北原をはさんでの三角関係は、もう一人の女の子を交えての四角関係になります。


    読みすすめていくうちに彼女が誰であるか予想はついたんですけども。
    このことも、罪のゆるしというテーマを扱うには大きな存在というわけです。

    そしてもちろん夏枝と啓三、村井、由香子たち(もちろん辰子や高木も)を抜きにして語られることはないんですが、陽子と比べると対照的というか、暗いというか、けっこう重苦しい展開だったりします。

    ま、陽子のほうも前編に比べるとかなり暗いんですけどね。。。


    物語の軸としては、陽子の弟にあたる達哉がポイントとなって進んで行きます。
    最後の結末へ向けてのストーリーも彼がいなければありえないですから、けっこう重要な役割です。

    彼が起こした行動によって、ラスト、陽子はある決断をすることになります。


    そう。
    陽子は徹、北原のどちらを選ぶことになるのか・・・・?!
    陽子にとっての罪のゆるしとは?!

  • 人は人である限り、罪を持つというのが『氷点』。じゃあ、その罪を人はどうやって許すのか、というのが『続 氷点』。

    「許すとは、何と困難なことであり不可解なことであろう。
    人間同士、お互いに許し合えたとして、それで果たして事はすむのかという問題がある。
    たとえ人が自分を許してくれたとしても、私が裏切ったという事実は、厳然としてこの世に留まっている。だからこそ、私の血の中を流れる罪を、ハッキリと『ゆるす』と言ってくれる権威あるものがほしい。」

    って下りが、忘れられない。
    本当にそう。(2009年6月21日・記)

  • 会社員一年目に、彼女に教えてもらい、自分の原点の一つにもなった作品。
    全編を通じて描かれる原罪と赦し。

    ドラマ性と人物描写がとても良い。
    高木の配慮により佐石の娘では無かった陽子、兄の徹、弟の存在、そして北原。父啓三のような人格者でも、嫉妬とエゴに負けて過ちを犯す。
    これはある意味、人間賛歌(良い面も悪い面も含めて)ではないかと、後の自分には思える。

    最後に残るのは、北原の瑞々しい青年の心。そこに一番惹かれる。
    この本に出合えて良かった。ある意味一番辛かった社会人に駆け出し時代に、今思うとこの本との出会いで純粋な自分を保てたような気がする。姫路での一人暮らしを支えてくれた読書の中で、一番大きい存在だった。

    それと、元々好きな北海道がとても好きになりました。網走に流氷も見に行ったけど、残念ながら会えず。
    でも何年も経て、塩狩峠には行きました。

    いつまで経っても色あせない作品ですね。

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著者プロフィール

1922年北海道旭川市生まれ。小学校教師、13年にわたる闘病生活、恋人との死別を経て、1959年三浦光世と結婚し、翌々年に雑貨店を開く。1964年小説『氷点』の入選で作家デビュー。約35年の作家生活で84にものぼる単著作品を生む。人の内面に深く切り込みながらそれでいて地域風土に根ざした情景描写を得意とし〝春を待つ〟北国の厳しくも美しい自然を謳い上げた。1999年、77歳で逝去。

「2021年 『残像 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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