続 氷点(下) (角川文庫)

  • 角川グループパブリッシング (1982年3月17日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784041437063

みんなの感想まとめ

人間の感情や道徳的葛藤が深く描かれた作品で、特に戦争が人間をどのように変えてしまうのかを考えさせられます。主人公弥吉の手紙が衝撃的で、戦争の狂気の中での彼の精神の神聖さが際立ちます。人間は他者を批判し...

感想・レビュー・書評

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  • 弥吉の手紙が衝撃的だった。<戦争は、人間を人間でない別な動物に墜としこませる、恐ろしいものである>。そんな体験が、妻の娘が別の男との間で生まれていたことを<救い>だと感じさせる。それほどまでの狂気の中で生きた弥吉の精神の神聖さに人間の小ささと命の重みをみる。人間は正義の基準を自分とし、他者を批判しながら生きている。しかし、たとえ他者に明らかな過ちがあったとしても、他者を批判し、糾弾するだけの資格があるのか、まずは自分を顧みなければならない。そうすることで他者の過ちをも受け入れられるようになるのだろうか。

    <ほうたいを巻いてやれないのなら、他人の傷にふれてはならない>を教訓として自分で自分に包帯をまくことを知っている順子の生き方に胸を打たれた。

  • 「氷点」よりは少し淡々と進んでいく感じ。
    人間の色々な感情がリアルに書かれていて、唸ってしまった。
    達哉の強引さはひどい。。

  • 「氷点」につづきおもしろかった…!!
    死の淵から復活した陽子が直面する自分の罪と、産みの母の罪。そして彼女を取り巻く面々それぞれの罪。人間は原罪をどう償えばよいのか。
    宗教的なテーマを掲げながら、説教くさくない。神の教えが素直に心に沁みてくる作品。
    夏枝や村井、達也など、その身勝手さは読んでいてイライラするが、それが生身の人間の姿なのだ。だからこそ、嫌悪感を抱きながらもどうしても嫌いになれない。深く掘り下げられた人間像と、美しい北海道の情景。三浦綾子の筆力に感嘆する。

  • 「氷点」上巻を読み終えて、いざ下巻へ…と思ったら。

    陽子は実は佐石の子ではなかったことになってるし、陽子の母は三井恵子…だ、誰??

    話が飛びすぎでついていけない…それもそのはず、私が買っていたのは「続 氷点」の下巻でした…。

    高木の配慮により、佐石の娘ではなく他の子を養子縁組させられていた辻口。陽子のことをルリ子の仇 佐石の娘と思い込み、冷淡にし続けていた夏枝。陽子を絶望させ、自殺未遂にまで追い込んでしまったことへの自責の念を抱えながら、彼女が殺人犯の娘ではなかったことに安堵する辻口夫妻。

    陽子の弟や本当の佐石の娘まで登場して、ますます昼ドラ風に…
    赦すこと、赦されること。裁くこと、裁かれること。ザ・三浦綾子作品。

    私は夏枝や恵子にイラッとしちゃうのですが…特に夏枝…何で高木さんまで夏枝にホの字なんだよう…

  • 日常生活で人が普通に抱くような憎しみ、嫉妬や、
    犯してしまった過ち、
    それを取り巻く事柄の因果関係が巧みに描写されていた。

    望まれて生まれなかった自分に対し、いっそ殺人犯の娘でもよいと
    感じた陽子の気持ちが苦しかった。

    自分が生を受けた意味を見いだせない陽子をみて、
    今後自分が大人になっていく中で、
    単純かもしれないが子供は愛していきたいと思った。

    続氷点で描かれていた「罪」は、現実世界においても突拍子もないことでもないと思う。
    それぞれ犯した罪をどう許すか、許せるのかみせてもらった気がします

  • 無名の主婦だった三浦綾子氏を一躍作家にした作品。

    全四冊でしたが、一気に読めました。

    1970年代くらいの作品ですが、時代は変わっても
    人の嫉妬・憎しみ、欲望は変わらないもの。
    2010年の今でも、ある意味違和感なく読めました。

    「原罪」とは何かがテーマですが、人はほんとに罪深い生き物だと思いました。そのうごめく臨場感は、秀逸でした。

    育ての母親が言い放つ陽子さんへの怨念のような言動は、
    どの女性でも持ちえる独特のものなんでしょうか。
    レビューには、独特の醜さと記した方もいましたが、ほんとにそうなのか。判断はつきません。


    「許す」ということは、人を上からも下からみない、そう接しないということでしょうか。

    それが隣人への愛でしょうか。
    「許さない」と思った時点で、上か下かはわかりませんが、
    自分の立ち位置が変化しているということなのか。

    主人公の陽子さんは、ラストでそれがわかったので、
    ああいう決断に至ったのか。

    心情的には、そっちじゃない方にいってほしかったけど。
    せつなかったので。

    人は絶対ではない、永遠に相対的な存在だ、と常々考えの基本においてますが、「許さない」とは、絶対的な存在だと自己を示しているということか。だとしたら、神以外許すことはできないっていうことになる。

    だから本文にもあった、大きな石と小石の話か。

    大きな石を移動させて、元に戻せと言われてもできるけど、
    小さな石は、いちいち場所を覚えていないので、元に戻せないって話に繋がるのか。


    多くのひとは小さな石(小さな悪)の集合体とも言えて、そのひとつひとつを覚えてはないし、覚えていては生きていけない。
    なぜなら、人は相対的な存在でしかないから。
    だから、小さな石のことくらいは許すけど、大きな石は許せないか。


    陽子さんは、本文で「権威がほしい」と言っていたけど、あいにく永遠に持てない存在。だから苦しいのか。

    わかったようで、わからない永久なテーマですねえ。

  • 考えさせれる

  • 今冬ドラマ化予定の石原さとみちゃん主演、氷点。
    どこまで放送されるのかわかりませんが、とりあえず続編までも読み終えました。

    前作品でのテーマは原罪。
    そしてこの続編でのテーマは罪のゆるしとなってます。


    人間って勝手なものですべて起こったことを自分中心の観点から判断しますよね。
    実はそれっていかに傲慢なことなのか・・・っていうのが最後の結末。
    まあこれはキリスト教の教えみたいなんですけどね。


    本文の描写の中にもそれが何度か出てくるんです。
    他の人のやったことは許せないのに、同じようなことでも自分がやったことなら許せる・・・みたいな。
    こういう感情ってけっこう日常茶飯事だと思うんですけど、そういった感情を個人個人が持ってるから世の中ってややこしいんですよね。


    最後のほうの流氷の描写は、ちょっと読むだけではわかりにくかったのでドラマの放送が楽しみです。


    以下に簡単なあらすじをまとめてみました。


    続編は、自殺を図った陽子が大学生として新しい一歩を踏み出すところから始まります。

    新たに登場するのが、陽子の実の母とその子どもたち(とその父親)。
    それから、徹と北原をはさんでの三角関係は、もう一人の女の子を交えての四角関係になります。


    読みすすめていくうちに彼女が誰であるか予想はついたんですけども。
    このことも、罪のゆるしというテーマを扱うには大きな存在というわけです。

    そしてもちろん夏枝と啓三、村井、由香子たち(もちろん辰子や高木も)を抜きにして語られることはないんですが、陽子と比べると対照的というか、暗いというか、けっこう重苦しい展開だったりします。

    ま、陽子のほうも前編に比べるとかなり暗いんですけどね。。。


    物語の軸としては、陽子の弟にあたる達哉がポイントとなって進んで行きます。
    最後の結末へ向けてのストーリーも彼がいなければありえないですから、けっこう重要な役割です。

    彼が起こした行動によって、ラスト、陽子はある決断をすることになります。


    そう。
    陽子は徹、北原のどちらを選ぶことになるのか・・・・?!
    陽子にとっての罪のゆるしとは?!

  • 人は人である限り、罪を持つというのが『氷点』。じゃあ、その罪を人はどうやって許すのか、というのが『続 氷点』。

    「許すとは、何と困難なことであり不可解なことであろう。
    人間同士、お互いに許し合えたとして、それで果たして事はすむのかという問題がある。
    たとえ人が自分を許してくれたとしても、私が裏切ったという事実は、厳然としてこの世に留まっている。だからこそ、私の血の中を流れる罪を、ハッキリと『ゆるす』と言ってくれる権威あるものがほしい。」

    って下りが、忘れられない。
    本当にそう。(2009年6月21日・記)

  • 包帯を巻けないなら、他人の傷に関わるべきではない。
    自分の機嫌自分で取る。と通づるものを感じる。

    人間は生きている限り多くの罪を犯す。
    それを認識できていれば、他人をどうこう裁くことなどできない。
    自分にも罪があり、必ずしも正しくなど居られないことを自覚できているのであれば。

    ただ、達哉と村井と夏枝だけは最後まで好きになれない。
    どうも自分勝手が過ぎる…

    以下好きな言葉。

    自分 1人ぐらいと思っていけない。その1人ぐらいと思っている。自分にたくさんの人が関わっている。ある人がデタラメに生きると、その人間の一生に出会うすべての人が不快になったり、迷惑を被ったりするのだ。そして不幸にもなるのだ。

    一生を終えて、後に残るのは、我々が集めたものではなくて、我々が与えたものである

  • 学生時代に父親に勧められて読んだが、改めて再読。
    ストーリーの面白さだけでなく、色々と考えさせられる内容。赦すということの難しさ。

  • 評価は5(++)

    こういう最後なんですか(?_?)・・とは言え流石に素晴らしい本だった!
    基本がキリスト系の考え方なので陽子は一貫して自己犠牲の精神でいつも自分を振り返って見直している。
    出てくる人達もみな・・・そう夏枝以外は。
    最後までこの甘えた奥様だけはいい加減にせよよ。旦那ももっと言えよ!と思い続けてしまったが・・・・

    しかし、やはり昔の作家は日本語綺麗だし素晴らしい。
    ロングセラーになるには理由がある。

  • やっぱり続編は一枚落ちる、少なくともミステリーとしては全部読めてしまって面白いとは必ずしも言えない。
    でも本作の主題は第1作含めて、詰まるところ「愛」とは何か?だろうから、その手の要素はあくまで附属品なんでしょう。でも読み物として、最初から続編考えてたのかな?という疑問含めて少々詰め甘かなぁと思う次第。

  •  達哉の言動にイラッとしながらも、そりゃ色々思うところはあるよなと思い直したり、私もこんな風に強引にやりそう…と思ったりしながら読みました。
    けれど、俗世に塗れた私は「嫌なものはイヤで良いじゃないか」と思ってしまう。そんな私だからこそ、三浦文学は対極にあるようで、惹かれるのかなあー。
     何はともあれ、色々なことがスッキリ片付いた感が良かったです。

  • 会社員一年目に、彼女に教えてもらい、自分の原点の一つにもなった作品。
    全編を通じて描かれる原罪と赦し。

    ドラマ性と人物描写がとても良い。
    高木の配慮により佐石の娘では無かった陽子、兄の徹、弟の存在、そして北原。父啓三のような人格者でも、嫉妬とエゴに負けて過ちを犯す。
    これはある意味、人間賛歌(良い面も悪い面も含めて)ではないかと、後の自分には思える。

    最後に残るのは、北原の瑞々しい青年の心。そこに一番惹かれる。
    この本に出合えて良かった。ある意味一番辛かった社会人に駆け出し時代に、今思うとこの本との出会いで純粋な自分を保てたような気がする。姫路での一人暮らしを支えてくれた読書の中で、一番大きい存在だった。

    それと、元々好きな北海道がとても好きになりました。網走に流氷も見に行ったけど、残念ながら会えず。
    でも何年も経て、塩狩峠には行きました。

    いつまで経っても色あせない作品ですね。

  • 陽子をただの清らかな子としなかった点が特に良かった。自分を正しいとすることの驕りに気付かされた。これ無くして陽子のことは語れない。
    より深くキリスト教と聖書の教えに沿っていく下巻だった。前作のラストが完璧だと思ったので、続編はどうかと思っていたが、この続編があってこそ、人の罪とゆるしに深く潜り込むことができているように思う。
    達哉の暴走、順子の苦しみ、追い詰められた恵子、三井の罪の意識、北原の事故。何かの試練のように苦しみが付き纒うが、この物語が始まったときには、全てがもう決まっていたのだと思える。ここを避けては通れないという思いがする。そんな運命のような物語だった。

  • なんと自分が計算高く生きているか、汚れているか、反省させられる
    もっと誠実に生きたいと考えさせられ、自分の人間関係、付き合い方を正そうと思った

  • 原罪を含めた罪を認めて人も自分も赦した時、
    人は救われる希望が見出されるのかもしれない。
    タイミングという名の運命に翻弄されながらも、
    失ったものではなく与えた物だけが手元に残ることこそが赦しであると思う。
    絶望したからこそ希望がある。

  • 最後まで昼ドラ感は薄れなかったけどなんだかいろいろ考えさせられる物語だった。
    ただ弥吉が恵子の不貞を20年も前に知っていてそれを許した理由があまりにも壮絶すぎて、もちろん時代ってのもあると思うけど読んでて辛くなった。
    あと聖書の中のキリストの言葉「あなたがたの中で、罪のない者がまずこの女に石を投げつけるがよい。」という言葉にハッと考えさせられた。
    そうだよなぁ、誰にも他人を責める資格なんかないんだよなぁ。

  • 陽子にとっての罪のゆるしとは。
    育ててくれた母の夏江のように自分はならない、、と自分が正しいと思って見下していたと気づいたとこ、そして自分を捨てた実の親を憎むとこ、最後の陽子の気持ちは燃える流氷として描かれていたのはドラマティックであった。
    特に夏江とかちっぽけすぎて共感できないところもいっぱいあったけど、世の中のいろいろな問題や感情がいろいろちりばめられた作品なのかもと客観的にみつつ、自分の中の罪の意識を考えさせられた作品だったかな。今このタイミングで読めたのは自分的によかったけど、また罪とはなんて忘れていく。そしてまたぶつかっての繰り返しなんじゃないかと思うけど、自問自答してくのも悪くないし、むしろ考えて答えを探していく人生なのかもなと思った。

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著者プロフィール

1922年4月、北海道旭川市生まれ。1959年、三浦光世と結婚。1964年、朝日新聞の1000万円懸賞小説に『氷点』で入選し作家活動に入る。その後も『塩狩峠』『道ありき』『泥流地帯』『母』『銃口』など数多くの小説、エッセイ等を発表した。1998年、旭川市に三浦綾子記念文学館が開館。1999年10月、逝去。

「2023年 『横書き・総ルビ 氷点(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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