銃口 上 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
4.16
  • (16)
  • (19)
  • (7)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 148
レビュー : 19
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041437254

作品紹介・あらすじ

「どうしたらよいか迷った時は、自分の損になる方を選ぶといい」小学校の担任坂部の信念と優しさに強い影響を受けた北森竜太は、タコ部屋の朝鮮人労働者を匿う温かい家庭で成長し、昭和12年に教師になった。炭鉱町の小学校で「綴り方」の授業を推進するなど教育の理想を目指す竜太のもとに、言論統制の暗い影が忍びよる-。戦争に突入する昭和10年代の事件と世相を背景に、青年教師の愛と苦悩を描いた感動大作。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 軍国主義の校長の体制がどこかの部活のラグビー部に監督とコーチとかぶってしまった…

  • 主人公が塩狩峠の人に似てる!
     
    不穏な時代でも、自分の信念を貫いてる人たちがでてくる、見習いたい。
    竜太、政太郎、美千代、芳子、坂部先生、沖島先生、木下先生等々。
     
    「迷ったときは、自分の損する方を選んだらいい」

    「人間は誰でも、尋ねられたくないものをもっているもんだ。隠しておきたいことは、聞いても語らんだろうし、聞いて欲しいことは、聞かんでも自分で語るもんだ」
     
    「自分の人生をいきるということは、いわば真っ白な布の上を歩いていくようなもんだ。そこに記された自分の足跡が乱れるのも乱れないのも、自分の責任だ」
     
    チェーホフ『孤独が恐ろしかったら結婚するな』

  • 初めての三浦綾子である。まるで「理想主義肌の山崎豊子」。山崎豊子ほどに骨太ではないし、山崎豊子のように入念な取材を元に「事実」のみを描くタイプではなくて、かなりのフィクションが入っていて、それを借りて「真実」を描くタイプの構成である。しかし、時代の中で足掻く個人個人を正面から描く態度は共通している。

    三浦綾子ファンの噂を聞く限りでは、かなり求道的な哲学的な作品ではないかと思っていたのである。嬉しい誤算だった。

    特に上巻は、かなり現代と被る部分がある。数年前までは思いもよらなかったかもしれない。竜太が小学校四年生で恩師坂部先生に出会うのが、昭和2年ということになっている。ほとんど言いがかりとでも言えるような嫌疑で治安維持法違反で逮捕される昭和16年までが、上巻の内容である。

    私は、昭和の時代は皇民教育が徹底していて、一部の共産党戦士とシンパぐらいしか、国の方針に批判的な意見を持っていなかったのではないかと漫然と思っていたのであるが、日本の中心からかなり離れた旭川では、昭和10年の頃まではかなり自由にモノが言えたし、いろんな人たちが批判的な精神を持っていると、描かれている。小説に生き生きと描かれると、そうだったのだろうな、としか思えなくなる。

    そして少しずつ自由にモノが言えなくなる。竜太のお父さん、坂部先生、山下先生たちが、その中でやるべきことをして、言うべきことを言う。その「勇気」を我々は小説の「真実」の中から汲まなくてならないだろう。
    2015年3月25日読了

  • 20150103

  • 教師の狭くも深い世界を、主人公の成長を楽しみながら垣間見ることができる。いとこの楠夫との対比は主人公への理解を深める上でとても効果的だし、主人公の純愛も美しく清涼感溢れていた。子供ができたら読ませたいなと思わせるフレーズがいくつもあった。
    物語が転回する下巻も楽しみ。

  • p244
    三太郎の日記

    竜太の本棚
    夏目漱石
    芥川龍之介
    森鷗外
    志賀直哉
    西田幾多郎
    倉田百三

    校長 最初の挨拶で
    貧乏物語
    資本論
    中野重治
    小林多喜二

    国体の本義

    ♡p349 350♡

    共産党 国体の変革 私有財産制度の否認

  • 温かくて実直で、凛として背筋が伸びる。

    三浦綾子の描く教師は、そんな魅力にあふれている。こういう先生がいてほしいと思う姿そのものだ。

    昭和10年代、戦争の足音が大きくなるなかで、教育の理想を目指す若い教師。子どものために最良の授業を実現しようとするが、言論統制の影が迫る。

    自由にものが言えない苦しさ、思想を縛る国策の醜悪ぶりが後編に向かって立ちのぼる。普通のことが普通にできる国とは、なんて幸せなのだろう。

  • 電子書籍版を購入。久しぶりに三浦綾子の作品を読んでいます。

  • 旭川の裕福な質屋の長男として生まれた竜太。小学校の担任だった坂部先生を深く尊敬し、教師となる道を選んだが、日本が戦争へとひた走る中、予想だにしなかった事件に巻き込まれる…。
    誠実な両親や姉弟、先生、同僚に囲まれ、難しい時代の中必死に正しく生きていこうとする竜太の姿が清々しい。それだけに戦前、戦中の理不尽な世相が重苦しく迫ってくる。
    ストーリーの随所で坂部先生やその妻冴子先生、幼なじみの芳子を通して、キリスト教の教えが語られるが、それも押しつけがましくなく自然と心に溶け込んでくる感じがして読みやすかった。

  • これを読んで即「母」を読む。アカのレッテルの恐ろしさ。

全19件中 1 - 10件を表示

プロフィール

三浦 綾子(みうら あやこ)
1922年4月25日 - 1999年10月12日
北海道旭川市出身。終戦まで小学校教員を努めたが、国家と教育に対する懐疑から退職。1961年『主婦の友』募集の第1回「婦人の書いた実話」に『太陽は再び没せず』を投稿し入選。
1963年朝日新聞社による投稿した小説『氷点』が入選し、朝日新聞に同作を連載開始。1965年、同作で単行本デビュー。刊行直後にベストセラーとなり、映画化・ラジオドラマ化される代表作となる。ほか、映画化された『塩狩峠』が著名。様々な病苦と闘いながら、キリスト者として執筆を続けた。

銃口 上 (角川文庫)のその他の作品

三浦綾子の作品

ツイートする