銃口 下 (角川文庫)

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著者 : 三浦綾子
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2009年8月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (418ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041437261

銃口 下 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 近堂上等兵のように生きたい。

  • 小説「銃口」は、小学館「本の窓」誌1990年1月号から1993年8月号まで37回にわたって連載された。取材を開始した時期から数えると4年の歳月を要したことになる。非常に長い小説を書き終えたという思いと共に、なぜか本当に終わったという気がしない。
    当初、編集者の真杉章氏から「昭和を背景に神と人間を書いて欲しい」との新連載のテーマを提示されたのであるが、昭和の年代全般に亘ることは到底できなかった。戦時を重点に、最後は昭和天皇大葬の日をもって形を整えるにとどまった。やはりもっと書かねばならなかったという思いが残る。(412P)

    三浦綾子は「あとがき」でそう述べている。どんなに手を尽くした看病をして親族が亡くなってもあとには後悔が必ず残るように、我が子同然の作品を書き終えた直後には、書き切らなかったことが見えて仕方ないのだろう。しかし、それはまさに仕方ないことである。

    私は当初「綴方教育に情熱を注いでいた教師が、不当に治安維持法で逮捕されて、不屈に頑張る話」だと勝手にこの長編小説の内容を予想していた。ところが、下巻に至ると物語は予想外に満州戦線での話に移る。

    上巻でも下巻でも、主人公の他に必ず良心的な人間(ほとんどはキリスト信者ではない)が登場する。主人公はむしろ彼らに学びながら成長する物語の語り手のような存在であった。

    戦争という「人類の最大の罪」とも言うような事態の中で、本来「善き者」「であるべき」人間の取る行動は、どのようなものだったのか。政治の動く中枢から遠く離れた旭川と満州が舞台の、普通の人間たちの物語である。

    普通の人間たちの様々な「選択」が、ここに描かれている。
    「どうしたらよいかまよった時は、自分の損になる方を選ぶとよい」
    そのように云う坂部先生は、一つの理想像である。理想像は非業の死を遂げる。

    もっとも象徴的なエピソードは、帰還の汽車を待つときに出会った焼け出された子どもと竜太の話だろう。貴重なおにぎりを分け合うべきか竜太は躊躇する。あれをどう取るか、でこの小説の感想は様々に分岐するだろう。
    2015年3月27日読了

  • 国のかたちはその時代の法律で簡単に変わってしまって、思想や生き方が国家に不都合という理由だけで投獄され、拷問を受ける。その失意も醒めないうちに戦争に駆り出され、さらに理不尽な世界を目の当たりにする。

    それはほんの70年前、この国で起きていたこと。何を大切に生きるべきか。辛い体験と、尊敬すべき人たちとの交流を通して、小学校教師の若者がたどり着いた結論。それこそが、悲惨な戦争でこの国が学んだ教訓だったのではないか。忘れてはいけないことがある。

  • 人間、とっさの言動がその人間の真価

  • 上巻に記載

  • 治安維持法違反の容疑で勾留された竜太。釈放されても辛い日々が続く。芳子とやっと結婚できるという時に、戦争に召集される。過酷な軍隊生活。

  • 旭川などを舞台とした作品です。

  • 戦中、旭川の質屋の長男として生まれた、主人公。
    質屋という商売だったが、人情にあふれる恵まれた環境で育つ。
    戦中の理不尽な天皇崇拝の教育で、唯一の小学校の時の担任だった恩師は
    納得できる思想・生き方、何が大事か?を教えられ、
    主人公は憧れて教師を目指す。

    とは言え、主人公は戦時教育に反していたわけではなく、
    根本には天皇を崇拝する心は、多くの当時の国民と同じように持っていた。
    まっすぐな心そのまま、教師になったが、
    思想統制の波にかかり、どん底に落ちていく。

    当時の思想統制の怖さと、今の自由さを実感させられ、
    本当に今に生まれてよかったと思います。

    主人公は当時の数ある事件の一人の話に過ぎず、
    同じ境遇の、またそれ以上に不幸な目にあった人が
    たくさんいるとなると、本当に暗い時代です。

    そんな中でも主人公とその恩師は
    差別のない人としての生き方を通していきます。
    確かにこんな先生は今の時代でもいないと思います。

    人を差別するには理由があり、止むをえないこともあると思います。
    しかし、理由のない差別や、理由にならない差別もたくさんあります。
    それが横行していた時代。人間の理性とは本当に怖いものです。

    後半は軍隊に配属され、その中でもまた、
    当時の思想の中でも、たくさんの種類の人間がいたことがわかります。

    日本がした酷いこと、された酷いこと。
    どっちも鮮明に書かれている部分があります。

    とても辛い話なのに、人間はまだ戦争してると思うと、
    とても悲しいことです。

    思想は制限できない。というのも理解できる内容。

    この話は子供と子持ちの親に読んで欲しいと思った。
    生き方の本質というか、子供に教えることが、目先のことばかりに
    ならないようにしたい、と思えるから。

    新年一発目から戦争ものでした。
    上下巻で内容もさることながら、ページ数もヘビーです。

  • 読みやすい文章で、戦前から戦後まで主人公の人生をたどりながら、さまざまな出来事を知ることができます。どんな状況であっても、自分の信念を曲げない生き方は自分を救う結果になるのだ。

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