紀州 木の国・根の国物語 (角川文庫)

著者 : 中上健次
  • 角川グループパブリッシング (2009年1月24日発売)
3.79
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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041456118

紀州 木の国・根の国物語 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 紀州に横たわる漂泊者と非人の歴史。私が産まれた頃にはリアルだった歴史の残像。東日本にいると全く理解出来ない、この皮膚感覚。
    分からないから読むのですよ。

  • 2017年9月10日に紹介されました!

  • どこかで紹介されているのを見て、いずれ読んでみたいと思っていた中上健次ではあるが…重かった。他の作品に手を伸ばす気には今はちょっとなれないけど、いずれじっくりと読んでみよう。

  • 「紀州」を散文化する試み。というのも、否が応にも紀州には物語や詩(うた)が溢れているから。熊野の森や海のみならず、差別でさえすぐに、1つの旋律をなしてしまう。しかしそのために失われてしまう紀州という現実がある。そこで中上健次は旅に出た。人一倍物語に塗れた身を禊ぐべく。

  • こう、並べて読んだからかもしれないが、上記の天皇百話、下巻にこの中上の文章が入っていないことが不満に思えるほど、天皇制、差別構造、それらの総体としての日本を考えるときに、この本は必読書なのではないか?80年代初頭という時代を背負っていることは確かだが、現代に生きる我々から地続きの場所から発せられている言葉(戦争と現代をつなぐ時代の言葉、ということもできる)が、特に後半部分で重く低く響く。

  • 中上健次を初めて読んだ。
    「地霊」というのか、なんというのか…「穢れ」と「神聖」は隣り合わせなのだ。隣り合わせなのに、相手を否定しないと成り立たない。
    ただただ、「すごみ」を感じる。すごまれるとすくむしかない。これは相手に対する恐怖でない、何か荘厳なものへの気持ちなのだ。いや、すくむのではない。ある、いる、という事実を認知することだけが必要なこと。あたりまえのことをあたりまえにすればいい。ただ、それだけのことだ。

  • 小説ではなく、ルポというかドキュメンタリーというか、ノンフィクションの紀行文です。中上の故郷・紀州の被差別部落の人々から聞き書きした「語り」中心の構成になっていますが、作者がここでは小説の書き方はしないというようなことを意識しているにも関わらず、表現が詩的&抽象的すぎて逆に幻想譚めいてくる不思議。直接的な言葉や、具体的な地名を書けないという制約がもしかしてあったのかもしれませんが、かえって差別の現状は伝わり難いような印象を受けました。ただ、こういう試みがなされたこと、方言そのままの生の声のようなものが書き留められたことにはそれなりの意義があると思います。差別について考えるためというよりは中上作品への理解を深めるためのツールとして読んでおくべきかも。

  • ルポと小説の間の「物語り」とでもいうのか。
    こういうかたちの作品は貴重だと思う。
    読みながら何かに触れているような手応えがあった。

  • こんな日本語、平伏すしかない。
    なにこの迫力。
    読後、これまで読んだ中上作品をたまらない気持ちで再読した。

  • ルポタージュのくくりなのだけど、散文詩のよう。「○○である、△△である、ということは××だ」というキーワードのつながりが見つけられない。知らないことが多すぎて、文字にされていても白くつぶれて見える個所がたくさんある。70年代・紀州・部落差別・中上健次の抱えるオブセッションについて、自分は知らなさすぎる。

    そんな風に情報が欠け落ちる「ルポ」は、地図の上にある和歌山県ではなくて、紀州を旅する中上健次が感知する「見えないもの」を写しとっていく。あの音楽的な文体に酔って、頭ではなくておなかで分からされる。でも、文章の波に乗りかかっては、「このままうっとり読んじゃっていいのかな」と落ち着かなくなる。それはやはり本書のテーマが部落差別であるからだ。

    本書が発表された当時、やじうま気分で紀州見物に行った人はいなかっただろうか? 被差別部落として紹介された土地の人が嫌な目に合わなかっただろうか? すぐにそんなことを考えてしまう自分はうわべだけを見ているつまんないやつなんだろうか? 本の外にいる自分が巻き込まれる。同和問題をデータに基づいて解説する本を読むより、よっぽど揺さぶられてしまう。

    差別・被差別の構造の根深さ(それはわたしたちの成り立ちの本当に深いところに組み込まれている)、暴力性、被差別者の持つ(とされた)力、妖しさ、それらに魅入られ生まれる物語、今そこで暮らしている人たちの苦しみ、誇り。紀州の圧倒的な緑と海を背景に、中上健次の幻視を通じてさまざまなことどもが、遠く近くににチカリチカリと光を放つ。

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