- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041459515
作品紹介・あらすじ
終戦直後の上野不忍池付近、博打にのめりこんでいく”坊や哲”。博打の魔性に憑かれ、技と駆け引きを駆使して闘い続ける男たちの飽くなき執念を描いた戦後大衆文学最大の収穫!!
感想・レビュー・書評
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再々々々々々々々々読…
初めて読んだ10代の頃から約40年、何度読み返したか分からない。私は史上最高の傑作の一つだと思っている。
さて、本作は麻雀小説かと言われるとそうであるがそうでもない。戦後の様子を描いた青春群像でもあり、ピカレスクロマンでもあるのだ。
この作品に出てくる無頼な博打打ち達は悉く性格破綻者であり、博打でしか生きている実感を感じられないはぐれものだ。だからこそ生の、生きている臭いがプンプンとする。彼らは全身全霊を賭けて生きている。戦後の復興期に少しずつ安定を求める人々が増えている中で、彼らだけは獣であろうとした。
彼らは多分近くに寄ると耐えられないような獣の臭いを発散しているだろう。言動も野卑で常識もマナーもない。でも、それなのに、この何とも言えない潔さは何だろう。眉を顰めながらも彼らの一挙手一投足から目が離せない。
現代に生きる私たちには決して出来ない、アウトローとしての生き方。それは昨今の節操も思想もない犯罪者とは全く違う、彼らなりの一本芯の通ったアウトローとしての矜持。それを感じるから読む手が止まらないのだと思う。
余談だが、亡くなった和田誠さんが初監督した「麻雀放浪記」は日本映画史上に残る名作だ。映画をこよなく愛し、本作を愛した和田誠だからこそ撮れた至極の映像作品。特に鹿賀丈史のドサ健と高品格の出目徳はハマり過ぎていて他の俳優ではあり得ないと思わせるほど。
今夜は本作を読み直した余韻に浸りながら、映画「麻雀放浪記」を観ようと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
不幸じゃない生き方ってのは、つまり安全な生き方って奴があるだけだな。安全に生きるために、他のことをみんな犠牲にするんだーードサ健
俺たたちゃこれで生きてるんだ。死ぬまでやるのさ。負けるってのは、つまり死ぬときのことなんだーードサ健
面白えね!博打はこれだから面白れぇ。死ぬも生きるもサイの目ひとつ、どうせなら、こんなふうに簡単に死にてえものさーー上州虎
戦争が終わって間もない、焼け跡そのままの東京で悪漢無頼の博徒達が出し抜き出し抜かれ、陥し入れ、嵌められ…
信じられるのはこの身ひとつ。博打で負けたら同じ博打で勝ち返す以外に生きる道なし!!
ドサ健格好良いぜ!!そしてまゆみはいい女だぜ! -
麻雀素人の私にはわからない単語とかわからない部分が結構あった
賭け麻雀こわ〜〜
でも読んでると麻雀したくなる -
高校生の頃だから40年ほど前かな、毎日新聞の日曜版に色川武大さんのエッセイ「うらおもて人生録」が連載されていて毎週楽しみに読んでいた。ツキとか運とかいうものとの付き合い方とかが語られる独特の人生論で、感覚的に理解出来る内容なんだけどそんな話を文章で語ってくれるのを初めて読んだし、若い頃から凄い世界に身を置いていた人なんだなあと思いなから読んでいた。
映画「麻雀放浪記」が公開され話題になったのも同じ頃だと思うが、色川武大という人物と麻雀放浪記は私の中ではまだ繋がっていなかった。
色川武大さんが「朝だ徹夜」をもじったペンネームで書いた半自伝的小説が「麻雀放浪記」だと知り「坊や哲」のモデルは色川さん本人だったんだと気付いた時、全て納得した。 -
40年振りに読んだけど、面白い。
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文学
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ずっと読もうと思っていながら何故か読んでいなかった一冊。チンチロリンから始まって次第に麻雀が戦後の日本でメジャーになっていく背景や、何よりも博打に身を投じる気概が今ではとても考えられず、当時の本当に真剣な勝負に息詰まる。全自動となった今の麻雀にはない様々なイカサマや技も興味深い。シリーズを読破したいと思い、麻雀を久し振りにやりたくなった。
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滲み出るほど濃い背景を持つ登場人物に、冴える真剣勝負の描写。ため息が出るほど面白い。対局の間に人が死んでるのに、死体から有り金をひんむいた上で、まだサンマアで勝負を続けるバイニンたち。理解できない。それなのに、巻末の解説はムツゴロウとは。訳がわからないよ。そういえば、学生時代に一度だけ天和を直に見たことがあることを思い出した。人が一生にできるかできないか、ということを日常にしている人たちなんだろうな。