小説兜町 (角川文庫 緑 463-25)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041463253

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  • 高度経済成長期真っただ中、活況と沈滞を繰り返し膨張する証券市場で場を張る男たちを描く。振り切った「The 昭和」が面白い。旧弊の一任勘定と自己売買で株取引を行い愛人を囲って破産すれすれまで勝負を賭ける。いまの法律と常識だと完全アウト。主人公の山鹿は当時の日興証券株式部長をモデルにした半ノンフィクションのようだが、逆に現代から見ると完全にフィクションの世界だ。

    為替変動相場制もなくデリバティブもなければ、ましてや金融工学もない。ゆえに株取引ではなく大戸の「相場」というセリフが印象的だ。ある意味シンプルな世界だけに時々相場の真理めいた哲学が秘められている。経済の主役が資本家から企業家に移っていった象徴的な時代が描かれた経済小説である。面白い。

  • 入社以来2年間を地味な事務作業で過ごしていた山鹿は、株式市況の悪い昭和29年4月、新設された投資信託販売特別班長の一人に抜擢された。独自の発想と勘で農協や信金などの雑金融機関から大口の注文を集め抜群の実績を上げる。さらに神武景気の端緒を見抜き造船株一本に賭けて‥‥

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著者プロフィール

1931年東京向島生まれ。週刊誌記者などを経て、66年に証券界の内幕を抉った『小説兜町』でデビュー。一躍ベストセラー作家となる。75年『動脈列島』で日本推理作家協会賞受賞。『虚業集団』、『敵対的買収』、『ITの踊り』など著書多数。2010年に永眠。

「2022年 『小説 兜町』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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