- Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041478011
感想・レビュー・書評
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この作品の舞台になっているO高校は三田氏の母校であり、私の母校でもある。出席番号が女子が先とか、定時制があるから17:30完全下校とか懐かしい…。本作は決して楽しい話ではない。三田氏の私小説である。高校生という社会とも世間ともうまく馴染めない微妙なお年頃を丁寧に描き出した作品。2011/311
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記憶というものは、消えていくのではなく、
心の奥底にしまい込んでいるものなのかもしれない。
ふとしたことが鍵となり、しまい込んでいた箱が開けられ、記憶が蘇る。
折りたたんだ皺くちゃの紙を広げながら、
色あせた記憶の中に時折鮮やかに浮かび上がる懐かしい記憶。
すっかり忘れていたはずのあんな光景、あんな気持ち。
この作者の本を確か持っていたはず、と実家の本棚から取り出したのはごく薄い一冊。
表紙の絵には記憶があるが、その内容はまたしてもまったく覚えがない。
たくさんの本を乱読していた数十年前。そんな頃の一冊。
舞台となっているのは、ちょうど自分が生まれた頃。
学生運動の話題が別世界の印象を与える。
が、読み進むうちに、何かがほぐれていく。
進学のための勉強。熱心だったとは言えない部活動。
若さが抱える不満と憧れ。
自分は何がしたいのか、何になれるのか。
異なる時代の若者の悩みに、自分の過去を重ね合わせる。
あの頃の自分がどんな思いを持ってこの作品を読み終えたのかはわからない。
続けてこの作者の作品を読んでいない所を思えば、不満だったのかもしれない。
物語としての期待と違ったのか。主人公の中途半端な決断を肯定できなかったのか。
今、記憶の箱を開ける鍵として、再び出会ったこの作者の作品を、
今度はもう少し読んでみようと思う。
「蛍雪時代」のずっしりとした重みを思い出した。
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進学校に進んで、社会に対して疑問を持ち始めた主人公は、疑問の根源的な問題は自分の進むべき道であることに気付く。っていう高校生らしからぬ姿が描かれた私小説。
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読んでいると知識欲が沸いてくる。