kaizenさんの感想
2012年1月20日
栗本薫らしさを感じるよりも、栗本薫の悩みが表出したような作品かもしれないと感じた。 暴力刑事、暴力刑事への理解を持ちつつも正義感を優先させようとした同僚刑事、暴力団の罠にはまって人を殺した少女。 どれも栗本薫の分身のようだ。 同僚刑事は配偶者を誘拐されて暴力刑事を裏切り、暴力刑事は人を殺した少女が暴力団から切られた事態で少女を守ろうとし、少女は逃走中に死亡する。 栗本薫の美学なのかもしれない。 誰も自分自身として生き残れない。 話の展開の劇的なことがすごく、繋がりも違和感がなく、文学としては評価が高い。
東京都生まれ。早大卒。江戸川乱歩賞、吉川英治文学新人賞受賞。中島梓の筆名で群像新人賞受賞。『魔界水滸伝』『グイン・サーガ』等著書多数。ミュージカルの脚本・演出等、各方面でも活躍。 「2019年 『キャバレー』 で使われていた紹介文から引用しています。」