狂桜記 大正浪漫伝説 (角川文庫)

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  • 角川書店 (2005年10月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784041500668

作品紹介・あらすじ

南吾野の人々に「桜屋敷」と呼ばれている古い屋敷。幹彦は母と妹と叔母、いとこたちとともに暮らしていた。ところが、ある日、いつもいじめていた聡が事故で死んでしまい――。書き下ろし長編ミステリ。

みんなの感想まとめ

退廃的な雰囲気の中で、少年が大人へと成長していく姿をしっとりと描いた作品です。主人公の幹彦は、大正末期の混沌とした時代背景の中、家族や周囲の人々との複雑な人間関係に悩みつつ、様々な出来事に巻き込まれま...

感想・レビュー・書評

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  • 大富豪の孫で中学生の幹彦君が主人公です。時代は大正末期で、だんだん日本が戦争に向かっていく雰囲気が出てきています。そんな中である夏休みに彼の身に様々なことが起こります。
    巨大な屋敷の中庭に巨大な桜の老木があって、それが秋に狂い咲きします。それがこの一族が壊れて行くのを象徴しているみたいですね。作者はこういう滅び行くものが好きなのかもしれませんね。(私も嫌いではない。)

  • また旧家の美少年主人公のえずくろしい人間関係の全員死ぬ系か、と思うがそれが女史としては大正浪漫らしい。
    子供を手ずから育てぬ子育てを本格的にはしたこともせぬお母様などはたんに時代に取り残された感あってかわいそうにも感じた。死んだ子供たちも世が世なら自然とされたのかな。女史はノスタルジーとその世界観の気味悪さ、幼少時代のうねりを書きたかったのかもしれない

  • 子供から大人へと移り変わろうとする男児。人生の中で一番あやふやであやうくあやしい時間。そのニ度と訪れない時期に、幹彦少年が経験した一夏。

    聡を嫌い哲志に憧れを抱く心持ちが、幹彦の年相応の葛藤を見せているのは微笑ましい一面である。ただ、一方的に年長者においていかれる追いつきたい思いを抱えてしまい、それを共有できない聡を切り捨てるかのように嗜虐趣味を見せるのは、気持ちの良いものではない。ヤンキー気質はこういう感情の発露だと思う。好きではない。
    微笑ましいと思えたのは、冷笑込み。

    叔父との秘事から漏れ出る禁忌の魅惑は、栗本薫の本領発揮ではないかな。他には「グイン・サーガ」しか読んだことないのだが、性への抗えない引力と、禁忌に触れているという背徳の興奮は、衝動を突き動かす何かをもたらしてしまう。一方、冷静に理性で、そういう状態に陥ってしまっている自分を観察する視点も両立させるから、ぐちょぐちょに精神が煮られてゆく。没入と監視の同時進行は、子供と大人の二つの存在に揺れる幹彦の状況ともあっていると思う。潔癖と汚辱の二つもそうか。

    柏木の家に暮らしている人々は誰もが二つの属性をもち、それを行ったり来たりしながら、平常であることを演じながら日々を過ごしている。
    永遠に揺れ続ける振り子に、異常を感じないように。誰もが互いに、気づかないふりをしながら。気づいているであろう使用人たちは、ここでは登場人物ではない。
    何かのきっかけでいずれ壊れてしまうのが約束されていたであろう柏木の家。そのきっかけの瞬間にいてしまった幹彦。
    彼が元凶ではなく、兆しでもなく、ただただ最後の一押しになってしまっただけ、という気がする。


    たぶん、人生の中で自分自身を認識する際に、何をもって確定すればいいのか一番不安定な時期が、作中の時間だと思う。身体も精神も外見も思想も、全てが何者にもなれるしなってしまえる、という季節。
    聡、まさ枝、哲志、聖彦、透子。
    それぞれが幹彦を導き汚し救い捨てていった。
    どれか一つに寄りかからずにいたから、柏木の家に取り込まれることはなかったのだろうと思う。

    この夏の幹彦が幸せだとは思わない。でも、不幸だったとは決めつけられない。
    憧れも失望も嫌悪も秘密も全て経験して、自分が望んだこと以上の経験を得た一夏。
    妖しさと危うさから生まれた幹彦は、一息に大人へと変化していきました。
    本来なら、もう少し時間をかけて経験し成長するはずだったのに。
    そこには寂しさがある。

  • 大正浪漫ミステリー


    退廃的な雰囲気と、少年が大人になっていく様子を
    しっとりと描いてて。
    栗本薫ワールドだな

  • 栗本さんの中には「大正浪曼伝説」という大河が流れているらしい。

    奥付を見て、以外と新しい作品であることに驚く。(2000年1ケタ台)
    大正浪曼オタク(失礼!)と思われる栗原さんにかかれば、本当に大正の昔に書かれたような、そんなにおいの文章に驚く。

    退廃的で、気だるげで、現代にはない雰囲気の作品。

  • 栗本薫の作品には、桜がよくでてくる。
    セイレーンは桜井だし、
    緑の騎士は、桜を切る話から始まる。

    栗本薫は、戦後の新人類(new generation)の日本人の典型なのかもしれない。

    そう気がつくと、大正浪漫を書きたくなった気持ちも推測できる。
    新撰組ものよりは、より現実味を帯びている。

    あとがきの
    「あまりに味気なく、そしてあまりにも色気も艶も、妖しさもふしぎな憧れも消えはてたいまのこの世であってみれば、なお。」
    で想像がつく。

    他人から見れば、栗本薫は味気があり、艶も妖しさもあり、
    不思議ちゃんとして憧れる人なのに。なぜ。

  • 初めて読んだ栗本薫の作品。
    重くて陰鬱な話だけど続きが気になってやめられない!

    今度はもう少し軽めの話を読みたい。

  • こんな本書いていたとは知らなかった。
    作者晩年に得意だった大正ゴシックロマン?、桜屋敷と呼ばれる古い屋敷に住む人々をめぐる物語。屋敷には一族の他にも関係がよくわからない遠い親戚や食客、大勢の使用人などが溢れており、蔵には秘密めいた病人もいる。主人公の少年の目からこの閉鎖的な旧家の内情を描き、さまざまな人間関係や真の姿が徐々に明らかになっていくという話。栄華を誇る退廃的な一族が滅びていく姿を描かせるとこの作者はやはりうまい。

  • 大正時代、ミステリーということであらすじ買い。

    旧家の一族の絢爛たる暮らし(これもまあ見せかけ)が崩壊するまで。読みにくくてちょっとずつ読んでたのですが、子どもたくさん出てくるしで分からなくなりそうだから一気読み。

    主人公に起こる出来事はひどいが、どこか小さい頃の特別な体験、行っちゃいけない場所とか謎なところとかそういう不思議に思うことはちょっと懐かしいように感じられた。

    ただもう、この小説の場合、大体の人が狂気じみてました。

  • 樹齢数百年を経た中将桜が庭先に構え「桜屋敷」と呼ばれる柏木家。
    主人公は、14歳の幹彦。
    普通じゃない家。東京で噂された赤マントが近所で目撃された恐怖。
    苛めた直後に行方不明になり死んだいとこ。
    大人へと急ぐ幹彦に降りかかる災難。
    思春期独特の子供でも大人でもない中途半端な時期の苛立ちと
    焦りは上手く表現できてたと思うが、これは陰鬱な家の崩壊物語。
    読後感はよろしくないです。

  • 大正浪漫ゴシック文学、てとこですか。まぁまぁ、かな。著者への期待も込めて読書前の期待度は高かったのだけど、そんなにわくわくすることもなく、、ちょっと辛口の戦前裕福一家への辛口批判みたいな風合いも…^^;

  •  えーとね、これ、後ろの説明文に「大正ゴシックミステリ」と書いてあるんですが。
     結論から言うと、ちょっとトラウマになりました。
     あの……いや……ミステリって書いてあって、主人公が掘られると誰が思うよ……( ゚д゚)
     耐性がある私でさえこうなので、一般的な男性がよく考えず読んじゃったら、大変な心の傷を負いそうな話です。私読んでる間に妙な気分になっちゃって何回かオエってなったもん。そのくらい文章はきれいな話だったんですけどね……。
     あとこれはミステリじゃない。
     アリバイもトリックもなく、推理材料が何もない上、最後に出てきた犯人も唐突に告白されただけで、その人が犯人であると特定するものが告白以外に何もないため、単なる大正サスペンスと化しています。これは詐欺ではなかろうか。結局、全ジャンルまんべんなく書くなんて無理なんだな、と思った。大正耽美サスペンスって書いとけばおもしろく読めたのに。そう。これは美少年が妖しい情事にふける耽美小説なのでした。言ってよ! 先に言ってよ!! 油断して読んでえらい目にあったよ!(しばらく妙な気分が抜けなかった)(本に影響を受けやすいため)
     あと大正だって期待したのに全然大正っぽい文化描写が出てこなかった。なんでいじめられて虐げられてるような娘がスカートはいてんの!
     でも文章は美しくて心に染み入りました。いい文章であった。今度もうちょっと普通の題材で読ませてください。

  • 大正時代が舞台だと言うことで購入しました。
    日本の旧家を舞台としたミステリ。
    大正時代。通称「桜屋敷」と呼ばれる古い家で、立て続けに不吉な事件が起こるというもの。子供を攫う赤マントの噂や、蔵の中で暮らす謎の人物など、時代的な設定は魅力的です。ただ、甚だ個人的な好みなのですが、登場人物にどうも共感がもてず、ランクを2としました。

  • 久しぶりに本物のダークストーリーを読んだ気がする。正気ではない人間の沙汰が事細かにかかれ、複雑怪奇な人間模様は隠れた日本の本当の姿のようでゾッとした。温かく平和な日常ではない世界もあるのだと感じてしまうような作品。

  • 叫びたいわけじゃないけど、とにかく何か怖い。別段なにか恐ろしいものがでてくるわけではないのに、背中が寒くなる。樹齢何百年という桜のもとで繰り広げられる、正気じゃない世界。

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著者プロフィール

東京都生まれ。早大卒。江戸川乱歩賞、吉川英治文学新人賞受賞。中島梓の筆名で群像新人賞受賞。『魔界水滸伝』『グイン・サーガ』等著書多数。ミュージカルの脚本・演出等、各方面でも活躍。

「2019年 『キャバレー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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