狂桜記―大正浪漫伝説 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041500668

感想・レビュー・書評

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  • 大正浪漫ミステリー


    退廃的な雰囲気と、少年が大人になっていく様子を
    しっとりと描いてて。
    栗本薫ワールドだな

  • 栗本さんの中には「大正浪曼伝説」という大河が流れているらしい。

    奥付を見て、以外と新しい作品であることに驚く。(2000年1ケタ台)
    大正浪曼オタク(失礼!)と思われる栗原さんにかかれば、本当に大正の昔に書かれたような、そんなにおいの文章に驚く。

    退廃的で、気だるげで、現代にはない雰囲気の作品。

  • こんな本書いていたとは知らなかった。
    作者晩年に得意だった大正ゴシックロマン?、桜屋敷と呼ばれる古い屋敷に住む人々をめぐる物語。屋敷には一族の他にも関係がよくわからない遠い親戚や食客、大勢の使用人などが溢れており、蔵には秘密めいた病人もいる。主人公の少年の目からこの閉鎖的な旧家の内情を描き、さまざまな人間関係や真の姿が徐々に明らかになっていくという話。栄華を誇る退廃的な一族が滅びていく姿を描かせるとこの作者はやはりうまい。

  • 大正時代、ミステリーということであらすじ買い。

    旧家の一族の絢爛たる暮らし(これもまあ見せかけ)が崩壊するまで。読みにくくてちょっとずつ読んでたのですが、子どもたくさん出てくるしで分からなくなりそうだから一気読み。

    主人公に起こる出来事はひどいが、どこか小さい頃の特別な体験、行っちゃいけない場所とか謎なところとかそういう不思議に思うことはちょっと懐かしいように感じられた。

    ただもう、この小説の場合、大体の人が狂気じみてました。

  • 樹齢数百年を経た中将桜が庭先に構え「桜屋敷」と呼ばれる柏木家。
    主人公は、14歳の幹彦。
    普通じゃない家。東京で噂された赤マントが近所で目撃された恐怖。
    苛めた直後に行方不明になり死んだいとこ。
    大人へと急ぐ幹彦に降りかかる災難。
    思春期独特の子供でも大人でもない中途半端な時期の苛立ちと
    焦りは上手く表現できてたと思うが、これは陰鬱な家の崩壊物語。
    読後感はよろしくないです。

  •  えーとね、これ、後ろの説明文に「大正ゴシックミステリ」と書いてあるんですが。
     結論から言うと、ちょっとトラウマになりました。
     あの……いや……ミステリって書いてあって、主人公が掘られると誰が思うよ……( ゚д゚)
     耐性がある私でさえこうなので、一般的な男性がよく考えず読んじゃったら、大変な心の傷を負いそうな話です。私読んでる間に妙な気分になっちゃって何回かオエってなったもん。そのくらい文章はきれいな話だったんですけどね……。
     あとこれはミステリじゃない。
     アリバイもトリックもなく、推理材料が何もない上、最後に出てきた犯人も唐突に告白されただけで、その人が犯人であると特定するものが告白以外に何もないため、単なる大正サスペンスと化しています。これは詐欺ではなかろうか。結局、全ジャンルまんべんなく書くなんて無理なんだな、と思った。大正耽美サスペンスって書いとけばおもしろく読めたのに。そう。これは美少年が妖しい情事にふける耽美小説なのでした。言ってよ! 先に言ってよ!! 油断して読んでえらい目にあったよ!(しばらく妙な気分が抜けなかった)(本に影響を受けやすいため)
     あと大正だって期待したのに全然大正っぽい文化描写が出てこなかった。なんでいじめられて虐げられてるような娘がスカートはいてんの!
     でも文章は美しくて心に染み入りました。いい文章であった。今度もうちょっと普通の題材で読ませてください。

著者プロフィール

東京都生まれ。早大卒。江戸川乱歩賞、吉川英治文学新人賞受賞。中島梓の筆名で群像新人賞受賞。『魔界水滸伝』『グイン・サーガ』等著書多数。ミュージカルの脚本・演出等、各方面でも活躍。

「2019年 『キャバレー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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