心的現象論序説 改訂新版

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  • Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041501047

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  • 心がひきおこすさまざまな現象に、適切な理解線をみつけだし、統一的に、心の動きをつかまえようとして書かれた本である。

    あの人はなぜあんなことをしたのだろうか?
    この人はどうしてそんなことを言うのだろうか?
    わたしが悲しいのはどういうわけか?

    人に心があることはどうにも否定し難い事のように思われ、心が現実に及ぼす影響もかなりなものがあると思われるので私もつねづね興味を持っていたので、つい手にとってしまったが、一度読んだだけではさっぱり解らなかった。それでも、食い下がって再読してみても後半に至るまで四苦八苦した。ところが不思議なことにある点を超えると何となくわかってくるような気がしてきた。たぶん難解な言い回しや極度の抽象化に慣れたのかもしれない。三回読めばもう少しわかるようになるのかも知れない。筆者の苦闘によって大切なことが書かれているのは間違いない。

    だいたいこういうことだって心的現象であるが、この本で取り上げられているのは、感情・発語・夢・心像(イメージ)である。どれも興味深い分析だった。

    『共同幻想論』は共同体に共通する心的な現象を扱っていて、それに対してこの本は純粋に個体について、その個体の内部で引き起こされる現象について扱っている。しかも、序説ということで非常に抽象的、理論的な記述で難解だった。<空間化度>と<時間化度>という概念を立てこれらを軸に心的現象を分析してゆく試みである。<空間化度>は感覚・知覚に関係しと<時間化度>は了解・概念に関係しているようである。

    精神分裂病の症例も多く引かれ、読めば読むほど異常とか病的とか呼ばれる心の状態と自分の常日頃の心の状態とがそう変わりないことに驚くとともに、「あぁ、やっぱりなぁ…」という気持ちになった。ハッキリとすることとそれ故にクリアな疑問が湧く。心は広大である。心とは独立して存在するこの世界と関係することで成り立っているから当たり前と言えば当たり前である。

  • 早く本編を出してほしい

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著者プロフィール

よしもと・たかあき(1924ー2012)
詩人、評論家。東京工業大学在学中に動員先の富山で敗戦を迎える。同大卒業後、詩集「固有時との対話」「転位のための十篇」(一(1952-3)、「マチウ書試論」(1954)などで注目され、『文学者の戦争責任』(1956)「転向論」(1958)等を経て60年安保時には新左翼の理論的支柱と目された。文学や芸術、政治、経済、国家、宗教、家族、大衆文化に至るまで、一貫して在野から不断の評論活動を展開し、「戦後思想界の巨人」と呼ばれる。『言語にとって美とはなにか』(1965)『共同幻想論』(1968)『心的現象論序説』(1971)『最後の親鸞』(1981)『源氏物語論』(1985)『宮沢賢治』(1989)『ハイ・イメージ論』(1989―94)『夏目漱石を読む』(2002)等著書多数。

「2022年 『ことばの力 うたの心 吉本隆明短歌論集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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