ニューヨークは笑わない (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
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本棚登録 : 16
レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041540589

作品紹介・あらすじ

何年ぶりかに耳にした一曲のバラードが遠い記憶を鮮かに蘇らせることがある。同じように躍動するスポーツの一瞬のシーンに、人はさまざまな思いを重ね合せ、心の奥にしまい込むのかもしれない-。それは時として意外な繋りを持って意識の表面に浮び上っては人をさらなる思いに誘う。ベースボール、サッカー、ボクシングなど著者が長年親んできたスポーツにまつわるさまざまなシーンを通して、その魅力の本質に迫る傑作ノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • スポーツノンフィクション…だけではなく、エッセイ風のものもあり。青山通りで追い越していった車のカーステレオから流れる音楽に思いを馳せたり。ニューヨークにながれる川をボートでわたり、どこへいく?ととわれれば、from NY to NYとこたえる、大笑いで Welcome to NY!とかえしてくれる、そんなシーンが好き。バブルのころの様々なモノを買いあさる日本人に、アメリカ人のコメンテーターが、「かつて、ドルがとても強かったころのアメリカ人の姿を思い出しますね」という皮肉。プロの鍵師の「開けることを考えてばかりいるやつは、まあ、この道じゃ半人前だね。同じ腕と、それに頭を使って、キチッと閉めるシステムを作るやつが一人前だ」と語る語り口。監督を解任されたばかりの王貞治から、インタビューで、解説者や評論家について「どうしてもおれがやらなきゃならない商売じゃなさそうだからね。男として、おれじゃなきゃといわれるような商売をしたいじゃない、どうせやるなら」と語られたり。マイク・タイソンのインタビューととるために、暑いブルックリンをかけずりまわり、鳩の話しで少しは反応をだせたけど、結局はあまりインタビューとならなかった件。ヘルナンデス戦で目の当たりにしたフォアマン。「フォアマンがのっそりと近づき、ぼこっという音を立てて右のフックを打った。叱りつけているようなパンチだった。虚勢を張って格好つけてどうするんだ、ボーイ、生きるってのはそんな簡単なことじゃないんだ、わかってるのか。そういうパンチである。」(p.191)/いつもせわしなく旅しているような、私小説というより私ノンフィクションといような、不思議なあじわい。

  • 『笑うニューヨーク』という本を読んだことはあったけれど、その本の題名は、この『ニューヨークは笑わない』をもじって付けられたのね。この場合の「笑わない」は、「地震がない」という意味でした。またひとつ勉強になりました。山際さんの文章が好き。

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著者プロフィール

作家。1948年神奈川県生まれ。中央大学法学部卒業後、ライターとして活動。80年「Sports Graphic Number」(文藝春秋)創刊号に掲載された短編ノンフィクション「江夏の21球」で注目を集める。81年同作が収録された『スローカーブを、もう一球』(角川書店)で第8回日本ノンフィクション賞を受賞。NHKのスポーツキャスターとしても活躍。95年5月29日没。著書多数。2017年7月に野球短編だけを集めた傑作選『江夏の21球』が角川新書より刊行。

「2018年 『衣笠祥雄 最後のシーズン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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