タッチ、タッチ、ダウン (角川文庫 や 10-14)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041540657

感想・レビュー・書評

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  • この人、小説も書けるんだな。

    人生に何を求めて、何に熱中するのかってのは本当に難しい問題。
    自分の「夢」は「人生」を賭けるに値するのかどうか、ずっと悩むんだろうと思う。
    だから、やりたいことがあってもほとんどの人は途中で、折れる。
    そうじゃなかったら、世界はスポーツ選手とバンドマンで溢れてしまう。

    でも熱くなれるモノは簡単には捨てられない。
    ココロのどこかに引っかかる。
    主人公にとってのそれがアメフトだった、と。


    ちょうど学生時代というモラトリアムを抜けかけている自分にとっては意味のある一冊でした。

  • スポーツノンフィクションというジャンルは山際淳司で知った。有名な選手はモチロンのこと、高校野球の無名な選手に対しての丹念な取材。そのとき何を思っていたのか、実際にどうプレイされたのかが精密に再現されていく。スポーツでは全て一瞬で終わってしまうプレイの中にも様々な思いが錯綜する。山際淳司が亡くなってしまい新刊が出されないのがすごく残念だ。

  • 美しい小説を読んだ、というのが正直な感想だ。山際淳司の小説は、常に美しいので今更かもしれないが。シンプルなものには、美しさがある。山際淳司の小説は、いつもシンプルな構造をしている。謎解きも複雑な人間関係もなく、ただスポーツと携わる人間たちだけが、明解に描写されているのだ。
    文字世界のフットボールは、切ない。30代になっても、アメフトを愛さずにはいられないプレイヤーたちの姿がある。日々の仕事に疲れ、人間関係に倦んでも。ヘルメットをかぶり、プロテクターをつけてフィールドに向かうとき、彼らの目は輝いている。退屈な過去も先の見えない未来も忘れて、ただ勝利を手にするために。
    『タッチ、タッチ、ダウン』は『アイシールド21』の高校生たちの、あり得るかもしれない未来かもしれない。若さの盛りを過ぎても、フットボールから離れられない大人たちの姿。それは一抹の切なさと、目を放せない格好良さを併せ持っていた。

  • アメリカンフットボールを学生自体にやっていた主人公が銀行に勤めるが、ある事情で退職。ただアメリカンフットボールはクラブチームで続ける。
    山際淳治(「江夏の21球」でデビュー)の小説。
    なにげに開いて読んでいたらいつの間にか読了していた。もっと長生きしてもらいたかった。

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著者プロフィール

作家。1948年神奈川県生まれ。中央大学法学部卒業後、ライターとして活動。80年「Sports Graphic Number」(文藝春秋)創刊号に掲載された短編ノンフィクション「江夏の21球」で注目を集める。81年同作が収録された『スローカーブを、もう一球』(角川書店)で第8回日本ノンフィクション賞を受賞。NHKのスポーツキャスターとしても活躍。95年5月29日没。著書多数。傑作選に『江夏の21球』『衣笠祥男 最後のシーズン』(いずれも角川新書)。

「2020年 『たった一人のオリンピック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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