やさしいダンテ<神曲> (角川文庫)

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  • 角川書店 (2011年1月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784041576267

作品紹介・あらすじ

人は死んだらどうなるの? 地獄に堕ちるのはどんな人? 底には誰がいる? 迷える中年ダンテ。詩人ウェルギリウスの案内で巡った地獄で、こんな人たちに出逢った。ヨーロッパキリスト教の神髄に迫る!

みんなの感想まとめ

人の死後の世界や道徳的な選択について深く考察する作品であり、古典的な『神曲』を現代的な視点で楽しむことができる。著者の独自の視点と解説により、難解な内容がわかりやすく、まるでマンガを読むような感覚で読...

感想・レビュー・書評

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  • <翻訳文学試食会>というポットキャストで「人生で読もうと思っている大作を今年読もう」企画があって、私はダンテ『神曲』にチャレンジ。
    しかしいきなりは難しそうなので、解説書から読みましょう。こんなときには阿刀田高がきっと書いているに違いない。…やっぱり書いてたー!困った時の阿刀田高!
    ということで、阿刀田高の本書と、挿絵の『ドレの神曲』と、神曲本編を同時進行で読みます。

    本編『地獄篇』
    https://booklog.jp/users/junsuido/archives/1/4309463118

    ❐作者ダンテ=アリギエーリの人生
    1256年にフィレンツェで生まれた。家は元貴族だがその時はほぼ商人。
    その後政治、宗教の争いのためフィレンツェを追放、文学者としても名を挙げるが1321年にラヴェンナで死んだ。その後フィレンツェとラヴェンナで遺体をどっちに埋葬するか騒動が起きたけど、結局のところラヴァンナに立派な霊廟が建てられた。

    ❐功績
    トスカーナ語で愛を歌う「清新体派」が彼の源流となる。ラテン語から離れて、民衆の言語であるイタリア語で美しく明晰な言葉と洗練された文章で詩作し、ルネッサンス運動の発端となった。ダ・ヴィンチ、ミケランジェロたちの出現の元になった。「何かを変えた」って人ですね。
    ローマ教皇治世を嫌っていたので、それ以前の治世ということで古いギリシャ精神がルネッサンス運動のもととなった。

    ❐政治、宗教の争いについて
    元をたどればローマ教皇と、神聖ローマ帝国皇帝の争いになる。ローマ教皇はヨーロッパ全土の特にカトリック諸国に影響を及ぼした。神聖ローマ帝国はドイツ中心に権力を伸ばしていた。ダンテの時代、農民とは違う新たな市民階級として商工業者が台頭していた。フィレンツェは教皇派と皇帝派の争いに巻き込まれ、何十年にも渡り敵になり味方になり争い続けていた。
    ダンテの家は代々教皇派。ダンテの頃、ローマ教皇派のグェルフィ党(ダンテも所属)と、皇帝派のギベリーニ党の対立となっていた、最初は教皇派が優勢だったが、反抗、和平、小競り合い、和平…を繰り返している。グェルフィ党は商人階級中心の白党と、封建貴族中心の黒党に別れ、ダンテは白党のリーダーになる。しかしローマに行った時に告発されてフィレンツェに帰れなくなる。
    フィレンツェでは、ローマ教皇派と皇帝派が互いに争い追い出し巻き返し…を繰り返している。
    『神曲』では、地獄の死者に実在の人物名が出てくるが、この政治宗教争いのダンテの立場からの恨み?のようなものも現れている…らしい。

    ❐ダンテの永遠の女性ベアトリーチェ
    父のポルティナーリ氏はフィレンツェでも上層階級で裕福で慈善活動もする人格者。ダンテは九歳のときに、数ヶ月年下のベアトリーチェを見て「神の啓示」に打たれた。あまりにも特別な想いだったので現実には近づかずに心のミューズ心の女神心の…。阿刀田高は「女性からすれば、自分に気があるような男性からまったくアプローチがなく、しかしあきらかに崇拝を隠さず、戸惑っただろう」って書いているけど、まったくである。ダンテと神の間で完結しちゃってる恋を向けられたって困るよね。
    どっちにしろベアトリーチェのほうが身分も高く、彼女は同等の男性と結婚して、しかし24歳で亡くなっている。
    ダンテもジェンマという妻の間に5人の子供が生まれている。
    『神曲』は、天国にいるベアトリーチェが「迷えるダンテを救ってほしい」と頼むことにより始まる。

    ❐『神曲』の作中の時間
    ダンテ35歳。1300年4月8日夕方から、9日の夕方の出来事。一昼夜で地獄、煉獄、天国を巡っているので、あの世の時間とこの世の時間は違う、って考えてよいのだろう。
    ❐案内人の詩人ウェルギリウス
    ギリシャとトロイの「トロイ戦争」でトロイが壊滅した後、トロイの武将アエネアスが地中海を彷徨い、行き着いた先でローマ帝国を建国する、という伝説がある。その旅の中で地獄巡りもある。ローマ最大の詩人であるウェルギリウスは、叙事詩『アエネーイス』でそれを綴っている。

    【地獄】
    ❐地獄の階層
    ホメロス『オデュッセイア』、ウェルギリウス『アエネーイス』などで示されているものが元になっている。
    神は自制心の欠如、悪意、獣性を食らう。暴力はもちろんいけない。欺瞞は人間特有の罪だから暴力よりも重く罰せられる。つまりうっかり我を失って犯した罪のほうが、意図的に犯す罪より軽い。
    まずは地獄の門がある。それから大河アケロン川を船頭カロンの船に乗り地第一層に。
    地獄ではダンテたちが出会った人々の実名も出ますが、キリスト以前の古代ギリシャ神話の登場人物や、歴史上の人物の名前も出てきます。特にダンテが対立した皇帝派や、ローマ教皇はの黒党の人たちはかなりの悪人扱いで地獄に落とされ厳しい責めを受けている。若干ダンテの私怨が(^_^;)
    第一階層(辺獄/リンボ)は、キリスト教の洗礼を受けていない、キリストが生まれる前の人々。罪は犯していないが天国にはいけない者。ウェルギリウスはここにいるがダンテを案内するために特別に出てきた。
    第二階層から第五階層が地獄の上層で、怒りのあまりの暴力とか身を焦がす恋だとか「まあ自制できないよね」という罪。
    第六層以下が下層部で、人を騙したり陥れたり、作為による罪なので重いらしい。上層部と下層部はもんで隔たっているのでウェルギリウスだけの力では入れず、天使の力を借りた。
    第八層のなかで「不和や分裂をもたらせた者」がいる場所にはマホメットやシーア派の元になった娘婿のアリーがいて、身体を裂かれている。地獄も下層になると地獄の刑罰描写が凄まじいんだけど、ダンテとしてはキリスト教とイスラム教の戦争の歴史はマホメットに責任を見ているのだろう。しかし現代感覚からすると、キリスト教万歳の都合が良すぎるんだよなあ。
    そして最下層の第九階層(コキュトス)は凍りついた世界で裏切り者の地獄。なぜ「裏切り」が一番罪が重いのかと思ったら、イエスを裏切ったユダ、人類最初の人殺しのカイン、ローマ皇帝カエサルを暗殺したブルータスやカシウスが最大の罪人扱いだからのようです。
    なおここには「巨人たちが穴の周りに並べられている」というので思い浮かぶのは『進撃の巨人』で壁の中に巨人たちが固められている場面でした(^_^;)。でも合ってると思うよこの連想。
    まあこんな感じで、どうして地獄の階層がなぜこうなっているのか、地獄に落とされた理由や刑罰の理由をウェルギリウスがキリスト教としての倫理観で解説していく。生きている時の行いが地獄で罰せられる。神の前に公平に裁かれる。(しかし異教徒には不寛容すぎ…(-_-;)

    ❐ギリシャ神話
    古代ギリシャ人のギリシャ神話に、古代ローマ人の神話が融合されてギリシャ・ローマ神話になった。そのころキリスト教が誕生し、最初は迫害されたが、やがてローマ国教になっていき(ローマ皇帝もキリスト教洗礼者と、古代ギリシャ神を信じるものとがいる)、ヨーロッパを席巻していく。多神教のギリシャ・ローマ神話と、一神教のキリスト教は本来は相性が悪く、基督教社会では「お話」として捉えていた。しかしダンテ『神曲』ではギリシャ神話からの物語が取り入れられている。こうしてダンテが「ギリシャ文明見直し」であるルネッサンス幕開けとなる。『神曲』に出てくる神話の神々の名前はギリシャ系の名前が用いられる(ギリシャだとゼウス、ローマだとユピテル)。
    『神曲』はキリスト教洗礼を受けないと天国に入れない。しかしギリシャ神話の神への冒涜や反乱でも地獄に行く。地獄の官吏にミダス王、怪物ゲリュオンはダンテとウェルギリウスを乗せ、ケンタウルスもなんかお仕事がある?ミノタウルス(ダンテは人頭牛身をイメージしている?)やメドゥーサなどの怪物も地獄に封じられ、ギリシャ古典のイヤソンやオデュッセイアたちの名前も見られる。

    【煉獄】
    ❐煉獄の構成
    地獄へ行くほどの罪ではないが、天国直行ほどではない者たちは、煉獄で罪を悔い改める。出入り口にいるのは、古代ローマ時代の政治家小カトー。彼はカエサルとの対立に敗れて自殺している。だが地獄生きではない。あの世でも、この世の功績によって少しは情状酌量があるのか?
    煉獄の成り立ちは、まず死者は船に乗って煉獄山の麓に着く。第一の丘、第二の丘、ペテロの門をくぐって第一層から第七層まで上がり、楽園にたどり着く。煉獄山は大変険しいのだが、罪が贖われれば気持ちが楽になり坂も楽になる。ダンテは天使による罪を表す「P」の七つの刻印を押され、層を上がるたびにその罪が贖われると刻印が消えていく。
    そして煉獄には大気があり、太陽や星が出て、昼と夜がある。
    第一層から第三層は、歪んだ愛の結果としての罪。
    第四層から第六層は、人間の物欲的欲求が強すぎて生じた罪。
    第七層は愛欲の罪。
    これらの罪を悔い改めて天国への道が開かれると、煉獄全体が揺れるらしい。しかしダンテが会った死者たちは「自分の敵は苦しめばいい」と言ったりして、現世の恨みを捨てられない者も多い。
    そして七つの罪を贖ったら地上楽園へ。ダンテはウェルギリウス先生と別れ(寂しい〜)、ベアトリーチェと再会する(ベアトリーチェが死んでから10年。ダンテが最後に会ってからは15年くらい?)。

    ❐昼と夜
    太陽と星があるので、昼と夜がある。現世での時間の経ち方とは違うっぽいが。夜になると誘惑者である蛇が現れ天使と対峙する。煉獄でもしも蛇に負けたら、煉獄やり直しなのかな。ダンテが見た夜空の三つの星は「希望、信じる、愛する」だそうだ。これが一番大事って認識。

    ❐色
    煉獄編では色の描写も多いです。天使の衣装、台座、ベアトリーチェの衣装、星、森や川などの自然。色には意味もあるらしいんだけど読んだ感じでは「地獄と違って爽やか」という印象。

    ❐教会のこと
    地獄の裁きもそうだったけど、ローマ皇帝への罪は重罪だ。『煉獄編』では神と人間との関わり、ローマ統治についてのダンテの考えが書かれているらしい。「ローマには、皇帝と教皇が、世俗の支配と魂の救済を分けていた。しかしそれが争うようになり、ローマ教会が世俗の支配と宗教的権威の両方を自分のものにしようとした。これにより現世が乱れた」

    ❐フランス王朝?
    なんかヨーロッパを席巻していたフランス王家の歴史が語られるらしい。繁栄の陰で、神の教えをないがしろにした悪行が…というダンテの批判があるらしい。
    煉獄にいるのは、十世紀末にフランク王朝を襲ってカペー朝を創ったユーグ・カペー。元は肉屋?彼からヴァロア朝、ブルボン朝など近世フランス王朝の栄になる。
    ❐現世の祈りは?
    ウェルギリウスの時代は、生きている人が死んだ人のために祈っても、神に届く手段がなく、死者の定めが変わることはなかったという概念らしい。しかしキリスト後には、生きている人が死んでいる人のために祈ることにより、天国に近づけさせることができるとなったらしい。
    そこで、煉獄で罪を贖う死者の魂は、生きて現世に戻るダンテを見ると「わたしの家族に、わたしのために祈るように伝えてくれ」と頼むのである。
    民間信仰かなにかで「死んだ人のことを笑って思い出すとあの世でその人の周りに花が咲く。悲しみや怒りで思い出すとその人の周りが荒れる」みたいに言うのはこれから出ているのかな。そしてそれは実際にありそうだと思う。
    【天国】

    ❐天国へ行くダンテ、ダンテの警告
    神は善を行うものとして人間を作り、天国を安寧の場として創った。二つの川があり、レテ川は罪の記憶を清めて忘れさせ、エウノエ川は愛の記憶を新たに呼び覚ます。煉獄の最後でダンテは2つの水を飲み、天国へ挙がる。
    そしてダンテは読者に「これからもっと精神の深淵を辿るので、着いてこられなければ戻りなさい」と警告する。私は着いていけないけど読み進めていきます(^_^;)

    ❐天国の構造
    天国は中空の円環?構造のようだ。天国は十の構造になっている。はじめは月光天、土星天などの魂、「ヤコブの梯」を昇るとさらに神に近づく。最上の第十天の至高天が一番髪に近い場所で、イエス・キリストや近い者たち(の魂)がいて、一番の中心には神の光が、神の愛が湧き出ている。その愛が宇宙を動かしている。
    第十天・至高天の最奥部は、光り輝き回転する薔薇。阿刀田高は「円形劇場」としています。うんうん。その最奥部が「神の愛、神の光、三位一体」で、それが宇宙を動かす元。そこは実体も想念も混じってただ概念だけ。

    【全体的に】
    ❐科学的描写
    ・地獄、煉獄、極楽へ行く死者は、生きている頃の姿も記憶も持っているし、地獄の責め苦は実体として苦痛だが、霊的な存在なので肉体の重みはなく影も持たない。
    生きているまま地獄、煉獄、天国を巡るダンテは、船に乗ったり歩いたりすれば重みで船や道の石揺れるし、太陽の光を浴びれば影ができる。そこで死者たちは「こいつ影があるぞ!?何者だ!?」とかなる。そして「現世に戻ったら自分の家族に伝えてほしい」と伝言や祈りを頼まれる。これは「生きている人が祈ってくれたら、煉獄を早く進めて、天国が近づく」というためなので死者にとってはまさに「天への使者」のようなものだ。
    そして煉獄は南半球で、空に星が出る描写が多い。抽象的な星でもあるし、実際の星座でもある。これは研究所によると「今は何時で、さっきの場所からこのくらい移動した」ということがわかるらしいが…私にはわかりません(^_^;)
    ・地獄から煉獄への道。地獄の最下層(コキュートス)で半分埋まりながら罪人を噛み砕いているルチフェルの脇から地下に下ると地球の中心に着く。そこで自分の身体を反転させると、地球の反対側への登りになる。長いトンネルを抜けると煉獄があり、さらに頂点がエルサレム(天国)で…、という世界の構造らしい。
    ・煉獄で罪を贖う死者は、実体はないはずなのに飢えに痩せ衰えている。これに対してもなんか魂と肉体のことが語られているらしい。
    ・煉獄には星の描写が多い。天文学的に「どこに何の星が出ているから、今は何時」とかわかるらしい。ふーん。
    ・煉獄は南半球にある。ダンテの時代の地質学の知識は「南半球は海ばかり」だったそうだ。ふーん。
    ・天国は人間の距離や高さを越えているんだけど、基本的に「回転」している印象です。自転、公転を表している?『神曲』ではそのような宇宙の動きや時間の経過も人間の成長も動きの源はすべて神の愛から発しているとしている。

    ❐文学としての『神曲』の意義
    ・「近代を理解するための必読書」だそうだ。従来の「教会以外に救いはない」という教えから、個人の愛、個人の想いを書いている。
    ・死後の世界を具体的に書いた。そこに、伝承、神話、叙事詩、神学など、中世の知識を全体的に網羅している。
    ・ラテン語を配してイタリア語を確立する道を拓き、ルネッサンスの嚆矢となった。

    私は本書と、『ドレの神曲』、神曲本編を同時進行で読みましたが、天国篇は大変時間がかかりました。キリスト教を信仰することについて、当時の社会や古典などが「当然知っているよね」という前提で書かれていること、そして比喩が難しすぎ(^_^;)
    天国篇って読むと「理解しようとする」ことに集中してしまうので、これは静かに聞いたほうがイメージしやすいのかなあ。(理解はできないんですけど)

    読み終わっての全体の感想は「キリスト教を始め、宗教を信じることってこういうことか」とは漠然と感じました。ダンテが天国の最奥部で感じたただの感覚のようなもの。
    しかし私は死んだら終わりにしたいなあと思っているので、あの世でもずっと滞在し続けるのはちょっと息苦しいなあって感じてしまいました(^_^;)

  • ダンテ「神曲」
    気になっているが、読めない自信満々…
    いつか……も無理な気がする
    というわけで、世の中の自分のような人たちのために阿刀田氏がこういう書を提供してくださるのだ!

    我々を飽きさせないように、こちらの立ち位置に合わせてくださるところが何とも申し訳なくなってしまうほど!
    ん?と思うとすかさず、「わかりにくいと思うが、ここは……」と解説が入る
    さほど重要ではないと軽く流して下さり、細かい説明は「省略しよう」、「先を急ごう」など
    先導して下さる
    腑に落ちないところにはもちろんツッコミも入れて下さるし、親切この上ない

    このやさしいダンテをさらに噛み砕いて備忘録にしてみたい(二度と読まないだろうから…ごめんなさい…)

    人は死んだらどうなるのか
    死後の世界に本格的に取り組んだのが「神曲」
    地獄篇、煉獄篇、天国篇から成る

    ■ダンテ
    1265年フィレンツェに生まれる
    文学に関心を持ちながら、政治活動にも参加
    政敵に追放され、二度とフィレンツェに戻れず、ラヴェンナで56歳の生涯を終える
    気の毒である
    そしてベアトリーチェへの崇高すぎる憧れを持っている(異常な思い込みの激しい片思いとも言える 生涯でたった2回しか会ってないのに!)
    しかし身分違いということもあり、お互い別々の家庭を持つ
    またベアトリーチェは若くして亡くなるため、ますますダンテの中でベアトリーチェが純化、美化され非現実的な神の子のような存在に

    「神曲」はベアトリーチェの恵みを受けて数奇な旅をする設定となっている
    (このようにベアトリーチェはある意味ダンテにより勝手に神格化されている)

    ◎地獄篇
    「人生のなかばに達し、ふと気がつくと、私はまともな道を外れて、暗い森の中に迷い込んでいた…」というところからダンテの旅が始まる
    ガイド役にもう生きていないローマ最大の詩人、ダンテが尊敬するウェルギリウスという設定
    地獄は罪状により九層を構成している
    ちなみに第一層は、キリストの洗礼を受けていない…というだけでこの「リンボ」という場所にて未決囚扱いされてしまう
    さすがキリスト教的倫理観満載だ
    日本人の多くは地獄のリンボ行きである(汗)
    こんな感じで各層に進みながらさまざまな罪
    (愛欲に耽る罪、暴食、吝嗇、浪費、憤り、異端邪教の信仰、暴力、欺瞞、裏切り…中には「?」と思う罪もある)で罰せられている亡者たちと言葉を交わしていく
    出てくるのは、ギリシャ神話の神々から、イタリア史に名前を残した人物たち(ダンテが中心の世界観なので)、キリスト教にまつわる神々たち…
    そう、これがネックなのだ!
    キリスト教が主軸のため、驚くことにマホメットやアリー(第4代カリフ、シーア派の大元)が罪人として登場
    イスラム社会で長らく禁断の書とされたのも大いに納得である
    またダンテの個人的判断で罪人とされるのもポイントかも…
    しかしながら阿刀田氏は
    〜ダンテは混乱の時代に生き、愛憎の思いは深く、しかもキリスト教的倫理観をはっきり持っていたから善悪のものさしは厳しく、測りやすかった…〜とのこと 

    またダンテの地獄描写が魅せる魅せる
    責め苦を受ける罪人たちの苦しみ悶える惨状
    汚泥、悪臭、流血、罵声、悲鳴、狂気…
    凶暴な地獄の恐ろしい獣や怪物たち
    次から次へとあの手この手の地獄絵図を描いてくれるのだが、もう凄い想像力である
    脱帽ものです
    こちらの想像力が追いつかない
    例えば…
    ・体をねじ曲げられ、落ちる涙が尻の割れ目に溜まってしたたり…
    ・蛇と亡者が体を寄り添わせ、あちこちを交換する…蛇なのか人間なのかわからない
    ・…おとがいから尻の穴までまっ二つに裂けている 腸は脚の間にぶらさがり、はらわたはまる見え、糞いっぱいの袋も露出している…
    ・…人間の頭を食っている その髪の毛で自分の口を拭っている…

    こんな描写が手を変え品を変え…とじゃんじゃん出てきてあっぱれである

    そしてダンテが35歳の設定なのだが、子供っぽいというかピュア過ぎて、ユーモラスですらある
    すぐ怖がるし、ビビりだし、ひどいと気を失ってしまう
    おまけにウェルギリウスに甘えるし、抱きかかえられちゃうし…
    恐ろしさについ目を逸らすとすかさず、ウェルギリウスに叱られてしまう(笑)
    ただウェルギリウスはダンテが迷ったり悩んだりするとすかさず正しい方向へ導いてくれる心強いガイドである
    罪人の話を聞いて、憤ったり、疑問をもったり、悲しんだり…
    「いっさいを記憶に留めます」と宣言しているだけあり、きちんと向かい合う姿勢が大切なことなのだろう
    キリスト教の教えや、なぜこの罪がどう悪いのかなど教訓が散りばめられている

    そしてダンテの価値観がよくわかる、史上最高の重罪人3人は…
    ・イエスを裏切ったユダ
    ・ブルトゥス(カエサル暗殺者)
    ・カウシス(同じくカエサル暗殺者)
    なるほどね〜


    ◎煉獄篇
    煉獄とは…
    カトリックにおいて、「天国の喜びにあずかるために必要な聖性を得るように浄化(清め)の苦しみを受ける人々の状態」(Wikipedia抜粋)
    天国と地獄の間って感じかな

    ここでの煉獄は二つの丘と七つの層から成り、
    「相当に立派な人物でもいきなり天国へ入れるわけではない たいていは煉獄を通って天国に向かう」とある
    煉獄ではダンテの知り合いや親族なんかもよく登場するようになる
    多くの亡者が、現世の〇〇に愛を伝えてくれ
    とやたら声をかけられるから
    現世にいろいろな思いを残してきており、現世に近いという感じが伝わる
    また煉獄では天使が守りにきてくれる
    神の情状酌量もケースバイケース
    (もちろんダンテの価値観での情状酌量だが)

    煉獄篇はもちろん地獄篇からすればかなりソフト
    罪の鞭は愛で編まれていたり、瞼が縫い閉じられていたり、飢餓、火あぶり…くらい
    また地獄と煉獄の違いは、
    地獄→ひたすら苦しむ
    煉獄→苦しみが浄化のプロセスとして喜ばしい
    なので同じ炎に包まれても煉獄では清いものの憧れを歌いながら焼かれるとの事(精神面はそうだけど、焼かれるのは誰しもぜったい嫌だぞ)

    ここでもキリスト教教訓がいくつか出てくる
    地上の思考でものを考えるな…神の元では愛は増大し続ける…
    とか愛の哲学とは…
    みたいな感じ

    そしていよいよ最後の炎をくぐると、ベアトリーチェが案内人としてダンテを迎えことになる

    (道中、辛くなるとウェルギリウスが「ベアトリーチェが待っているぞ!」と励ますのであった…何度もしつこいがダンテは35歳)

    〜東の空は薔薇色に染まり、西の空は清らかに澄み、さながら遠い日に見た朝ぼらけのような気配の中に、白いヴェールにオリーブの冠、緑のマントの下に燃えたつ朱の衣装をまとった淑女〜
    おー!
    ついにベアトリーチェ降臨!
    ダンテは「ああ全身の血が沸き返ります 昔日の感動が炎となって…」
    と口走り恥ずかしがる

    ところがここから何故かベアトリーチェのお説教が始まる
    咎めて咎め抜いてとことんなじり倒す!
    苦しい旅のすえ、ようやくたどり着いたのに…ひどい
    そう阿刀田氏も仰るとおり、一体ベアトリーチェは何を咎めているのかよくわからないのだ
    ベアトリーチェが現世にあったときは、ダンテは彼女への憧れにより正しい道に導かれていた それから後がいけない、と言うのだ
    なんだかずいぶん傲慢で勝手なベアトリーチェの見解に感じるぞ…
    品性下劣扱いし、「反省なさい」「厳しく後悔なさい」「懺悔なさい」と容赦ないドSっぷりである
    それを聞いたダンテも「私はさまざまな快楽に誘われ、道を踏み外してしまいました」なんて答えているのだ
    しかしここではこれ以上具体的な話しに発展しないからよくわからないまま終わる
    (ベアトリーチェのドSっぷりというか、ダンテのドMっぷりが展開されるだけ?阿刀田氏がわからないものを自分がわかるわけない)

    ようやくその後、ベアトリーチェの美しさに目を見張り、眩しい眩しすぎる‼︎と感激するのである(笑)

    ◎天国篇
    地上の人がこの光り輝くすばらしさを語るのは至難の業だ
    美しい天国の様子が要所要所に表現される

    また肉体が他の物体の中へたやすく入り込む…
    ように倫理の証明を超えた神の摂理がある
    天文学と光学と神学がまじりあう理論、神学から見た宇宙について、次々とベアトリーチェから説明される

    ここでもダンテの質問に対し、ベアトリーチェがキリスト教見解から答えを導き教える
    (多くの知恵や教えがあるが、キリスト教の知識が乏しいため割愛)
    ダンテは現世を天上を比較し、
    神を忘れて法律を学び、神に背いて医学を学んでいる……略奪に耽り、俗事に染まり、快楽を貪り、快悦に溺れている
    …と批判する
    そしてダンテは神への感謝の気持ちでいっぱいになる
    キリスト教の要素が非常に強いため理解はなかなか難しい
    クライマックスは天国の最奥の場所でダンテはとうとう神を見る(見るけど、自分の感性が至上の高貴を捉えきれず、感激に圧倒されすぎて記憶がとりとめない、また筆舌も及ばないことも嘆いており、兎にも角にもダンテがそんな具合なのでこちらも伝えようがない)

    【特徴とまとめ】
    ■「神曲」のすごいところ
    ○ラテン語を拝して、優れたイタリア語を確立する道を拓き、ルネッサンス運動の原動力となった
    (この頃イタリア語は俗語扱い)
    ○中世の百科全書的な知識を巧みに網羅している
    ○叙事詩としてレベルが高い…らしい
    ■キリスト教的世界観で占められている
    ■ギリシャ・ローマ神話が多く引用されている


    阿刀田氏が、仰るとおり、日本人にこの世界観は馴染みのないものが多すぎて愛読しづらい要素が多い
    しかし人って天国より地獄の方がぜったい興味がわく!
    天国に対する想像って限界があるが、地獄に対する想像、妄想はキリがない!
    不謹慎とはいえ、怖いもの見たさ…だ
    地獄篇はダンテが怖がるたび、罪人が酷い目に遭うたび、なんか喜劇っぽくて笑えてしまった
    読み方が正しくないのは重々承知だが、地獄篇はある意味エンタメ要素が強いのだ
    そしてダンテは結構わかりやすく真っ直ぐな気質が伺えた
    若しくは自分を敢えてそう描いたのか…は不明だが

    知識ゼロからここまで理解したということで、良しとさせてもらおうっと
    しかし阿刀田氏の本書がなかったら「神曲」に関わることもなかっただろうに…
    阿刀田さんありがとうございます!

    • ハイジさん
      アテナイエさん
      コメントありがとうございます!
      そうなのです!
      すっかり楽しんでしまったのですが、こんな読み方でいいのだろうか?と少々...
      アテナイエさん
      コメントありがとうございます!
      そうなのです!
      すっかり楽しんでしまったのですが、こんな読み方でいいのだろうか?と少々不安でしたが…
      ギリシャ・ローマ神話は時々日本と似たようなストーリーがあったりしてとても親近感を持ってしまいますよね
      (ユーモラスですし)
      それより…
      アテナイエさんは「神曲」読まれているのですね!素晴らしいです。尊敬です!
      本書を読んだ後に、アテナイエさんのレビューを読むとさらに理解が深まります
      有難うございます 勝手に復習できてしまいました

      アテナイエさんの本棚は私が読みたくて読めていない本がたくさんあり、いつもワクワクします
      レビューもとてもわかりやすく読書意欲をそそられます
      これからもいろいろ参考にさせていただこうと思います!
      どうぞ宜しくお願いいたします♡
      2021/06/14
    • アテナイエさん
      ハイジさん、楽しいコメントをいただきありがとうございます。阿刀田さんの本は、ガイダンスがうまく、わかりやすくて笑いがあっておもしろいですね!...
      ハイジさん、楽しいコメントをいただきありがとうございます。阿刀田さんの本は、ガイダンスがうまく、わかりやすくて笑いがあっておもしろいですね! ハイジさんのレビューを拝見して、こんな本もあったのね~と思い、早速、図書館で探してみることにしました。ありがとうございます♪ 

      過分のお褒めに穴があったら入りたいくらいです(笑)。学生のころにありとあらゆる本の挫折を経験していますので、ひどくふてぶてしくなってしまいました。どの本もダメもとで読んでいますし、ダンテも斜め読みですが、訳者の平川さんに助けられました。いつの日かハイジさんものぞいてみてくださいね~。地獄編はあのカラマーゾフのように意外にするする読めて笑えますし、細かい描写が巧いです。
      またハイジさんのレビューを楽しみにしています♪
      2021/06/14
    • ハイジさん
      アテナイエさん
      再びありがとうございます!

      ぜひぜひこの本のアテナイエさんのレビューを読んでみたいです。
      私はまだ「ギリシア神話を知ってい...
      アテナイエさん
      再びありがとうございます!

      ぜひぜひこの本のアテナイエさんのレビューを読んでみたいです。
      私はまだ「ギリシア神話を知っていますか」を読んでいないのでこちらも早く読みたいです。
      そしてアテナイエさんのこちらのレビューも楽しませていただきました♪

      そーですか!
      カラマーゾフ的に読めますか!
      カラマーゾフも喜劇として読んでしまったので、神曲も地獄篇だけなら、もしかしたらイケるかも…です。

      いろいろありがとうございます(^ ^)
      2021/06/15
  • ダンテの『神曲』は文庫本で地獄篇、煉獄篇、天国篇の3冊にわたる大著。容易くは読めないので、手っ取り早く読もうと本書を手に取る。
    さすが文章の達人、阿刀田先生のかみ砕いたストーリーで『神曲』をイメージする。

    地獄篇でダンテは自分を貶めた人間を地獄に堕とした。おそらく原文を読んでも、誰のことかわからないであろうが、恐らく当時の人は、ピーンときたと思う。だから多くの人に読んでもらいたくてわざわざイタリア語で書いたのだろう。人間の精神は昔も今もそれほど変わっていない。

    「『神曲』は日本においても優れた古典として愛読されている。どれほど愛読されているか疑わしいところも少しあるけど、高く評価され、敬われていることは確かである。
    だが、あらためて熟読玩味してみると、これはキリスト教について相当な知識がないと、ほとんど理解を絶する古典である。」
    ということらしい。

    日本人で『神曲』を全部読んだ人は一体どのくらいいるのだろう。少なくとも僕はまだ読んでいない。今から700年以上も前に書かれた本が、お手軽な値段で手に入れることができる幸せをかみしめたい。冒頭のダンテが暗く荒涼とした森の中に迷い込んだとこから始まる記述、ダンテがどんな思いでこの本を書いたのかを感じてみたい。もしかしたら、僕も今、暗く荒涼とした森の中に迷い込んでいるかもしれない、そんな気持ちになりながら読み進めるのも良いかもしれない。
    ということで、河出文庫でもいいし、講談社学術文庫でもいいので、『神曲』3巻を手元において時々眺めることにしよう。これで『神曲』にお近づきになろう。

    もしこれが、イタリア語の原文で読むことができたのなら、さぞ素晴らしいことだろう。

  • 相変わらず阿刀田さんの教養書シリーズにハズレはない。ダンテの神曲、こんなにも古典的で分かりにくいものを瑞々しく現代口語で伝えてくれた。地獄、煉獄、天国。ダンテは三つの世界をギリシャ・ローマ神話の登場人物たちや、全然関係ない、かつてダンテが惚れしていた女の子ベアトリーチェの案内によって見て回ることができた。地獄ではキリストの教えに反して最善悪行を積んだ王や神も含めるさまざまな人々がマグマのコンクリートみたいなところに入れられて、ゴブリンみたいなやつらに棒でつつかれていた。怖え。ゴブリン同士の仲間割れみたいなのもみつつ、怯えながら進んでいくと今度は煉獄に辿り着く。そこは静かな離島のようなところ。人は死ぬとまずここに着いて、自分の生きた年数彷徨うことになる。そして、悪行とまではいかないけど良いこともしてこなかった人はここでずっと迷子。時間の感覚を理解できるのは生者だけの特権らしい。そして最後に天国へ。いく層かに分かれていて進めば進むほど光り輝いてまぶしくて見えなくなっていく。マリア、アダムとイヴ、パウロなどなど聖書にでてくる錚々たるメンバーかここに鎮座している。ベアトリーチェもここで光り輝いた。すげー!という、そんな厳かなファンタジー小説だった。宗教学だけでなく、一般ピーポーにとってもこれほど面白い話が、ここまで格式高く聖書に次ぐ教養書のようになっているのもすごく面白い。というか聖書にしてもそうだが、宗教は広める為にある訳だから面白いに越したことはないんだろう。古典的な状態のまま現代まで伝わっているから、現代人にとって読みにくい部分が多いけど、こうして阿刀田さんに解説してもらえると、素晴らしく面白い世界を散歩できた気分だ。やっぱり難しいんだろうけれど、原文にもそのうち挑戦したい。

  • 分かりやすくて、マンガを読んでいるような感覚。こういうので終わらせずに、原作もあわせて読むのは必須、、

  • 教科書でも紹介される『神曲』。しかし読んだこともなく……と言うより読もうとしなかった物語。著者の「知っていますか」シリーズに代表される、古典を簡にして要を得た解説本を数冊読んだが、それに加え『神曲』を味わえたことは幸いだ。地獄篇、煉獄篇、天国篇で構成される物語は、キリスト神学、ギリシャ・ローマ神話など西洋の常識的な知識がなければ、たとえ日本語訳を読んでも理解が難しいということが理解できた。ダンテがベアトリーチェに寄せた純粋な初恋だけは、自分事のように感じられた。

  • 原作(野上氏翻訳)を読みながら、解説本として読んだ。

    まず、ダンテが地獄・煉獄・天国を巡りながら色んな人とひたすら出会う物語(笑)だったから、深く進む前にめまぐるしく展開が変わる変わる。
    なので、逆にこの本だけだと、理解しきる前にポンポン進んでついてけなくなったかもしれない。

    でも、
    ダンテの歴史的な人生歴やベアトリーチェとの関係も知れたし、
    ダンテがギリシャローマ神話を織り交ぜていることも知れたし、
    天国編は想像し難く、難解であることは認識が一致して安心した。笑

    イエスはあまり描写がなく、
    三位一体そのものの光が原作では最後に出て終わる。
    その終わり方は、ほぇー(こんなふうに終わるんだ!)と、
    知らぬ古典の終わり方を知れて達成感があった。


  • タイトル通り解説は非常に易しい。しかし元の描写がそもそも難しいので、理解しづらい部分は多々あるかも。
    地獄、煉獄、天国と上がるにつれて描写は難解に、情景は想像しづらくなる。煉獄までの案内人ウェルギリウスがダンテの心情を慮り、励ましを投げかけてくれるのに対して、ヒロインであるベアトリーチェは雄弁だが厳しい。普通逆では?
    私が死んだらこの世界ではリンボかな〜と思ったりもする。

  • やさし…くは、無いです。自分には。だから自分は一生オリジナルは読めないな、と納得しました。大体の流れはわかったので良かったです。

  • ●「やさしい」とは言っても、やっぱり難解に感じるな。

  • いつかは読んでみたいダンテの神曲。
    そうは思っていてもなかなか手が出せないうちの一冊。
    久しぶりに阿刀田先生のお力を借りて読んだ気になってみました。
    相変わらず面白い教授の講義を受けた気分になれて知的好奇心が満たされます。
    ただ、氏もおっしゃってるように「21世紀の日本人にはきつい」部分が多いようですね。
    特に天国篇は退屈レベル。中世なりに神=宇宙の本質を突いてる部分もあるけど大半はキリスト教ありきのこじつけ論法。
    原書を読むなら地獄篇だけかなぁ。でも多分読まないな…そんな気分になるほど本書はよくまとめられてると思います。

  • 面白い上にとても勉強になる。
    かなりライトに読める。

  • だいたいの概要が分かりやすく砕いて書いてある。阿刀田さんとしても、天井編になるときついみたい。キリスト教の知識がないと理解は難しい。

  • やはり阿刀田高の「解説本」は面白い。ダンテの神曲といえばだれでも題名は聞いたことがあるだろうが、内容は初めて知った。そして…なんじゃこりゃ。ほとんど自分の周りの人間関係を自分の好みで一刀両断!キリスト教徒以外は問答無用で地獄行き!そして二度しかあったことのない初恋の相手(ベアトリーチェ)を異様なまでに美化した(マリア様と重ね合わせる)中二病的ラブレター!

    これだけ読んだら、何でこんなに世界的な名著となるのか分からなかったが、阿刀田氏の解説によると:
    ・中世の世界観(現生と死後)をリアルに描き出している
    ・ラテン語ではなく優れたイタリア語で記された詩
    ・古代ギリシャ・ローマに目を向けたルネッサンスの先駆け
    ・冥界の「パターン」を明示したこと
    なるほど!しかし一般的日本人にはまず理解不能とこれまた一刀両断。

  • 「やさしいダンテ」とあるが……やさしくない。いや、かなりやさしくなっているのだが、それでも私にはやさしくない。でも、そんな私でもダンテの「神曲」の触りを理解することくらいは出来る良書です。天国編は本当に摩訶不思議……。

  • この話の一番大切だと思ったところ抜き書き

    「私が著作をつづったころは祈りを神につなぐすべがまだなかったからな。今はちがう。」

  • -108

  • ダン・ブラウンのインフェルノを読んで、ダンテの神曲を知りたい!と思い、購入。いきなり原文は無理だし、きっとちんぷんかんぷんだろうなぁと思い、この「やさしい」を購入しました。
    やさしい、とはいえ、それなりの目的なり意思がないと辛いかもしれないかな。
    きっと平易に書かれているんでしょうけどね。
    おおよそ、こういった内容が書かれているんだろうな、ということは分かったので、満足です。これを読んでインフェルノを読むと更に楽しめるかな。

  • 映画「インフェルノ」を観る前に読んでおいた方がいいと思い、手に取りました。
    この一冊で「地獄編~天国編」までざっくり把握できます。
    著者のユーモアと共に分かりやすく構成されていますが、キリスト教はじめ、西欧文化の知識がないと理解しがたい部分が多々あり、検索しながら読み進めました。
    ダンテがベアトリーチェに抱く想いを「ストーカー」と斬る佐藤優さんのあとがきも秀逸!!
    私は、アイドルを崇高するヲタ男君のようだなと思っているのですが。とにかく、妄想力、もとい、想像力が半端ない男ダンテ、ですね。

  • 一応ちゃんとしたやつも読んだけど、いまいちよくわからなかったのでこちらも読んだ。
    内容的にはこちらで大体把握できるので、知っておきたい程度ならこれで十分かと。
    それにしても、知り合いを作品にぽんぽん出すのって何か変。
    独善的なキリスト教も好きになれない。

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著者プロフィール

作家
1935年、東京生れ。早稲田大学文学部卒。国立国会図書館に勤務しながら執筆活動を続け、78年『冷蔵庫より愛をこめて』でデビュー。79年「来訪者」で日本推理作家協会賞、短編集『ナポレオン狂』で直木賞。95年『新トロイア物語』で吉川英治文学賞。日本ペンクラブ会長や文化庁文化審議会会長、山梨県立図書館長などを歴任。2018年、文化功労者。

「2019年 『私が作家になった理由』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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