日本語を書く作法・読む作法 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 80
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041576274

作品紹介・あらすじ

文章を書くのはあまり好きではない。好きではないから短く書く。書くことより読むことが好きで、文章を覚えた。読む人にわかりやすく、ふっくらとした日本語を書くのは簡単ではない。読書や朗読、落語、詩歌、尻取り、かるた…子供の頃から、長い時間をかけて日本語に親しむ中で培うものだ。芥川、漱石、谷崎など、日本に伝わる名文を引きながら、言葉と日本語に対する向き合い方を小説家がやさしく綴った、知的エッセイ集。

感想・レビュー・書評

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  • 2004年から2007年頃までのエッセイをまとめたもの.二部構成になっており,第一部が書く作法,第二部が読む作法としてまとめられている.

    さて,この本であるが,非常に読みやすい.ページ数も221ページとお手軽な分量.枕もとの本として寝る前に少しずつ読んでいくのも良さそうである.

    しかし,2018年を生きる20代としては,書く技術については筆者の立場とは異なるかなという感じ.
    例えば,筆者が初等教育において英語授業必修に反対する箇所.一般的な教養や日本語教育,また論理性が重要であることに異論はないが,引用もなく「日本語が特殊である」ということを根拠に反対を主張するのは,さすがに論が立たないと感じる.その主張を言いたい気持ちはわかるけれど,少し勢いが出すぎているように思える.
    作家としての貢献を求められたのかもしれないが,このレベルの言葉に対する態度で文化庁文化審議会の委員がつとまったのか,というのが読み進めている途中の正直な感想であった.


    「この先もこのテンションが続くのか」「これは厳しい」「ブクログで星2つ以下か......」「この先,読まずにブックオフにでも売るか」と思った頃に,第二部の「読む作法」に入ると様子が変わる.
    朗読や短編小説など,筆者に表現者としてのこだわりがある話題なのだろうか,それぞれ印象深く,そして面白い.特に作家紹介・作品紹介は,レビューとしても秀逸と感じ,いくつか未読の作家の作品を手に取りたくなった.学生時代に読んだ『羅生門』や『山月記』も,筆者の紹介を通すと「なるほど,私はまだまだわかってなかったのですね」と素直に思える.

    読み返してみて気づいたことだが,第一部の「書く技術」でも「こうするべし」と強い言葉は使っておらず,あくまでも引いた立場で,「作家の仕事をご紹介」という態度を取っているように思える.


    そうそう,僕らは別に戦前生まれでもないわけで,彼らと同じ時代を生きてるわけじゃない.ロジックが甘い主張は,話半分に聞けばいいのだった.どのように文章を書くかという未来の話は,他に参考になるやり方があるだろうから,そちらを参考にすればよい.どのように小説を読むかという過去の話は,筆者の筆を通してみると,十分鮮やかに見えるのでは?と思うようになった.

  •  この作品は、所謂ハウツー本ではありません。
    れっきとしたエッセイ集なんです。

     日本語は英語や中国語等に比べて、音の数が少ないと言われています。だから同音異義語が生まれやすい。そこに日本語の言葉遊び等の楽しみがあるように思います。
     更に漢字とひらがな・カタカナを組み合わせることで、無限の奥ゆかしさを感じる事が出来る点で面白い。
     夏目漱石に代表する言葉遊びや当て字も面白い。夏目先生のお蔭もあってか、現代の日本語の派生が広がったと言っても過言でない。
     なんと素晴らしい言語なんだろう。「話すのも読むのも面白い!」

     ただ、悪い日本語は、熟語の連発ではなかろうかと思っています。
    先日ある方から、僕のG+の投稿したことに対する反論がありました。
    相手の名前は伏せますが、まるで40年ぐらい前の三流左翼学生のアジ演説の様なものでした・・・ただ単に熟語の並べただけの意味の通じない内容に稚拙さを感じました。
     ひらがなを緩衝材として入れることによって、日本語が柔らかく感じる。
    そして良い言葉になるのではないかと思います。そしてまた日本語の妙を感じる事が出来る。そこに論理的なプロットが入れば、知性溢れるいい文章が完成するのではないかと感じるのです。

     この作品を読んで、「ほぉ~」っと感じることが多々ありました。

    ※作者の「あとがき」より抜粋
    『―日本語への愛着が薄れ、読書が衰退したら日本は滅びる―』
     
     有難うございます。勉強になりました 感謝!

  • この人の文章は読みやすい。かれこれ20年愛読しているが、ずっとその感覚は変わらない。

    博識で難しい話を面白おかしく書ける、本当に頭のいい人だな、と思う。

    昔府中市のホールで阿刀田さん夫妻の公演と朗読会があったので応募して行ったことがあったのを思い出した。

    しかし読むのは好きだけど書くのは嫌いっていうのがすごいことだと思う。無駄のない執筆活動ですね。

  • 前半はまあまあよかったが、後半はあまり「日本語」とは関係がなかったかも。作品の紹介もちょっと冗長に感じた。

  • 最初の方が堅めの話で、だんだん緩くなっているように感じました。それにしても、シェイクスピアの出生没年って、“人殺しいろいろ”なんですね。面白い。

  • 阿刀田さんの小説は読んでいないのですが、古典教養に関するエッセイ、たとえば『旧約聖書を知っていますか』あたりの新潮文庫は何度か読み返して楽しんでいます。
    「日本語」と、「日本文学」に関連するあれこれを綴ったエッセイしゅうですが、これが私には大層アタリでした!

    曰く、日本語は特殊な言語だから、日本語の教育がちゃんとなされないままの早期英語には反対する(←大賛成)
    曰く、手書きが衰退していくなかで、ことばへの関心も薄れていきはしないか。(←そこまで考えたことはなかったけれど、言われてみりゃそうだ)
    曰く、文章は短いほうがいいに決まっている。だから書く側は簡潔にする努力をすべきだ(←……なるほど!)

    解説にも載っていますが、阿刀田さんはこれからの国語教育について、「とにかく自分で本に手を出す子にすれば、あとは勝手に育つ」と仰っています。そのとおりだと思うのです。
    けれども、それが難しいのですね。本以外の誘惑が多すぎる。
    最近、大きくなったお腹に向かって好きな絵本の読み聞かせをしています。胎教で下地をつくるということと、出てきた後のための予行演習(笑)でもあります。

  • 短いエッセイ集。とくに「読む作法」に書かれていることが、予想外に面白かった。
    どのエッセイも、知識と経験豊富な先人の教えが詰まっていた。
    『一時間で読める芥川龍之介』『柳の下の泥鰌』『セレンディピティって、なーに?』

    MVP:なし

  • この本が初めての阿刀田さん。いきなりエッセイ(笑)他の本も読んでみたい(苦笑)

  • 再読する。

  • 2011/5/6 Amazonより届く。
    2014/1/27〜1/30

    阿刀田さんの日本語読本。
    作家の頭の中を覗くのは非常に興味深い。
    が,いろんなところに発表したエッセイを集めたものなので,同じような話がいくつか続くのには閉口した。

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プロフィール

阿刀田 高(あとうだ たかし)
1935年東京生まれ。早稲田大学第一文学部フランス文学科に入学し、結核を病む。大学卒業後は国立国会図書館に司書として勤務。『ころし文句』を長崎寛と著し、これがデビュー作となる。兼業しながら著作を刊行していたが、『ブラックユーモア入門』がベストセラーとなり、作家一本に。
1978年『冷蔵庫より愛をこめて』が直木賞候補。1979年『来訪者』で第32回日本推理作家協会賞、1979年『ナポレオン狂』で第81回直木賞、1995年『新トロイア物語』で第29回吉川英治文学賞をそれぞれ受賞。2003年紫綬褒章を受章。
古典に親しんでいたことから『ギリシア神話を知っていますか』などのエッセイも著名。
2007年から日本ペンクラブ会長。直木賞、新田次郎文学賞、小説すばる新人賞選考委員、講談社『小説現代』のショートショート・コンテスト選考をそれぞれ務める。

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