葡萄が目にしみる (角川文庫 緑 579-8)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 1721
感想 : 165
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041579084

作品紹介・あらすじ

葡萄づくりの町。地方の進学校。自転車の車輪を軋ませて、乃里子は青春の門をくぐる。淡い想いと葛藤、目にしみる四季の移ろいを背景に、素朴で多感な少女の軌跡を鮮やかに描き上げた感動の長編。

感想・レビュー・書評

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  • 昭和の景気のいい時代といい、葡萄畑が広がる風景といい、
    自意識過剰な体格の良い本好きな少女といい、
    林真理子の自伝的小説なのか。

    葡萄作りの裏側(と言って良いのか…)も地元の人ならではの描写で、
    他の小説ではなかなか読めない気がする。

    小説の雑誌を買ったり、アンネの日記に憧れて鍵付きの日記帳を使ってたりと本好きとして共感出来るところも。
    (アンネは読んでなかったけど…←)

    見てはいけないモノを見てしまった衝撃や(勝手に)裏切られたような感覚、
    違うグループの女子やいつも一緒にいる友達への嫉妬なんかがいちいちリアル。
    この歳になってある程度引いた目線で読めるから、
    面白いと思えるのかも。
    十代の時に読んでたら…どうかなぁ。
    面白いけど、痛々しくて恥ずかしくなってるかも…。
    ページをめくる手が基本は止まらないけれど、時々進まなくなるような…。
    逆に救われるかもしれないけど。

    林真理子の本を一冊読むのは初めてでしたが、
    青春小説として名作だと思います。

    あと、大人になってある程度成功してからの最後がなんとも言えなかった…。
    葡萄のように甘ずっぱい学生時代の部分で終わらないのも、
    林真理子ならではなのかもしれない。

  • 青春小説
    女子高生が主人公
    中学編もちょっとあり
    高校生活が描かれていてやはり恋愛系の内容も
    当然あって揺れる気持ちが青春してるなぁと感じました
    会話は山梨弁で語られていてさすがに著者の地元が
    舞台であることがわかる
    もしかしたら主人公は著者自身のことも大いに
    語られているのかもしれない
    青春小説ってやっぱ好きかも

  • 高校生のときに読んだものを再読

    “こんな青春したかったなぁ”というよりは
    “こんな青春だったなぁ”という印象

    さえない主人公は急に可愛く変身しないし、男の子は王子様じゃない、友達も良い子ばかりじゃないし、何ならちょっと腹立つ

    以前読んだとき、乃里子たちと同じ高校生だった私は、学校一の美少女今日子に憧れてお弁当箱にタッパー、お箸の代わりにフォークを持って高校に通ってました

  • なんかなあ…
    文学性がないわけじゃないけど自分の中の嫌いな自分と向き合うことを強制してくる感じがきついんだよな
    それでいて一度読むと不快な感覚がやめられなくて一気に読んでしまうという
    ほんと一部の女流作家ってこういうの上手いよね
    山田詠美とか村山由佳とか林真理子とか村田沙耶香とかさ
    ここまで不快にさせるのも表現力ってことかな
    これを「淡い」とか「若い」とか「切ない」とか言えるほどわたしはまだ成熟できてないです
    ひたすらにグロくて生々しい
    ここの感想のみんなは大人だな…わたしは山﨑豊子くらい程々に男性化してる女性作家が性に合ってるのかも…

    あと田舎のスティグマがめちゃくちゃ強くてびっくり
    これ読んだら田舎とか怖くて住めないわ
    さすがにフィクションと言ってください

    あとほんと女って生まれ持った容姿で人生変わるよね
    いや、1番のファクターは教育だけどさ
    同じ教育レベルの場合は容姿次第で1ステップくらい階層移動が起こるレベル
    今日子ちゃんも最後華やかな職業就いてたでしょ
    そういうところよね 作者はほんとよくわかってる
    ほんと残酷

    あと、モテる男に向ける女の眼差しもよーくわかってるよね
    性的魅力一点突破型のチャラい男を女は惹かれつつも基本は警戒する 自分のガードに自信がないから
    そんな気がする


    追記
    村田沙耶香の「しろいろの、〜体温」と同じ読後感って言ってる人目が飛び出るかと思った
    読んでる本がわたしと同じやんけ
    読後感が同じかはわかんないけど(あっちはハッピーエンド?)なので
    でもスクールカーストの描写がガッツリ入ってるところは同じ

  • 戦後のこじらせ女子の青春小説、とても楽しかったです。思春期、色んな劣等感を感じたりする乃里子がきちんと大人になって地元のみんなと同じように就職して人と関わっていった中で青春の中の劣等感を思い出すような相手と談笑しながら食事するシーンで救われた、報われたなぁ、大人になったなぁとすぅーっと染みました。

  • 林真理子さんの小説を読むのは、これが初めてです。
    辻村深月さんの「鍵のない夢を見る」の文庫本の巻末に辻村深月さんと林真理子さんとの対談を読んだのが、本作品を読んだきっかけです。

    まだスマホはおろか、携帯電話すらない時代の地方の女子高校生が主人公ですが、妄想がたくましく自意識過剰な青春です。
    高校生が接することができる情報に限りがある時代ならではの話で、その当時の高校生は多かれ少なかれ、そういう感じだったと思われます。

    本作品を読んで、若干テイストが異なりますが、原田宗典さんが高校生のころのことを書いたエッセイを思い出しました。

    • アンシロさん
      はじめまして。私も「鍵のない夢を見る」の対談を読み、こちらの作品を読みたいなと思いました。

      好きな作家さんが影響を受けた作品を読むのはルー...
      はじめまして。私も「鍵のない夢を見る」の対談を読み、こちらの作品を読みたいなと思いました。

      好きな作家さんが影響を受けた作品を読むのはルーツを辿るようで、新たな作家さんとの出会いがとても楽しみです。
      2023/09/18
    • anisonshikaさん
      アンシロさん、コメントありがとうございます。
      林真理子さんの存在は知っていたのですが、私は作品を読んだことはありませんでした。
      林真理子さん...
      アンシロさん、コメントありがとうございます。
      林真理子さんの存在は知っていたのですが、私は作品を読んだことはありませんでした。
      林真理子さんのほかの作品では「本を読む女」も気になっています。
      2023/09/20
    • アンシロさん
      お返事ありがとうございます。
      私は半年程前から読書をするようになって、まだまだ知らない作家さんや作品ばかりなのできっかけや出会いがとても楽し...
      お返事ありがとうございます。
      私は半年程前から読書をするようになって、まだまだ知らない作家さんや作品ばかりなのできっかけや出会いがとても楽しみです。

      「本を読む女」も本屋で探してみます。今後ともよろしくお願いします。
      2023/09/20
  • 「しろいろの街の、その骨の体温の」を読んだ時と似た読後感。
    成長過程の女子の気持ち悪さとひたむきさを描いた小説を読むと感情移入してしまい心が疲れる。

  • 自分の内面を抉り出すような目を持った作家は本当に凄いと思う。乃理子の倍も生きていてもまだ、どうしようもない自意識との格闘は続いているよ。

  • こういう時あるよねってすごく思った。田舎育ちでぱっとしなかったからなおさら!女の子って、めんどくさいですよね、楽しいけど!

  • 全編読むと最後の章の唐突さに?となるけど、リアルな青春小説だと思う。
    それにしてもいくら人間失格が当たったからって、次々小説の表紙を漫画風イラストに変えてしまう風潮はどうにかして欲しい。私はたまたま前のデザインのものを見つけて買えたから良かったけど…そもそも主人公の乃里子は可愛くないという設定じゃないか。

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著者プロフィール

1954年山梨県生まれ。日本大学芸術学部を卒業後、コピーライターとして活躍する。1982年、エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』を刊行し、ベストセラーとなる。86年『最終便に間に合えば』『京都まで』で「直木賞」を受賞。95年『白蓮れんれん』で「柴田錬三郎賞」、98年『みんなの秘密』で「吉川英治文学賞」、13年『アスクレピオスの愛人』で「島清恋愛文学賞」を受賞する。18年『西郷どん!』がNHK大河ドラマ原作となり、同年「紫綬褒章」を受章する。その他著書に、『葡萄が目にしみる』『不機嫌な果実』『美女入門』『下流の宴』『野心のすすめ』『愉楽にて』『小説8050』『李王家の縁談』『奇跡』等がある。

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