魔法の水 現代ホラー傑作選第2集 (角川ホラー文庫)

  • 角川書店 (1993年4月22日発売)
3.13
  • (7)
  • (9)
  • (53)
  • (9)
  • (2)
本棚登録 : 236
感想 : 29
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784041586068

みんなの感想まとめ

ホラーアンソロジーとして、さまざまな作家による独自の視点が楽しめる作品集です。豪華な作家陣が揃い、じんわりとした怖さを描く短編が9編収められています。特に山田詠美の「桔梗」は耽美な世界観が印象的で、読...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 村上龍氏1993年編著のホラー小説アンソロジー本。
    村上龍氏本人の他、文芸作品を書く作家達の作品が全9編収録されています。
    景山民夫氏の作品のみ、書き下ろしで、それ以外の作品は一般文芸誌に発表された非ホラー小説、という性質上、全体的に地味な印象。
    先輩作家を含め、全て地味な文芸作品を据えておきながら、直線的な身体破壊描写がある村上龍氏自身の作品をラストに据えているという構成が、先輩作家達を地味な脇役に据えて、村上龍氏一人だけプリマドンナのように目立とうとしているのではないか、と想像した時に始めて、この本を読んでゾッとしました。

    以下簡単に各作品の感想を↓


    1983年の村上春樹作品。
    夜の学校+鏡が怖い、というショートショート。割と他愛ないストーリーですが、語り口で読ませます。

    桔梗
    1989年の山田詠美作品。
    7歳の少女が恐怖を感じた瞬間を描いた短編ですが、少女が大人の女性に憧れる気持ちを描くのが主となる作品なので、これをホラー小説に分類するのは強引な気がします。

    ひと夏の肌
    1983年の連城三紀彦作品。
    失った記憶を辿るミステリー。これも、ホラー小説とは言い難いです。でもルチオ・フルチ監督の映画『ルチオ・フルチのザ・サイキック』をホラー映画と思えるなら、この作品もホラー小説だと思えるかもしれませんね。

    箱の中
    1990年の椎名誠作品。
    狂った女が怖い、という密室シチュエーション・スリラー。イヤーな予感を感じさせる結末が素晴らしいです。

    飢えたナイフ
    1989年の原田宗典作品。
    曰わく付きのナイフ、という小道具はあるものの、怪談風にはならず、人の心の闇を描いたミステリーになっています。予測可能なオチを、大どんでん返し的に描いたラストシーンのせいで、作品自体が安っぽい出来に思えてしまいました。

    らせん
    1990年の吉本ばなな作品。
    不思議系の女性とその恋人の会話が中心になる物語。完全にホラー小説ではありません。

    葬式
    この作品のみ、このアンソロジー本への書き下ろしの景山民夫作品。
    ということは、他の一般文芸雑誌に発表された作品とは違い、このアンソロジー本がホラー小説集であることがわかって書いているはずなのに、全くホラー小説ではない、というのが不思議。
    霊感がある主人公が、大学時代の同級生の葬式で、友人の幽霊と話をする、というだけの物語。

    海豚
    1983年の森瑶子作品。
    幼少時代の一時期、海豚の肉を食べる習慣がある漁村で暮らした女性が、海豚を食べたという事実を隠して生きてきたのに、高校生の娘が夏休みのバイトとして千葉の海洋センターでイルカの世話をすると聞き、海豚を食べた罪悪感を思い出す、という短編。
    隠していた事実がいつ発覚するのか
    という恐怖心を描いてはいますが、この作品をホラー小説とは全く言えません。

    ペンライト
    この作品のみ編著者である村上龍の作品。初出はわからないんですけど、文中の固有名詞から1986年に書かれた作品かと思います。
    幽霊が怖い、もしくは多重人格ホラーかと思わせておいて、実はスプラッター。

    どの作品も、自分にはあまり響かなかったんですが、一番印象に残った作品を挙げるなら、狂人の怖さを書いた椎名誠『箱の中』。

  • あんまり怖くない…?
    ホラー小説って言うものをあんまり読まないから、いまいち"ホラー小説"っていうのがどんなものなのかがわからない。

    ただ、怖いっていうのなら、最後の"ペンライト"(村上龍さん)が一番怖かった。

    それにしても。やっぱり吉本ばななさんは好きだなぁ。

  • この本を読んで、なにか知っているストーリーがあると感じた。
    おそらくタモリの世にも奇妙な物語で見たのだと思うが詳しいことはわからない。

    編者は小説の醍醐味は「想像」と述べているがこれには同感。
    ただ、予定調和を否定するのは同感できない。
    あくまでも予定調和に「ひねり」を加えて、さらに深い意味を持たせるのがいいのであって、ひねりばかりだとそもそもストーリーとして成立していないというのが個人的な意見。
    この短編集の中にも、そのように完全に読者に放り投げている感がある作品を何作か見受けられた。

    ただ、感受性の問題なのでたまたま自分には合わなかっただけかもしれないが。

  • 本当に久しぶりに、椎名さんと原田宗典の作品を読んだ。ベストは山田詠美の「桔梗」。でもやっぱり、短編はちょっと物足りない。

  • 再読。ホラーアンソロジーシリーズ第2弾。今回もホラー?と思うような作品もあり怖さもそれ程…短編小説としては好きな物もあり

    村上春樹「鏡」
    怪談会にて出たとある警備員の男の体験談。時代設定と鏡の向こうの自分の持つ加害性(自傷的行動)にハルキズムを感じる。怪談としては割とポピュラーな鏡の中の知らない私ネタ。

    山田詠美「桔梗」
    とある少女の回想録。庭の下に流れる小川、隣の家に住む謎めいた和装の美女、等のギミックはものすごく好み。美女の恋による狂乱も中々に恐ろしさがあるが、合間合間の少女の独白や少女の母との会話が妙に現代的というか悪く言えば安っぽい。そこら辺で引き戻され幻想に浸りきれない点が少々残念

    連城三紀彦「ひと夏の肌」
    頭に酷い怪我を負い記憶を失った男。微かに蘇る記憶を頼りに訪れた瀬戸内の島で出会った謎の美女と親しくなるが、それは次第に蘇る記憶の再現としか思われず…。和装の謎めいた美女は良いpart2。物語がどういう風に着地するのか、記憶の再現としか思えない日々の真相は、とドキドキしながら読むがラストでやや拍子抜け。再現ではなく未来視オチにしては何故主人公にそう猛烈に惹かれたのだ等疑問点が多く無理矢理感あり。

    椎名誠「箱の中」
    エレベーターの故障により閉じ込められた男と女。シンプルに狂気に陥った人間が怖い話。エレベーターに閉じ込められる話からしてそもそも怖い

    原田宗典「飢えたナイフ」
    家族ぐるみの付き合いのある後輩宅に、妻と共に泊まりがけで出掛けた主人公。そこで後輩から、海外出張時に奇妙な女から押し付けられたというナイフと因縁を聞かされる…。愛する者を殺してしまう妖刀ならぬナイフの因縁と人間関係の黒さがよく効いた作品。ナイフを手に取ったのは後輩の妻だと思っていたが…

    吉本ばなな「らせん」
    ホラー…ホラー??

    景山民夫「葬式」
    霊感のある男による霊界と幽霊の説明。突然死した友人との会話。怖さは無いしただ説明を見聞きさせられただけ、のような感じ

    森瑶子「海豚」
    戦後の混乱の中、和歌山の漁師町で暮らした過去とそこに眠る血の匂いの記憶。イルカ漁に関しては文化としてそこまで批判されるものではないという事と、水族館にいる個体と野生では性質も違うと考えている人間なのでイルカの無垢と漁の残酷さを強調する文調はソリが合わないな…という印象。フィクションではあるけども。
    メインはイルカ漁と肉を食べた後ろめたさではあるが、それは戦時中の大陸での、飢えた中国人の子供達の前で食べた芋の記憶。幼いうちから持っていた浅薄な優越感とそれに対する罪悪感と繋がりアレルギーとなっている。
    精神的・動物に対しての暴力性こそあれどホラーでは無い気が…。

    村上龍「ペンライト」
    知的障害を持っているらしい主人公と、彼女と共生し内から会話する存在。多重人格かと思いきや…。霊的存在、スナッフフィルムを撮るグループの暴力性、グロさはあるが主人公の生活の荒れ方へのいたたまれなさの方が強い

  • 鏡 村上春樹著
    桔梗 山田詠美著
    ひと夏の肌 連城三紀彦著
    箱の中 椎名誠著
    飢えたナイフ 原田宗典著
    らせん 吉本ばなな著
    葬式 景山民夫著
    海豚 森瑶子著
    ペンライト 村上龍著。

    ビッグネームで話題性はあったのかもだけど、山田詠美はどう考えてもホラー向いてないから入れなくてよかったかなと思う。
    原田宗典は安定ですね。
    ペンライト、怖いです。

  • 個人的には、「箱の中」が一番良かったです。

  • 日常の中に潜む不思議を集めたような短編集でした。
    澄んだ夜の空気の中で静かに読みたい1冊です。

  • 2012年7月17日読了。村上龍編集によるホラー短編集。W村上や吉本ばなななど執筆陣はなかなかに豪華だが、他のアンソロジー集などで既読の短編も多く、私にとっては刺激が少なかったか。S・キングのような大上段から力技でカマしてくる大長編ホラーも好きだが、村上龍の後書きにもある通り「恐怖」は想像力をかきたてられるところから生まれるものだと思う。短いボリュームで、シチュエーションと「語られなかった」余韻を残すホラー短編小説は、気軽に楽しむ(と、いう表現は語弊があるが)のに最適だと思う。収録先の中では原田宗典氏の「飢えたナイフ」の完成度が最も高いと思うが、きれいに決まりすぎていて若干食い足りないか、有名作品だが椎名誠氏の「箱の中」の不条理・リアルな感じがとても面白い。

  • ホラー
    死に至らしめるような絶対的存在への恐怖、日常を脅かす非日常な出来事…。そういう不可解な対象を、安全圏とされるところから覗き、怖がる。その怖がる事が楽しいのであって、ホラーは、ジェットコースターとよく似ていると思った。

    本書、村上龍編のホラー・アンソロジーはホラーというよりサスペンス物もいくつかあり、全体的にレベルが高い訳ではないような気がした。山田詠美さんの「桔梗」は、家の下を通り、庭からお隣さんのお家を流れる小川を美しく捉え、情緒のある話の流れだったが、好ましくない情報も流れ...。それ以外では本当に薄紫色の絵になるストーリーでした。原田宗典さんの「飢えたナイフ」も文字に惹き付けられます。

  • 作家陣の顔ぶれが好み。龍氏以外の作品は未読だったので。

    ただ、『海豚』(森瑤子)に関しては恐怖というよりやや不愉快さを感じた。海豚を食した、身内が海豚の虐殺に荷担したという罪悪感から……というストーリーだが、日本では海豚を食べる地域が存在する。海豚を殺して食べたことがおそろしい背徳感と罪悪感、そして恐怖に繋がっているという筋立ては、海豚を食べる地域の人を非難しているようにも見える。
    日本語で書いた小説として、禁忌を犯したが故の恐怖を描くなら、別の題材を選んだほうが傷つける人は少ないんじゃないだろうか。

    久しぶりに読んだ龍氏のこの頃の作品(収録されているのは『ペンライト』。短編集『トパーズ』に掲載されていたので、私にとっては再読)は、恐怖というよりもグロテスクなものだったが、懐かしかったのでよし。

  • 著名の作家のホラーもの短編を村上龍が選者となって纏めた短編集。と言っても、作家が著名なだけで内容はスカスカ。大半は怖くも面白くもないです。唯一、山田詠美の「桔梗」だけはよかったです。文章を読むだけで匂いまで伝わってくるような感覚はさすがとしか言いようが無い。家の下を流れる小川といった実在するのかどうか怪しい情景ですら、はっきりと読者の脳裏に描かせてしまうのは山田詠美ならではかと。この一編は読む価値ありです。

  • ホラー小説アンソロジー。じわじわ来る恐怖やナンセンスな恐怖など、いろいろな味わいの作品があります。
    お気に入りは原田宗典「飢えたナイフ」。一番オーソドックスな印象の、呪物ホラー。なんとなく見当のつく展開ながら、このオチにはやられたなあ、なんとも皮肉です。

  • 執筆陣は豪華なのにどれもいまいちなオムニバス。

    村上龍だけ素晴らしかったなー。
    女性の口調もズルズルした文体も登場人物のいかれ具合も無駄な説明がそぎ落とされているところも話自体も全く私の好みドストライクでした。いい短編だ。

    10.07.22 再読

  • ホラー短編集です。
    私は山田詠美さんのお話が面白かったです。

  • 豪華な作家陣。怖がりな人におすすめです。

  • 37/100
    村上龍が選んだ9つのホラー短編です。

    この中では『箱の中』 椎名誠かなー

    思わぬ展開、それはないだろーみたいな意外性が一番だったのがこちらかな。

    あとのお話はふーん、ぐらい。



    『ペンライト』村上龍にいたってはエログロだよねー

    『コックサッカーブルース』に近い変態だわ、とってつけた様な終わり方だったけど・・

    村上龍には、エログロではない『五分後の世界』なってのもありますけど、こちらはなかなか面白かったです。

    おすすめ。

  • 初読:2008/09/20

    特に怖くない。

  • 9人の作家がそれぞれ描くホラー作品。うーん、こういう寄せ集め的な短編集はろくなものがないのが常ですが、こういう作家がいるんだなぁ、もしくはこいつ、やっぱりつまらんもんしか書かんから読まんでええなとかいう、これからのための判断をするために読むみたいな感じですかねぇ。吉本ばなな・森瑤子・村上龍が良かった感じです。特に村上龍氏の「ペンライト」がギンギンしてました。

  • ホラー傑作集。だけど思ってたホラーではない。ぐろくない。

全25件中 1 - 20件を表示

この本が好きな人におすすめの本

著者プロフィール

一九五二年、長崎県佐世保市生まれ。 武蔵野美術大学中退。大学在学中の七六年に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。八一年に『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、九八年に『イン ザ・ミソスープ』で読売文学賞、二〇〇〇年に『共生虫』で谷崎潤一郎賞、〇五年に『半島を出よ』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。経済トーク番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京)のインタビュアーもつとめる。

「2020年 『すべての男は消耗品である。 最終巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

村上龍の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×