日本探見二泊三日 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041598078

作品紹介・あらすじ

気負いなく日本各地に二泊三日でふらりと出かけて、ふるさと日本の魅力を再発見。鉄道趣味人ならではの五能線の秘境や北海道のローカル線探訪から、雨の熊野古道や四国のお遍路、親不知、五島列島まで。

感想・レビュー・書評

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  • なんだか変わったとこにばっか行くので、絶対自分では行かないなーと思いつつ、だからこそ読みがいがあっておもしろかったかな。
    タイトル通り二泊三日ほどの日程でちょっと変わったところに旅した話。

  • 旅行雑誌の連載で旅する著者の紀行文。しかし、他著を読んできた自分にとって、本書掲載の紀行文は中途半端な印象を否めない。企画と掲載スペースの関係だと思うが、日程の短さと相まって旅先での記述が何の余韻もなくブツッと切られてしまう感じを、各旅ごとに味わわされた。『夕張今昔』は著者が旅行当時、炭鉱の街からリゾート開発へと舵が切られた直後で、新しい施設が建設されたことを好意的に見ていたが、それが財政再建団体への転落の始まりだとは、さすがの著者も想像できなかっただろう。その意味では「今昔」を改めて考えさせられた。

  • 1994年(初出1989~90年)刊行。月刊旅行誌「旅」に連載された二泊三日の紀行文13編。メジャー過ぎない観光地案内は鉄道旅行記では珍しくないが、その地の滞在記やバス・船での旅行・見聞録も載せているので、鉄道旅行記の中では異色の部類か。また、著者も年齢を重ねた所為か、ガンガン旅行していくという雰囲気ではない。とはいえ、短編紀行文なので読みやすいし、さらに、バブル崩壊の少し前の雰囲気を感じる描写も散見(炭鉱廃山後、テーマパークを開設した夕張、ゴルフ場やリゾート開発が見受けられた淡路など)される。

  • 確か宮脇俊三氏は編集部が上げ膳据え膳する旅行は嫌いだったはずなのですが、本作では最初の紀行から大日本交通公社様の御威光に頼り切っています。かなり後期の作品で、「ああ、宮脇さんもそんな"先生"になっちゃったんだなあ…」と少々寂しい思いです。

    全国各地、秘境とは言わないまでもかなりマイナーな観光地を訪ね歩いた紀行。ちょいちょい鉄道話に傾いてはいくものの、淡路島や五島など線路と縁のないチョイスも多く、その意味ではかなり新鮮な印象も与える作品です。遠くに行くばかりが旅ではない。そして有名観光地をハシゴするだけが旅でもない。日本全国津々浦々、探せばこんな風景はまだ幾らでも残っているのでしょうね。

    とは言え刊行はバブルまっただ中、夕張の現状たるや…。一方で世界遺産になった熊野古道や白神山地のような土地もあるわけで、20年近くを経ると色々な歴史が刻まれるものです。

  • 鉄道メインの旅行の本かと思いきや、鉄道も使っているものの、旅自体がメイン。鉄道話を期待していたのでちょっぴり残念。

  • 種村直樹に続き古本で見つけた宮脇俊三。種村直樹読んだときに「宮脇俊三の方が文学的、叙情的」とか書いたけど、そうでもなかった。まぁ本にもよるやろうし、久しく読んでないから思い込みもあったかな。宮脇俊三もけっこう俗っぽかった。しかし、宿の実名挙げて「うら寂しい」とか「今夜泊まるとなると気が滅入る」とか今じゃ書けないよなぁ、時代かなぁ。で、熊野古道とか白神山地とかB級観光地扱いなのも時代を感じる。世界遺産になろうとはねぇ。

  • 月刊誌「旅」にて、「日本ふるさと探見」の題で連載されてゐたものをまとめた一冊であります。単行本刊行時に、『日本探見二泊三日』に改題されました。その理由は、宮脇氏によると「一泊や三泊もあるが、大半が二泊三日なので」ださうです。かういふアバウトさは嫌ひではありません。しかし、そもそも改題の必要はあつたのか、元の題でも良いぢやないかと勘考するところです。

    本書の概念は、単行本の帯にある惹句によると、「ねらい目は、B級旅行地」ださうな。B級なになにといふ言ひまはしは余り好きではないけれど、まあ言はんとするところは分かります。
    即ち、旅行ガイドには必ず載つてゐて、大ホテルが林立し観光バスが雁行する有名観光地を仮にA級とするならば、逆に秘境と呼ばれ、交通不便で訪問には若干の体力と忍耐を要する、知る人ぞ知る穴場をC級だと思ひなされ。「観光地にランク付けするな!」と叫ぶそこのお方、ごもつともな意見ですが、ここは目を瞑つてください。
    その中間に当る、A級ほどの知名度は無いが、C級ほどの秘境ではなく、それなりの交通機関は通じてゐて、まだ自然も残されてゐる場所が本書の狙ふところであります。

    そんな基準で登場するのは、熊野古道・親不知・豊後水道と日豊海岸・秋田・南淡路・阿武隈・五島列島・夕張・広島県三次・四国お遍路・岐阜県蛭川村などであります。
    熊野古道なんかは、現在では超有名観光地ではないかと思ひますが、連載時の27年前の時点ではそれほどでも無かつたのでせうか。

    宮脇氏は編集部の注文に対し、真正面から向き合ひ応へてゐます。必ずしも鉄道に乗れる旅ばかりではないのに、ご苦労なことであります。
    熊野古道では雨に祟られ、秋田で「火振りかまくら」を体験し、日豊海岸に「昔の日本」を感じ、阿武隈の霊山では足がすくむやうな道に肝を冷やして、五島列島では隠れキリシタンにインタビューし、炭鉱からメロンへの変貌を遂げた夕張で感慨に耽る。
    或は、三次の江川で鵜飼を愉しみつつ鵜を哀れみ、四国八十八か所のキセル体験をし、蛭川村でマツタケを採取しながら「マツタケに眼の色を変えるのが阿呆らしいような気がしてきた」と言ひ放つ。

    かういふところでこそ、日本の良さはより深く味はへる。無論宮脇氏と同じやうな旅をする必要はありませんが、先入感に捕はれずに自らの五感で体験すれば、例へ有名観光地でなくても、記憶に残る旅のポイントは有ると申せませう。
    まあ、どこへ旅行へ行つても日常の延長の遊びを期待し、著名な行楽地が無い土地では若干の優越感と僅少の侮蔑を含んで、「なんだ、何もないところだね」と呟く人々には無縁の一冊かなとも思ひます。

    と、いささか挑発的な言辞を持つて、本項を締めくくることにしませう。
    ぢやあまた、今日の日は左様なら。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-580.html

  • 斜陽の炭鉱都市夕張はメロンで町興しで成功をおさめた‥
    夕張今昔
    今は破綻した都市だ
    解説にもあるように宮脇氏の旧著の在りし日の各線は、かつての実感がこもっている、と。

  • 13/08/03、ブックオフで購入。

  • 宮脇さんの作品が好きで良く読んでいる。しかし、やはり宮脇さんの文章の魅力は、車窓を通したものが抜群に面白いと思う。この本のように「移動」ではなく「旅」がメインとなってしまうとその魅力が半減してしまうように感じるのは自分だけだろうか。個人的には親不知や夕張などの編が楽しめたが、全体としては凡庸な印象。

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著者プロフィール

宮脇俊三
一九二六年埼玉県生まれ。四五年、東京帝国大学理学部地質学科に入学。五一年、東京大学文学部西洋史学科卒業、中央公論社入社。『中央公論』『婦人公論』編集長などを歴任。七八年、中央公論社を退職、『時刻表2万キロ』で作家デビュー。八五年、『殺意の風景』で第十三回泉鏡花文学賞受賞。九九年、第四十七回菊池寛賞受賞。二〇〇三年、死去。戒名は「鉄道院周遊俊妙居士」。

「2023年 『時刻表昭和史 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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