ひとめあなたに… (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041600016

感想・レビュー・書評

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  • 実家で再読。地球に巨大隕石が衝突することが判明、終末までの期限は1週間。交通はストップし自暴自棄な人々が暴走する中、江古田に住む圭子は鎌倉に住む恋人の朗に会うために徒歩で出発する。

    実家にいた頃は鎌倉はともかく江古田ってどこやねんという感じでピンときていませんでしたが、上京して最初に住んだのが江古田のすぐそばで、ここがあの江古田かーみたいな無駄に感慨(笑)

    圭子が旅の途中でかかわる何人かのエピソードが、世界が終わるときに人はどういう行動をとるのかといういくつかのサンプル的に登場してくるのだけれど、なんといっても強烈に印象に残っているのはチャイニーズスープ。あと1週間で世界が終るというときに、自分を捨てて愛人のもとへ行こうとした夫を刺殺した妻は、愛する人と同化し自分のなかに「かえしてあげる」ために、ユーミンの「チャイニーズスープ」を口ずさみながらシチューにして煮込もうとする。とんだ狂気だけれど、これはたいへん切なかった。

    その他、ひたすら眠り続けて、これは自分の夢だという少女、先の見えない人生に最初から愛想をつかしていて世界が終わることをむしろ喜んでいる少女など、いろんな女性が登場する。単純に、自分ならどうするだろう、誰と一緒にいたいと思うだろうと想像をめぐらせてしまう。終末ものの名作。

  • 当時20歳かそこらの小娘が書いたという本。
    ラノベの元祖と呼ばれているらしく
    友人の勧めで読んだよ。

    地球が終わる日までのカウントダウンの話。
    人が狂うありさまを描いているのだけれど
    よくここまでいろんな人の心情を分けてかけるなあと感心。
    人を食べるシーンとかかなりきつかったので飛ばしちゃった。

    最期の日を一緒に過ごす相手がいる、主人公に嫉妬した。

  • 「とにかく、珍しいくらい人なつっこい人。入学式の日から、クラス全員を名前のほうで呼び、全員の親友みたいな顔をしてる人。」

    「あたしね_おそらくあたし_地球が亡ぶってニュース聞いて、この世の中でただ一人、しあわせなのは、あたしだけだと思うの。ほんっとに」

    私は、ハッピーエンドの小説が好きだ。読んで読み進んで泣かされる事があったとしてもその先にハッピーエンドがあればと絶対期待している。本の中でさえ絶望させられたら死んでしまう。狂って壊れていく女性を描くのが好きだと新井さんは言う。狂って壊れていく女性は美しいって。うえっ、て
    思う。狂気に満ちて、自分を見失ってる状態が美しいだなんて、考えられない。それに不謹慎だけど、地球が一週間後に亡ぶって聞いて、しあわせなのって言ってしまう、気持ちが判ってしまう。

    「あたしは、ね。走ってきたの。走ってんの。ずっと。もうすっかり加速がついちゃったの。だから、とまれないの・・・・・・」

    この気持ちも判ってしまう。真理は恋に走ってたわけじゃないんだけど、真理みたいにレールの上を走る事しかできなかったわけじゃないんだけど、とまれないというより止まりたくない気持ちは判る。

    痛い、痛い、痛い。読んでて途中痛くてひといきには読めなかった。スプラッタ物が若干苦手なんだけど、えぐぐはない。けど痛い。でも判る。泣く。泣いてしまう。でもよかったひとめあえて。

  • 昔々、私がまだ少女だったときに読んだ本。
    当時だったら星3つくらいはつけたのだろうけれど。
    私もりっぱなおばさんとなってしまいました。

    それでも、なんとなく覚えていたところもあった。
    妻と愛人がやりあうところとか、思い出した。
    あ、次にこんなセリフを言うぞ、と。
    若いころの記憶力は、実に素晴らしい。
    改めて実感をした。

    そもそも、文体がラフすぎて、それだけでもおばちゃんにはつらかったです。

  • 初めて読んだ新井素子作品です。
    新井さんといえば、SFのイメージがあります。
    当作はSFロマンとのことですが、ある意味サギですよね。
    だって、エグい要素を含んでいますから。

    間もなく地球が滅亡するという設定です。
    今では「ノストラダムスの予告って何ソレ」という感じですけどね。

    地球滅亡までいくばくもなく、自暴自棄になる人間が溢れる中で、主人公・圭子は別れを告げて去っていった恋人・朗に会おうとする。
    朗が別れを決意した理由は、重い病気を罹って長く生きられないからだった。
    狂っていく女性達を見て、圭子は何度も精神的に参りそうになるが、最後には朗の元に辿り着く。

    各エピソードに登場する女性キャラは、残された時間の中で少しずつおかしくなっていきます。
    「あたし、○○と思うんだ」といった文体なので、はじめはライトなラブロマンスかと思っていました。
    まさか、読んで数ページでグロいシーンが待っているとは予想もしませんでしたよ。

    ある女は夫を殺して、彼の肉でシチューを作ります。
    しかも、鼻歌を歌いながら。
    料理をする描写が妙に細かいです。
    「脛毛を剃ろう」とか、「骨が硬い」とか。

    パニック状態の世界でも、普段通りに過ごす少女。
    この世界は夢だと思い込む女のコ。
    流産し掛けて、狂ってしまう女。
    どの話も、オチは救いようがないです。

    鬱になりながらも読み進めると、ようやく甘いシーンが迎えられます。
    お気に入りの服はズタボロになったけど、朗の姿を見つけて、圭子は身を整えます。

    地球の最後を愛する人と過ごす。
    寄り添う朗と圭子は、これまで登場してきた人達とは違って穏やかです。

    ラストは一応、ハッピーエンドですかね。

  • 高校生の時?久しぶりに読んだ本。
    その頃の自分には状況がリアルに感じられた。

  • 独特な文体で書かれている小説。
    好みが分かれそうですが私はスンナリと受け入れられました。
    しかし若干古い感じ。

    地球に隕石が落ちて、全人類が滅亡するだろうと言われ慌てふためく人たち。
    隕石激突まであと五日。

    交通機関がストップした中、迷いもせず一心不乱に恋人の元へ向かう主人公。
    正直少し羨ましい。
    私はきっと迷いに迷って狂うタイプ。
    家族とも一緒に居たいが、大好きだったあの人にも会いたい。考えまくって五日間が終わりそう。

    人肉料理を作るシーンが衝撃的。
    その日は本当はビーフシチューを作る予定で、材料も全て揃えておいたのですが、急遽レシピ変更。
    しばらくビーフシチューは作りたくない。

  • リアルタイムでは読んでなかった。こっちの方がはるかに先なんだけど、終末のフールみたいと思った。今人気の作家は大なり小なり新井さんに影響受けてるのねと思った。

  • 終○のフールに似た、隕石激突で地球滅亡直前。 と言う設定の中、『極限』に追い込まれた女子達の狂った様を、わりと軽いタッチで描きつつ、時に、垣間見せる女性作家ならでは?な、グロテスクな表現・描写… とにかく勢いで読み切った。 “女って、そんなあやふやな 何考えてんだか、自分でもよく判らない、一つのものであると同時に他のものでもあり得る、そんな妙な生き物かしら” …女子自身でも判らない、妙な生き物を、そりゃあ、オトコが判るはずもないな。と改めて。

  • 狂気と正気、混乱と絶望の最中。あたしは狂った人々と遭遇する。
    哀しくも、実際正気でいられるのだろうかと疑いたくもなる作品。ラストはハッピーエンドで、綺麗に終わってる。
    しかしながら、最後をどうやって迎えたのかは闇の中である

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著者プロフィール

一九六〇年東京生まれ。立教大学独文科卒業。高校時代に書いた『あたしの中の……』が第一回奇想天外SF新人賞佳作を受賞し、デビュー。一九八一年『グリーン・レクイエム』で、八二年『チグリスとユーフラテス』で日本SF大賞を受賞した。他の作品に『……絶句』『もいちどあなたにあいたいな』『イン・ザ・ヘブン』『銀婚式物語『未来へ……』等多数。趣味は碁。日本棋院の「囲碁大使」を務める。

「2018年 『素子の碁 サルスベリがとまらない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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