壜の中のメッセージ (角川文庫 (5961))

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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041604021

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  •  カフェテラスの待ち合わせ。叩きつけるように降る雨の中のクルマ。コーラ・ブラウンのストッキング。ストリートの上のキス。
     女の子達は、DJの「ぼく」がかけるレコードに合わせて踊っている。THE POLICE/MESSAGE IN A BOTTLEのリクエスト・カードに添えられた、別れのメッセージ。
     友人の山口が書こうとしている『カンサー』というタイトルの小説。二人の共通のヒロイン、宏子のアート。不思議に優しい、三角関係。真夏のビーチに建てられたピンクのハウスが、三人のベースだった。
     スーパートランプ、ポリス、オーティス・レディング、スプリングスティーン。ビートの中を駆け抜ける、アスファルトの上の青春を描く、長編小説。

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    学園闘争を背景にした作品で、ラストシーンで逃げるために走り出し、走ることが大切なんだということを再認識するストーリーが山川健一にあったことを思いだした。それが読みたくて探したがとりあえずなかったのでこの作品を選んだ。タイトルから以前読んだことがあるような気がしたが、あらためて読むと新鮮な感動があった。大学の頃、バンドを組み、真夜中のドライブをしていた頃を思い出す。松村雄策の「苺畑の午前五時」にも通じる感覚だ。

    「青い空との別れ」・・・自由奔放に生きる智子への僕の気持ちの揺れが瑞々しく感じられた。ラスト近くの「もし、彼女がずっととどまってくれたなら、とぼくは夢想した。お互いのことなどお構いなしで、だから失敗してもどちらを責めることもなく、この退屈と鈍い苦痛の中を千鳥足で歩いて行くことができたならば。」という思いが相手を所有することのない男女の関係を示しているような気がした。

    「壜の中のメッセージ」・・・DJの「ぼく」にポリスの「ソー・ロンリー」をリクエストする自殺願望の少女。これは以前読んだことがあるのを思い出した。伸子が死んでしまった病院の窓に朝焼けが映るラストが印象的。昔はDJっていえばこんな感じだったんだよな。

    「八月のトライアングル」・・・隣の部屋の彼女に聴かせるために、ステレオの「ボリュームを少し上げ、バスを下げトレブルを効かして、」という描写はこの小説だったんだ。こちらもまた自由に生きる宏子(不二子ちゃんを思わせる)と山口とぼくとの、南の島でのオープンな三角関係は時代の雰囲気を感じさせる。宏子に裏切られた後でも彼女のことを恨みきれない男二人がいい。二人の友人と自分自身のために乾杯するラストもいい。

    この手のストーリーは青春もの(?)としてはよくあるものだろう。だからそうしたストーリーでも感動するということは、なにかストーリー以外に自分に響くものがあるということだ。この小説の場合はそれがロックなんだろうか。智子と宏子という二人のヒロインに寄るところが多いような気もするんだけど。

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