- Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041612286
作品紹介・あらすじ
催促、苦情、お願いごと。とかく手紙は、書きにくい。言いにくいことをうまく伝える方法は?後腐れないような言い回しは?目上の人に失礼のない書き方は?誘いや借金のお願いをやんわりと断ったり、落ち込んだ友人を励ましたり、亡くなった人を思い起こしたり。思いの丈を文字にのせて、伝えよう。36人の作家がオリジナリティ溢れる短い手紙文を執筆。文章と創作のプロに学ぶ、手紙の見本帳。
感想・レビュー・書評
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「文章と創作のプロに学ぶ、手紙の見本帳」ということで、いろんなテーマの手紙が載っている。
特にいいなぁと思った手紙は以下の4通。
まずは、中村うさぎさんの「タイプだと思った相手に交際を申し込む手紙」。
私は絶対こんな手紙は書けないので参考にはならないけれど、この手紙なら相手には好印象なのではないかと思った。
明るくてサッパリしてて、尚且つとても可愛い手紙だ。
次に、奥田英朗さんの「一方的に自作小説を送りつけてきたファンへの手紙」。
とにかく面白い。大爆笑。
そして、楡周平さんの「申し込まれた借金を断る手紙」。
いい手紙だなぁと思う。贅沢を言えば、相手が先輩バージョンも読みたかった。
1番良かったのは、姫野カオルコさんの「中元に近江牛の味噌漬けを届けてくれる、亡父の友人に、それが毎年、腐っているのだと思いきって教える手紙」。
難易度高のこのテーマを見事にクリアしていて素晴らしいお手紙!
参考にします。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
手紙というのは伝えたいことを伝えるために伏線を張っていく、ある意味では一つの完成された小説なのだなと思う。手紙一つ書くのにどれだけ労力を注ぐことか!この本に出てくるような手紙を送ってもらえる相手は(例外も多々あるにせよ)幸せ者に違いない。
気になった(気に入った?)手紙を挙げると、特に有栖川さんの手紙が素敵だ。たったあれだけの用事、文面なのに何回も読み返したくなってしまう。川端さんのはロマン溢れるというのか、読んでいて楽しくなる。歌野正午は流石としか言いようがない。まさかこんなコンセプトの本であんなネタを振ってくるとは…。北方さんの手紙はこんな関係いいな、羨ましいな、と思いながら読んでいたが最後の四行で涙が止まらなくなった。中村うさぎの手紙は貰うと嬉しくなってしまいそう。いいなあ、本当に相手が羨ましい。
こんな手紙を書けたらいいのに。
何だか手紙が書きたくなってきたので、6年来会ってない友人に、久しぶりに手紙を書いてみようと思う。 -
36人の作家による「手紙」形式のアンソロジー。
一般人が手紙を題材に何か書こうとすれば恋人か家族かにちょっと涙を誘う内容がお決まりって感じだけど、ノンフィクションからSFチックなものまで短い手紙を通して情景が浮かぶほどに物語が詰め込まれているのでやはり作家さんはすごい。エイリアンに宛てた手紙まであるんだから(笑)
歌野晶午さんのすごかったし、野中柊さんの「遠い日に逝った祖父へ」や、中村うさぎさんの作品が好き。 -
フィクションとノンフィクションがまざってるのが、
この本をさらによくしてるなあと思った。 -
心に残った作品は、
・おまえさんへ 峰飼耳さん
人間でないことがばれて出て行く女の置き手紙として執筆された作品。一種のリドルストーリーとも思えました。お互いの関係は語らずとも解るので、最小限の事しか書かれていないので、第三者としてはもどかしい。
・無題 小林紀晴さん
亡き父への手紙として執筆された作品。それとも、本当に宛てた手紙なのかもしれません。父の遺品とともに思い出の場所を訪れる著者。人の死がもたらす事はこういう事だと思います。 -
36人の作家による短い手紙。
断りの手紙、苦情の手紙あたりがおもしろい。丁寧にユーモアをまぜつつ拒絶したり文句いったりで、さすが作家さんという感じ。
新津きよみの”相手の妻が読むことを想定して、同窓会で再会した初恋の男からの誘いを断る手紙”、楡周平の”申し込まれた借金を断る手紙”、五條瑛の”エイリアンさまへの手紙”、森絵都の”隣家の庭から張り出した小枝の苦情をいう手紙” がとくにすき。
あと、北方謙三の”亡き友への手紙”がとてもよかった。 -
リリース:(駄々猫さん)
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全部通してよかったのは、断りの手紙。
作家さんが書く手紙は小説みたい。
やっぱり違うなと思いながら楽しんだ。 -
さすがに作家の書く手紙だけあって面白い。文章表現の方法にもいろいろあるんだなと勉強になる。小池真理子、酒井順子、歌野晶午が特に面白かった。
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作家は、小説を書くことが仕事である。その仕事の延長線上にあるこの作品の僅かな部分に本音をしたためて、照れ隠しをしているんじゃないかとさえ思った。届けられない人へ、届いて欲しい。作家自身のそんな願いが込められている作品のように感じた。作家の等身大の声を作品を通して聞きたいのなら、オススメの一冊だ。
著者プロフィール
北方謙三の作品





