悪夢喰らい (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
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本棚登録 : 59
感想 : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041626016

作品紹介・あらすじ

憑かれたように走って死を迎える男。満月の夜に繰りひろげられた血塗られた饗宴。内臓をむさぼる美しい女。漆黒の虚空を泳ぐ巨大な竜。濃霧の中から突然広がる屍累々の世界。壜の中に浮かぶ緑色に染まる女の裸体…。日本土着の残虐と優美を現代に投影する、めくるめく幻想と現実の夢魔。当代きってのエンターティナーが描く、鮮烈なイマージュの全九話。

感想・レビュー・書評

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  • 夢枕獏氏の1984年刊行単行本を1985年に文庫化したもの。
    短編が9篇収録されています。

    2002年に角川ホラー文庫から再発売されているので、ホラー小説を期待して読んだのですが、読んでみると、ちょっと違いました。現代を舞台にしていながら現代日本を感じさせない、民話のような、何とも不思議な感覚。日常からふっと非日常の世界に入り込んでしまう話でまとめられています。

    時折、1980年代ホラー映画のスプラッター・ブームに影響されたような人体破壊描写が在るので、角川ホラー文庫から再発売されたんでしょうかね。


    以下は作品ごとに簡単な感想を↓

    鬼走り
    走ってくる子供の幽霊、という怪談めいた話を、どことなくユーモアを感じさせるホラー小説に仕上げています。△

    こころの首
    なんというか、山小屋を舞台にした民話調ホラー、とでもいうところでしょうか。スプラッターな表現だけには、作品が発表された1980年代の雰囲気があります。△

    中有洞
    死後の世界をモチーフにした、仏教説話的な怪奇物語。△

    のけもの道
    バイオレンス描写が楽しめる一編。ずっとのけものとして生きてきたサラリーマンの悲哀を描いています。△

    骨董屋
    藤子不二雄的な「すこしふしぎ」ジャンル。哀しくて残酷なところは石森章太郎的かも。まあ、どっちにしろ、トキワ荘出身作家からの大きな影響を感じさせます。△

    四畳半漂流記
    大学生が住む狭いアパートの1室を舞台に、天使と悪魔の戦いを描く、不思議なファンタジー。×

    八千六百五十三円の女
    男を破滅させる謎の女との出会いと別れを、恐ろしさと切なさで描いた一編。△

    霧幻彷徨記
    山登りの途中、死の世界に迷い込んでしまう物語。夢枕獏氏特有の螺旋の概念を時間に例えた観念的な一編。×

    深山幻想譚
    これも山が舞台。誰も来ないような山の中で、謎の男と出会う怪奇物語ですが、不条理な展開になります。△

  • 作者ならではの、粘っこい暴力とエロが渦巻くホラー作品集。

    ダメ人間になった大人が疲れた都会を抜け出して、リュックを背負った山行で悪夢のような体験をしてという流れが多いのはご愛嬌。

    昔、見たドラマシリーズの原作の「のけもの道」がドラマとは全く違って、ひたすら狂気。

    それにしても、ひたひたと後ろから迫ってくるような怖気や、気の弱い人間の卑屈な心の描き方は素晴らしい。素晴らしいというか読んでいて嫌な気持ちにさせられる。

    救われない話が多いので、心が安定している時に楽しみたい作品集です。

  • ホラー短編集

    鬼走り:流れる様に変わる視点が良い/ことろの首/中有洞:怖い/のけもの道:怖いけど、思い知れ!ククッ・・ってなる/骨董屋/四畳半漂流記/八千六百五十三円の女/霧幻彷徨記/深山幻想譚

    山好き?とても読み易いのだけど、最後の方はみんなどれも同じに思えてくる。

    *2010.3 *2017.5

  • 鬼走り、ことろの首、中有洞、のけもの道、骨董屋、四畳半漂流記、八千六百五十三円の女、霧幻彷徨記、深山幻想譚

  • 奥方の「頭の良い男性作家が描くちょっとしたホラーもの」とはなかなか言い得て妙かと。
    少々書き手の立ち位置に古さを感じずにはいられない内容もある。要するにその当時の流行(ないしは流行への反抗)の典型だったのかと推察される。
    残念ながら(?)今後も読み継がれていくような普遍性は特にないと思われる。

  • 「鳥葬の山」以来の夢枕獏、初期の短編集読了。
    中島らもがエッセイで紹介していた「鬼走り」を読みたくて手に取ったのですが・・・ハマりましたね(^_^;)
    とにかく“山”と“土”と・・・“血”“体液”“霧”・・・の感じ。
    中島らもが「内臓感覚の~」と言っていた意味が解った気がします。
    あと、性的な表現の部分は意外にそそられます(^_^;)
    ま、あまり女性にはお勧めできません。

  • 07/07

  • 380
    憑かれたように走って死を迎える男。満月の夜に繰りひろげられた血塗られた饗宴。内臓をむさぼる美しい女。漆黒の虚空を泳ぐ巨大な竜。濃霧の中から突然広がる屍累々の世界。壜の中に浮かぶ緑色に染まる女の裸体……。日本土着の残虐と優美を現代に投影する、めくるめく幻想と現実の夢魔。当代きってのエンターティナーが描く、鮮烈なイマージュの全九話。
    鬼走り・ことろの首・中有洞・のけもの道・骨董屋・四畳半漂流記・八千六百五十三円の女・霧幻彷徨記・深山幻想譚

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著者プロフィール

1951年神奈川県生まれ。東海大卒。77年「カエルの死」でデビュー。『キマイラ』『闇狩り師』『サイコダイバー』『陰陽師』などの人気シリーズを持つ。『上弦の月を喰べる獅子』で日本SF大賞。『神々の山嶺』で柴田錬三郎賞。『大江戸釣客伝』で泉鏡花文学賞、吉川英治文学賞。近年、菊池寛賞、日本ミステリー文学大賞を受賞。18年、紫綬褒章を受章。

「2022年 『宿神 第二巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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