風果つる街 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
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本棚登録 : 31
感想 : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (377ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041626078

感想・レビュー・書評

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  • 友人に勧められて「魔獣狩り」を読んでからハマりにハマった獏さん(夢枕 獏)の作品。
    出る本、片っ端から買って読んだ。

    「魔獣狩り」「闇狩り師」「餓狼伝」「キマイラ」etc.
    どの作品も好きだが個人的BEST1と言えば、本書「風果つる街」しかない。

    主人公は加倉文吉(「獅子の門」の登場人物の人物の一人加倉文平の父)。
    将棋の真剣(賭け将棋)で金を稼ぎ、宛の無い旅を続ける。

    ・銀狐
    ・くすぶり
    ・浮熊
    ・妄執の風
    の全四編を収録。

    定職を持たず、ただ将棋を打つ為に真剣で金を稼ぎ街から街を旅する文吉。
    そんな文吉が出会う男達も積み将棋で日銭を稼ぐ者、プロになれず野でくすぶり続ける者。
    皆 将棋に取り憑かれた(そんな男達に惚れて離れない女達も)『ろくでなし』である。
    でも、そんな『ろくでなし』な生き方が獏さん風に言えば何故か「たまらない」。

    特に文吉の生き方。
    たまらなく惹き付けられる。
    もし、自分にも将棋、いや将棋じゃなくても麻雀、花札、カードの才能があれば、文吉の様に真剣をやりながら旅をする。
    そんな生き方をしてみたい。
    でも、それをするには今あるもの全てを捨てなければならない。
    でも、それが出来ない。
    出来ないから、自分の思うまま自由に生きる文吉に憧れる。
    この「風果つる街」を読む度に文吉の生き方に対する想いが沸き起こる。

    これからもその想いは決して尽きる事はない。

    エロスとバイオレス、最近では時代物で知られる獏さんの隠れた傑作である。

    • ultraman719さん
      darkavengers さん

      今日、ブックオフをぶらぶらしてたら、ありました!
      気になってたんで、今の読んだら、早速読みます!
      darkavengers さん

      今日、ブックオフをぶらぶらしてたら、ありました!
      気になってたんで、今の読んだら、早速読みます!
      2022/08/28
    • darkavengersさん
      ultraman719さん こんばんは。

      凄い!!「魔獣狩り」や「餓狼伝」はよく見かけるんですけど「風果つる街」はなかなか見つからない...
      ultraman719さん こんばんは。

      凄い!!「魔獣狩り」や「餓狼伝」はよく見かけるんですけど「風果つる街」はなかなか見つからないんですよね。
      それが見つかるなんて ついてますね。

      ultraman719さんのレビュー楽しみにしてます。
      2022/08/28
    • ultraman719さん
      darkavengers さん

      了解です!(^_^)v 中身ないレビューですが。

      もう餓狼伝は、待ち状態で、新刊本を即買いになってます〜...
      darkavengers さん

      了解です!(^_^)v 中身ないレビューですが。

      もう餓狼伝は、待ち状態で、新刊本を即買いになってます〜(^^;;
      2022/08/28
  • 将棋指しを主人公とした小説。将棋指しと言っても、プロ棋士ではない。真剣師と呼ばれる、賭け将棋で食っている将棋指しが主人公だ。
    小説に登場する何人かの将棋指しの1人に、大仁田という男がいる。ハタチを過ぎてから将棋と出会い熱中する。何年かの後には、アマチュアでは、向かう所敵なしという存在となる。プロ棋士とも対局のチャンスをもらい、平手で勝ってしまう。しかし、プロの棋士にはなれない。奨励会に入っていないし、既に年齢制限にも引っかかっている。それでも、諦めきれず、プロとの対局を熱望する。それが、物語の主要な筋に繋がっている。
    この小説の発行は、1987年のことである。今では、年齢制限にかかり、奨励会を既に退会した者にも、プロへの編入制度が準備されており、実際に、そのルートでプロになった棋士も存在する。本書のテーマは、プロ棋士になる道がないにも関わらず、それを目指す男の執念というか、怨念というか、狂気というか、そういったものである。
    登場する将棋指しの多くは、そういった破滅型の男たちだ。麻雀放浪記の将棋版、といった趣の小説。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    人はその男のことを真剣師と呼ぶ。他に何の定職を持たず、賭け将棋だけで生活をしている者のことである。男の名は、加倉文吉。旅から旅へ―。俗世界のしがらみをすべて断ち切って、ただただ強い相手を求めて、文吉は生きる。裏将棋。それは肉体を使わない、精神と精神の極限の闘いである。そこでは、眼には見えない血が流される。勝負にすべてを賭ける男の凄絶な生き様を描く傑作長編。

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著者プロフィール

1951年、神奈川県出身。第10回日本SF大賞、第21回星雲賞(日本長編部門)、第11回柴田錬三郎賞、第46回吉川英治賞など格調高い文芸賞を多数受賞。主な著作として『陰陽師』『闇狩り師』『餓狼伝』などのシリーズがあり、圧倒的人気を博す。

「2016年 『陰陽師―瀧夜叉姫― ⑧』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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