ちっちゃなかみさん 新装版 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 106
感想 : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041630174

作品紹介・あらすじ

向島で三代続いた料理屋の一人娘・お京も二十歳、数々の縁談が舞い込むが心に決めた相手がいた。相手はかつぎ豆腐売りの信吉。驚く親たちだったが、なんと信吉から断わられ……豊かな江戸人情を描く計10編。

感想・レビュー・書評

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  • この間読んだ「親不孝長屋」の「邪魔っけ」がよかったので、また平岩さんのものを。
    偶然手にとった本に、その「邪魔っけ」がまさに収録されていてびっくり。
    他の収録されている短編はどれも、本当に名作揃いでした。

    江戸を舞台としているので、古いも新しいもないのだけれど、もう40年以上も前の、昭和36年から46年の作品なんだとか。
    全部「邪魔っけ」のような江戸の町民の人情ものかと思えば、「猩々乱」「赤絵獅子」のように、男性を主人公とした切れ味の鋭い作品も含まれていて読み応えがあった。

    お気に入りは、表題作の「ちっちゃなかみさん」と「なんでも八文」。
    どちらもしっかり者で働き者の娘さんが、今の生活を捨てて、苦労を共にするために身ひとつで好きになった人のところに嫁いでいく。
    親の決めた縁談に従うのが常だったであろうこのころ、自分で道を切り拓く、江戸っ子のその決断力と行動力がすごい。
    「ちっちゃなかみさんん」では、みんなが互いを思いやる気持ちが温かく、結末では11歳の少女の健気さと、両親の決断にほろりとする。
    これに対し、「なんでも八文」では、ぼんやりと何の苦労もせず夫や義妹に気遣いもできない女に対して一切容赦がない。
    「そういう女なんだ。」「かわいそうなひとね・・」
    何とも手厳しい結末を用意されたものだなと思った。

    ほかにも、夫を裏切って隠密の役割を果たし、今は何不自由ない生活をするも、やり場のない思いを抱えている女の「遺り櫛」、
    大奥での奉公の際に子を宿すも、父親の名前を決して口外しないことから、ことごとく娘の縁談を壊してしまう女の「女ぶり」、
    それぞれによかった。

  • じんわりと染み込む江戸の人情もの。
    タイトルになってる1章目のちっちゃなかみさんが、さいご本当に泣けてしまって(T ^ T)
    年末、正直何度か古本屋に出そうとサヨナラリストに入れるんですが、手放す前にもぅ一回読もうとページを開くと、この1章目に泣かされて、本棚に戻ります(笑)
    信吉あん(兄)ちゃんの幸せを考えて、11歳の女の子が自分が出ていくから、婿に迎えてくれと、両手をついて頼むとか、もぅ、今では絶対にありえないことですけど!そのあとのお京の両親のカッコ良さと言ったら!
    これぞ活き!江戸の商売人の人情も感じられるのがすごく好きです。
    平岩弓枝さんの小説は、女性が健気で真摯で活きいきとしていて、読んでいてとてもスッキリするというか、ついつい味方になってしまう感じです。
    怠惰な女性もそれはそれで人間味があって、わかるというか、、。
    大事件が起きて、登場人物が個性派揃いやら美男美女やら、、みたいな派手さはないのですが、読み始めると引き込まれて、スッキリして心地良くなり、最終的には人に薦めたい大事な一冊になる小説です(⌒▽⌒)

  • 老舗の料亭の娘、お京は、数ある縁談を断り、出入りの豆腐屋の信吉を見初める。しかし、信吉はその気持を受け入れず、頑なに拒むのであった。ある日、こっそり信吉の店を覗きに行ったところ、小さな子供たちが信吉の家の家事を行っているではないか…。

    色々あるものの、大方が縁談の上手くいく行かないといったたぐいの短編集である。おしゃれげだからと気軽に時代物のライトノベルを書いている作家と違い、文章に安定感があるので読みやすい。

    何本有ったっけな。結構細かくて、さらには時代物特有のオチがふんわりとなって引きで締める、みたいな、現代物を読み慣れた我々にとっては、インパクトを受けにくい作品があるが、いくつかはかなり衝撃的な内容であろう。

    日本昔話のような『かみなり』もそういう作品の一本で、個人的にとても好きな作品である。

    この作家の魅力の一つが、わかりやすいが無理のない言葉の選び方であろう。ブンガク然とした、時代考証的なカチカチの文でも、あのへんとかあのへんのように「剣呑な」なんて言葉を乱打するような文でもない。さらっと「このコンビは」なんて言う言葉を入れてきたりする自然さかつ、なんでもかんでも「ちゃんすであると」なんて言うわざとらしさもない。最近そんなんばっかり読んでたな。

    長編を読んでみないとなと思うが、時代物苦手なんですよね。

  • 江戸の人情話の短編集。文章が格調高い、で、読みやすい。
    どうする??どうなる??と読み進めると全部読んじゃう。温かい目線。人間が根っこしっかり張って、生きてる!!!
    結末、すっきり!ではなくて、うっすらと物悲しいのが多い。

  • 昔の恋愛の奥深さが感じられる。
    親子愛や、夫婦愛などとても面白い作品。

  • 時代物短編集。面白くないわけではないが、なんだかスッキリしない終わり方の物が多い。可哀想というか、救われない人がいるというか。しかも、後半に行くにしたがって重くなっていくようで、段々読書スピードが落ちてしまった。
    うまくいかない夫婦、男女の話が多いのは、この作家の特色なのか。

  • 小学生の頃。当時お母さんが読んでいて、読みやすいから読んでみたら?と勧められて読んだ本。読みやすくて、内容も面白くて、あったかい気持ちになれたのを覚えている。

  • 某塾が実施した小学生模試(5年生国語)に使われていたのをチラッと見て、その前後が気になり購入。
    実際に読んでみると、問題に使われていた部分からは想像できなかった”前後”のストーリーがあり、「なるほど〜そういうことだったのか」と。話の最後も想像とは違っていて(←いい意味で)一気にこの話が好きになった。
    普段はこういう類の小説はほとんど読まないのだが、これは読んでよかった。すっきり。時代を感じさせる軽快な言葉とストーリー展開が大好きになった。

  • 向島で三代続く料理屋・笹屋の一人娘、お京もこの正月で20歳になった。しっかり者の看板娘として店をきりもりし、今や親が手を出すすきもない。舞い込む縁談を断り、親の反対を押し切って選んだ相手はかつぎ豆腐売りの信吉だったが、あっさり断られてしまう…。しっかり者の女たち、それゆえに悲しくもおかしい。平岩作品の醍醐味、豊かな江戸人情を描いた珠玉と呼ぶにふさわしい10編を収録。短編では惜しい人情物。図書館で借り不明になり、オークションで購入し弁償した本(後に自宅で見つかりそれも図書館に持って行く)

  • 読みやすい短編集でした。
    時代物が好きになりそうな一冊。
    ただ自宅での読書をおススメします。
    一話目から涙腺にきます。
    うっかり出かけのお共にしましたら電車内でハンカチ片手に…
    そして仕舞ってもまた出さなくてはならなくなるのですよ。
    気になってしまうので読み出したら止まらないし困りました。
    結婚とか家族とか深く考えさせられる一冊です。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本女子大学国文科卒業。戸川幸夫の知遇を得、その推薦で長谷川伸の門下となる。1959年『鏨師』(たがねし)で第41回直木賞を受賞。1991年『花影の花』により、第25回吉川英治文学賞を受賞。また、これまでの業績により、1997年紫綬褒章を、1998年第46回菊池寛賞を受賞。2004年文化功労者に選ばれ、2016年文化勲章を受章した。著書に南町奉行所内与力・隼新八郎がさまざまな事件を解く「はやぶさ新八御用帳」「はやぶさ新八御用旅」シリーズや「御宿かわせみ」シリーズなどがある。

「2019年 『新装版 はやぶさ新八御用帳(十) 幽霊屋敷の女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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