燃ゆるとき (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
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本棚登録 : 385
感想 : 37
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041643198

作品紹介・あらすじ

築地魚市場の片隅に興した零細企業が、「マルちゃん」ブランドで一部上場企業に育つまでを描く。東洋水産の創業者・森和夫は「社員を大事にする」経営理念のもと、様々な障壁を乗り越えてゆく実名経済小説。

感想・レビュー・書評

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  • 築地市場の6坪のオフィス?から、一代にして大会社に育て上げた東洋水産の社長の物語です。どんな苦難にも負けず、お客様のため、従業員のため頑張りぬく彼の鉄の意志に感動します。

  • 「燃ゆるとき」
    高杉良作
    2005年
    角川書店
    (初出版は1990年、実業之日本社)

    「まんぷく」がヒットする中、インスタントラーメンはモデルの安藤百福が考えたのではない、という噂がネット上を飛び交うようになっているけど(そのことも書いてある)、ここで、実名企業小説でおなじみの高杉良の古い小説を読んでみた。日清食品を痛烈に批判したとされる「燃ゆるとき」。マルちゃんの東洋水産の創業から成功までの話だけど、実名は東洋水産や政治家の名前だけで、あとは誰でもわかるような仮名。例えば、日華食品の安東福一、村野証券と言った具合。しかし、最後の解説で中沢孝夫兵庫県立大学教授(当時)が、実名と照らし合わせて解説し、東洋水産が一時子会社となっていた三井物産と日清食品を辛辣に批判している。実名小説だし、書いてあることは基本的に全部事実だと思っていいかも。

    以下、メモ

    第一物産(現在の三井物産)。この商社の汚さには反吐が出るが、詳しくは本書を読んでもらう以外にない。起業家の苦労を知らないサラリーマン根性の悪さ丸出しである。さんざん東洋水産に儲けさせてもらいながら、下請け扱いどころか、泥棒のような社員を「経営監督者」に押し込んだり、巨額な負債を隠して、ゴミ会社と合併させたり、トンあたり六万円から七万円が普通の建設コストの冷蔵庫を十二万円でつくらせたり、不良品の冷蔵設備を買わせたりと、とにかくめちゃくちゃなのである。<中沢氏解説より>

    東洋水産がアメリカ進出をした。その時、N新聞(日経新聞)が「日華食品(日清食品)が米国で特許を確立し、輸入差し止め権も。東洋水産など大打撃」と昭和51年6月に報じた件に関して・・
    N新聞は裏付けもなく書き、日華食品のお先棒をかついだ。事実関係は本書の中にあるとおりで、日華食品が特許を取得した事実はなく、全ての行動が東洋水産への妨害活動でしかなかった。裁判で危うくなったら、今度は和解工作に来た。相手側に森和夫(東洋水産創業者)はこういう。「安東社長は臆面がなさ過ぎます。わたしは恥を知らない人間だけにはなりたくないと思っています」。こんなことまで森にいわれる相手側(日華)の担当者もたまったものではないが、まったくの嘘をリークするばかりか、嘘の広告まで新聞に掲載したのだから、安東福一(安藤百福)の神経の凄まじさに驚くのである。<中沢氏解説より>

    インスタントラーメンを発明したのは自分だと吹聴していますが、事実に反します。鶏糸麺としてはじめに発明したのは陳という人で、安東さんはそれを盗んだんですよ。お話にならないくらいえげつない人なんです。(本文292P)

    フクイチアントウさんは一九五五年ごろ、大阪の信用組合の理事長をしていたのですが、信用組合の資金を小豆の買い占めに注ぎ込んで、背任罪で起訴されたのです。執行猶予になりましたが、犯歴であることには変わりません。(本文301P)←ドラマでは2度逮捕されているが、いずれも冤罪扱い。それとは別の話もあったのか?

    アメリカでの特許侵害訴訟で嘘がばれてきて、負けが濃厚になった日華食品は、和解案を提示してきた。そこで、米国進出している先輩企業に挨拶料を払えと1億円を要求。東洋水産の森社長は、マフィアかヤクザでもあるまいし、と怒る。

  • マルちゃんブランドの東洋水産の創業者、森和夫氏の創業物語(ドキュメンタリーではなく、実名小説と言うことらしい)。大手取引先で融資を受けていた第一物産(三井物産がモデル)との経営権を巡る闘い、そして日華食品(日清食品がモデル)との泥沼の米国特許紛争など次々に起こる試練を、持ち前のバイタリティーと誠実でぶれない経営で乗りきった森氏の人間の大きさにただただ感服。

    それにしても、第一物産の東洋水産に対する扱いの酷さは度を越している。当時はこういうことが当たり前のようにまかり通っていたのだろうか。この傲慢さは商社に染み付いた体質? それとも今でもある大企業の中小企業いじめの典型?

    日華食品創業者の安東福一社長(安藤百福社長がモデル)が、森氏とは対照的な経営者(モラルに欠け、何でもありの強引な経営者)として描かれているが、実際のところどうなんだろう。

    小説の中で、日華カラー移ってきた平野に「創業社長だから仕方がないとも言えますが、カマドの灰まで自分のもの、という意識が強過ぎます。」と言わせ、森社長には「安東氏は企業のエゴイスムに徹したすごい経営者とは言えるんだろうねえ。僕とは、フィロソフィが違うと言いたいけど」と言わせている。

    続編があるようなので、続けて読みたい。

  • 家の本棚にあったから読んだけど、最初から最後まで全く面白くなかった。実名小説ってこういうものか。
    読み始めたからと、頑張って最後まで読んだけど、時間の無駄遣いした気分。

  • 東洋水産創業社長を主人公にした小説。

    骨の髄から来る誠実さと、何があっても諦めない不屈の精神があれば、こんな人間になれるのかと感動した。

    明日からまた心を磨こうと思わせてくれる。

  • 東洋水産が好きになりました。会社の理念は創業者に宿りますね。
    さっそく赤いキツネと緑のたぬき買いました。
    実名では無い日清と物産が悪の権化みたいに書かれてますが、これはほんとかなぁ。
    東洋水産の、商品がなぜ売れたか?すなわち、どのようにして商品開発を行ったのかが描かれてなかったので、それも知りたいな、

  • マルちゃん正麺でお馴染みの東洋水産創業の物語。
    実名小説であるため、物語にはある程度のリアリティがある。創業者森和夫が第一物産、日華食品(日清食品)という大企業からの圧力に真っ向から立ち向かう姿が痛快。創業者の森和夫は第二次大戦を生き延びた人物で、長いものに巻かれない大胆な姿勢は、その経験によるものだろう。
    大企業に立ち向かう若社長という構図はドラマの様だが、それでいて実在の人物や組織をモデルにしているのだからドラマ以上に面白い(どこまで事実かは知らないが)。ビジネスの後ろ側を大胆に描いている。
    この森和夫のように常に清くありたいものだ。しかし、自分にはそんな忍耐は無いので生きるうえで大事なことは清濁併せて飲むことだろう。

  • 東洋水産をモデルにした実名小説。東洋水産がいかにして、今の地位を確立したか、その時々にどのようなドラマがあったかを記録したもの。なかなか面白かったなー。
    日清食品の安藤社長の書き用がけっこう辛辣なのが印象に残った。実際のところはどうだったのかな?

  •  仕事をしていて何となく不完全燃焼になる時がある。仕事が行き詰っている訳でもなく、やるべきことや課題は明確になっている。それでも燃えない。いや、燃えているつもりなんだけれども、まさに不完全燃焼な感じがいなめない。

     そんな時に読んで、気持ちをググッと持ち上げてくれた一冊がある。

    ■東洋水産社長の熱い想いを感じる一冊

     「マルちゃん」マークでお馴染みの総合食品会社が舞台の物語だが、激動の時代を生き抜いた誠実な創業者の姿が熱く描かれている。

    内容(「BOOK」データベースより)
    わずか四パーセントの生存率といわれるノモンハンの激戦を生き抜いた森和夫は、「どんな苦労も苦労のうちに入らない」と、築地魚市場の片隅に従業員四人で起業した。商社の横暴、ライバル企業との特許抗争、米国進出の苦難を乗り越え、東洋水産は、「マルちゃん」のブランドと「赤いきつね」のCMで知られる大企業へと育つ。「運命共同体」を経営理念に、創業以来社員と共に歩んだ経営者の情熱と成功を実名で描く、経済小説の傑作。

     会社名や商品名だけではなく、創業者であり長く社長を務められた森和夫氏も実名で書かれている。それだけに、読んでいて胸に迫ってくるものは大きい。

     小説だから多少は脚色が施されているかとは思うが、事実を踏まえた小説は訴えかけてくるものが大きい。創業時は私が生まれる前のことだが、まるで自分がその時代にいたような錯覚に陥るのは、筆者の文章力の高さゆえんであろう。

     ただし、私が生まれたのは戦後の東京オリンピックが開催される数年前なので、物語に出てくる街の風景や会社の雰囲気などは、幼いころの記憶としてほのかに残っている昭和中期の風景と重なる。それもあって、この小説に感情移入が行いやすいのかもしれない。

     それにしても、戦後の混乱期から一代で優良大企業を興した人物をモデルとして書かれた本書は、読み進めていくうちにひとつの経営哲学のようなものが見えてくる。それは、近年特に推奨されるようになった従業員重視の経営であり、大企業の圧力に屈しない強い経営者の姿でもある。

     得てしてこういった本が世の中に出ると、モデルとなっている方について「本当はこんな立派な人ではなかった」という話が出てくる時がある。それはもしかしたら事実かもしれないが、伝記ではなく小説ならば不要な情報だと思う。他人に対する評価は千差万別であるからだ。

     年齢も違い経歴はさらに自分とは大違いの主人公だが、不完全燃焼気味だった心に新鮮な酸素を送り込んでくれて、完全燃焼に向けての心の中の活力になってくれた。

     この本をこのタイミングで読めて良かったと、心からそう感じた一冊だった。

  • 今日から、緑のきつねを買います。

    読んでてあまりにも面白く、気持ちが高ぶったので
    本を読まずに、ネットで事実関係を調べてしまいました。

    でも、結果を知って読んでも、それでも尚読み応えのある作品でした。

    もっと頑張らなくちゃ。

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著者プロフィール

1939年東京生まれ。化学業界専門紙の記者、編集長を経て、1975年『虚構の城』でデビュー。以後、綿密な取材に裏打ちされたリアリティに富む経済小説を次々に発表。企業組織の不条理と戦うミドルの姿を描いた作品は、日本中のビジネスマンより絶大な支持を得ている。他の作品に『金融腐食列島』『乱気流 小説・巨大経済新聞』『管理職の本分』『破戒者たち 小説・新銀行崩壊』、などがある。

「2020年 『銀行渉外担当 竹中治夫 メガバンク誕生(4)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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