幽剣抄 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
3.63
  • (4)
  • (3)
  • (8)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 39
感想 : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041664216

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 薫陶とは呪いの一種である。
    十代に受けて、裏返ってしまったものは、間違いなくそうだ。

    菊地秀行作品から距離を置くようになったステップは四段階ある。
    その1.『魔宮バビロン』。ラスト1ページの大どんでん返しには苦笑いを禁じ得なかった。
    その2.上中下完結編123。ソノラマ文庫から離れる決意をしたものだ。
    その3.『魔王伝』。この作家は結末を描けないのではないかと疑いを抱いた。
    その4.魔界医師メフィストシリーズ。核心というものを描けないのではないかという疑いを抱いた。
    消費するための作品を書くことを自らに課した作家。ぬるめに解釈をして、そう結論つけざるを得なかった。『インベーダー・サマー』や『風の名はアムネジア』などの作品があったから、そうは思いたくなかったのだが。
    シリーズものとはいえ、物語は完結してなんぼである。完結しない作品は評価できない。いつまで経っても修行中の読み手だが、そういう評価基準だけは身についた。残念ながら好みではなくなってしまった作家ということになる。好きだった作家がそうでなくなるのは寂しいものだ。だから、折に触れて振り返ったり、新作に触れもするのだろう。これが薫陶の賜というやつに違いない。

    ゆえに本書も手に取ることになった。本書は9作品からなる短編集である。
    2作目までは刮目した。『エイリアン怪猫伝』を書いた作家であることを思い出させてくれた。3作目からは「魔界都市なら15分、Dはその必要さえない」(本人談)の作家だった。悲しい哉。

  • これはやばい。良い物読んだ!
    伝奇的時代小説であり、剣の小説でもあるかもしれない。
    川霧のように、すーっと足下にもやがかかり続けているような、不思議に寒々しい雰囲気がたまらない。
    面白かった。
    贅沢な短編&掌編集。

  • 剣を扱った時代劇風の短編集
    中でも「影女房」は出てくる幽霊が怖いのに愛らしい
    お気に入りです。

  • 最近の長編は肌にあわなくてしばらく読んでないけど、
    短編の切れ味は今でも抜群。
    この時代劇のシリーズは特に力が入ってるけど、
    その中でも「影女房」の完成度は別格。

  • かなりおもしろかった。
    菊池秀行さんってこんな本もかけたんだなぁ。

  • 怪奇短編時代小説。「影女房」は個人的にとても好きです。コミカルで読んでて思わず噴出した。オチもなかなか良かです。

全7件中 1 - 7件を表示

著者プロフィール

1949年千葉県生まれ。青山学院大学卒業後、雑誌記者を経て82年『魔界都市〈新宿〉』でデビュー。以後、20年以上にわたりエンターテインメント小説界を牽引し続け、著作は300冊を超える。著書に『吸血鬼ハンター“D”』『魔界都市ブルース』『妖獣都市』等多数。

「2023年 『七人怪談』 で使われていた紹介文から引用しています。」

菊地秀行の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×