カイルの森 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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感想 : 54
  • Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041673768

感想・レビュー・書評

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  •  詩以外の銀色夏生の作品は初めてでした。

     森の園芸師少年カイルと、妖精達とのふわふわとした会話を中心
    に物語が進んでいきます。やはり随所にちりばめられた詩と、物語
    が織りなす世界は詩人銀色夏生のものでした。

     人はだれでもが、自分でしかありえない。
     どんなに近づいても、他の人にはなれない。
     だから、のぞきこむ瞳の奥に、
     わかりあえると思える何かを見つけた時、
     あんなにもうれしいんだね。

     人の悪意を取り払って、善良なる部分のみが残れるわけではない。
    悪意もまた自分自身なのだから。
     森の深くに捨てられた悪意はいつのまにか集まり、森を壊し人々を
    襲った。
     集められた悪意は真ん中に悲しみがあり、その悲しみを癒すことが
    できた時、悪意は元へ戻り、森は再び生き返る。

     白い表紙に銀色の文字の装丁も綺麗なファンタジー。折込の森の
    地図もちょっとうれしい。

  • カイルと妖精とのやりとりがほほえましいです。
    随所に出てくる詩がきれいだったり、切なかったりでとてもよかったです。

    ファンタジーの世界なのにカイルの考えが現実的でおもしろかったです。

  • 悪意や憎しみに勝つのは愛と信頼。そんなこと、誰だって聞いたことがあるし、耳新しくも目新しくもないじゃない。でも、園芸家カイルの住む森の物語と詩は、もう一度そのシンプルで大切なメッセージを深く胸に投げかけてくれる。
    挿絵はないけれど、読んでいると美しい第七星の森とか妖精たちが、見えてくるようだし、彼らの歌う歌声や笑い声が聞こえてきそう。私はカイルを美少年の姿で想像してたのでとても楽しく読めた。カイルが好きなスフレは婚約者がいて、不倫ではないけどちょっと微妙な間柄だったり、第八星のミッシェル王子がオカマチックでカイルを気に入ってたり…と、さりげなくタブーな愛を包容しているところが、形だけの綺麗事でない大人向けの童話だな、という感じがした。物語の中の詩がとてもよかった。カイルと妖精たちの会話などは哲学問答のようで、短いけれどもとても深いことを語っている物語だとも思う。

    今の世の中、たくさんの理不尽があって、ネットとかSNSの普及でたくさんの言葉が飛び交っているけれど、憎しみや悪意で発せられた言葉たちは、いつか大きな魔物となってしまうのではないか?できるだけ、思いやりのある言葉遣いをしたいものだ。
    言葉は口から出たらどこかへ消えてしまうのではなくエネルギーとして残っているというイメージが強く残った。

  • 以前詩集やエッセイも読んだことのある、写真や詩・エッセイなど
    多方面の著書を出されている銀色夏生先生の中では数少ない
    「物語」。
    結構銀色先生の詩などは好きだったので読んでみました。

    うん、さすが詩人というか、言葉選びがとても綺麗で良い!
    お話もとても良いです。
    ちょっとしゃべり方の似ている登場人物がいて台詞で混乱をやや
    したのと、クライマックスがあっさりすぎたので★-1ですが、
    お話や文章は物凄く好みで大好き!
    特に、「たまご王子」凄く気に入りました(笑)。

    他にも「物語」も何冊か出ているようなので、気になります。

  • 優しい気持ちにさせてくれる一冊でした。
    詩とともに綴られる、美しいファンタジーの世界に入り込めば、悲しいときや辛いときにきっと心が癒されるはず。

  • ”愛”が根底にあるある星の物語。
    聡明で不思議な少年カイルが語る言葉はとてもきれいで深いです。

  • 心がきれいになりそうな本。主人公の住む星の自然の描写も美しい。ところどころ哲学的。

  • 短編だけど、やさしい気持ちになれた気がする。

  • 銀色夏生さんの詩集は、中学生の時クラスでとても流行ってて、今でも実家に何冊かあります。
    歌手デビュー前の森高千里さんがモデルをしている本が一番好きだったなあー

    今回この本を偶然見つけて「夏生さんなんて懐かしい~!!!」と思わず手に取りました。
    大人の童話でした。
    汚れた大人になった私(涙)は、あの頃のように純粋に心打たれたりするほどの感動はできなかったけど、ほっこり温かい気持ちになれました。

  • あの人の目を初めて見た時
    深い静けさに包まれた
    森の中の瞳
    まわりが森になったよう

    それからずっと
    森の中にいる

    ***
    真っ白な下地に銀色の文字で書かれた表紙が素敵です。
    なぜだか分からないけれど、物語の余韻がすごい。最初はとっつきにくく感じていたのに、いつのまにか取り込まれてしまっていました。不思議な話。

    散文と詩が交互に入った物語で、美しい星を舞台にしたファンタジーです。優しく綺麗な言葉を使うカイルと、それより少し率直に彼の気持ちを表す詩。上に書いたのは、最初カイルが恋に落ちるシーンです。
    願わくばカイルの叶わぬ恋に話の重点をおいてくれたら、もっと良かったなあと個人的には思いました。

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著者プロフィール

詩人・エッセイスト。作詞家としてデビュー。その後、詩人として数々のロングセラー詩集を発表。エッセイ・シリーズ「つれづれノート」が好評を得る。

「2022年 『庭は私の秘密基地』 で使われていた紹介文から引用しています。」

銀色夏生の作品

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