消える「水晶特急」 (角川文庫)

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感想 : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (363ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041682012

感想・レビュー・書評

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  • 今回のトリックは事件が起こっている最中で解読できた。だから列車ジャックの顛末がひどく冗漫に感じられ、島田氏自身も何だか早く書きたいところに行きたいのを持て余しつつ書いているような思いが行間から感じられた。だから途中までは駄作だなと思っていたのだが、やはり島田荘司氏、ただでは終わらなかった!!

    恐らく今回はまず水晶特急の消失の謎が最初に浮かび、これに列車ジャックを絡ませ、そして誘拐事件を後付けのスパイスとして考えたのだろうが、いやぁ、なかなかに面白かった。
    御手洗シリーズのみならずこの吉敷シリーズにも幻想味を持たせるなど、島田荘司主義は誠に揺るぎない。また、今回吉敷を軸にした三人称描写ではなく、事件の当事者である雑誌記者の蓬田とその親友である島丘を軸に物語を進める事で、吉敷が事件に関わるものに対し、どのように映るのかを改めて描写することでマンネリに陥りがちなシリーズ物に新味を加えた。

    しかし、技術の進歩というものは残酷である。今、携帯電話が普及する現代ではもはやこのストーリーは成り立たないのだから。

  • なんとも大胆なストーリー運びに毎度のことながらやられました。しかし実際にこんなトリックが使われたらマスコミはなんと言うやら。

  • うーん、島田荘司だなぁ。
    うん、島田荘司だなぁ、としか言いようがないなぁ(にこにこ)。

    相変わらずの豪腕ぶりである。
    島田さん以外だったら「おいおい!」としか言えないけど、島田さんだから許しちゃう。それくらいには、私は島田荘司が好きです。

    現代では100パーセント無理なトリックだし、刊行当時でもこのトリックはかなり厳しいものがあると思うのだが、あくまでもそれで押し切るインパクトと展開の強さで、最後まで楽しく読み終えた。
    ごり押しというよりは、サービス精神。演出の上手さ、キャラクターの書き込み、読者を驚かせたい、楽しませたいという気持ち。島田さんの筆力と意気込みがあってこその、この作品だと思った。

    吉敷刑事が相変わらずカッコ良かった。

  •  御手洗潔という印象的な名探偵がありながら、なぜ警察官というシリーズキャラクターが必要なのだろうって思いながら読んでみたが、探偵役が警察官である(というか体制側の人間である)必要性が、この「本格推理」小説には絶対に必要だったのだと言うことがわかり納得。みごとなもんだ。

     駅と駅の間で走っているはずの列車が消えてしまう、という謎は何人かの作者が取り上げている。根本的には、エラリー・クイーンが短編で使った、あのトリックのバリエーションということになるのだろうと思う。しかし、そのバリエーションの仕方(こんな表現はあっているのだろうか)が派手で、いかにも島田荘司である。

     探偵役の吉敷刑事。初めて合うけどなかなか魅力的。刑事という職業がらしっかりした紳士に見えるけれど、時々御手洗潔的な「狂気」がかいま見えるところがおもしろい。
    2005/8/13

  • 全面ガラス張りの水晶特急が列車ジャックされたのち突如、乗客を乗せたまま消えてしまう。なかなか良くできたトリックでした。吉敷刑事、初??かな。

  • 全面ガラス張りの展望車が全く逃げ道、引込み線、そして大きな道路の無い場所から忽然と消えてしまうというとんでもない謎が提示される。いろんなことが起こり、かといってそれで訳が分からなくなるわけでもなく、巧く語られているせいか興味を持ちつつ頭が混乱させられる。真相は……すごいな。力技というかなんと言うか。こういう方向でまさか解決してしまうとは。感動してしまった。

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著者プロフィール

●著者紹介
1948年広島県福山市生まれ。武蔵野美術大学卒。1981年『占星術殺人事件』で衝撃のデビューを果たして以来、『斜め屋敷の犯罪』『異邦の騎士』など50作以上に登場する探偵・御手洗潔シリーズや、『奇想、天を動かす』などの刑事・吉敷竹史シリーズで圧倒的な人気を博す。2008年、日本ミステリー文学大賞を受賞。また「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」や「本格ミステリー『ベテラン新人』発掘プロジェクト」、台湾にて中国語による「金車・島田荘司推理小説賞」の選考委員を務めるなど、国境を越えた新しい才能の発掘と育成に尽力。日本の本格ミステリーの海外への翻訳や紹介にも積極的に取り組んでいる。

「2021年 『島田荘司選 日華ミステリーアンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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