ひらけ!勝鬨橋 (角川文庫)

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感想 : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041682043

感想・レビュー・書評

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  • 島田荘司氏の御手洗シリーズでもなく吉敷シリーズでもないノン・シリーズ。今までこれらのノン・シリーズには作者の手遊(てすさ)びであり、正に作品自体もその域を脱していなかったのだが、これはなかなかに面白かった。

    老人ホームに住む中でも人生の落伍者である「青い稲妻」チーム。彼らの趣味はゲートボールであったがこれが何度やっても上手くならず全戦全敗を記録していた。
    そんな矢先、この老人ホームのオーナーが失踪し、明らかにヤクザと思われる集団がこのホームに乗り込んでくる。彼らはオーナーからこのホームを買い上げたというのだ。しかもこのホームを潰し、レジャーランドを建設しようと企む。
    彼らは悪質な悪戯をしかけ、老人たちを追い払おうとするが、ひょんなことから滞在の延長をしたければゲートボールで勝負し、勝ったらその条件を飲むという展開になる。老人たちの運命をかけたこの試合に「青い稲妻」チームが借り出されることとなったのだが…、というのが大筋。

    この小説は殺人事件が起こるものの、明らかに作者得意の本格推理ではない。殺人事件はあくまで物語の1つの因子であり、中心ではない。
    ここでは「青い稲妻」チームの個性的な面々の日常とホームの存続を賭けたゲートボールの白熱した試合、そしてクライマックスで繰り広げられるかつて一流の素人レーサーだった老人たちの華麗なるカーチェイスが主になっており、老人たちの再生と青春の復活がメインテーマなのだ。

    しかし、島田氏は他の本格推理作家と一線を隔し、無類のストーリーテリング振りを発揮する。ゲートボールのルール自体知らない私に手に汗握るゲーム展開を叙述し、しかもそれらがするすると頭に入っていくのだ。この筆力は只事ではない。
    またクライマックスのカーチェイスシーンは車好き、特にポルシェ心酔者である島田氏の独壇場である。

    しかしこれらの場面を活き活きとしているのは「青い稲妻」チームの面々が個性ある人物としてきちんと描かれているのに他ならない。
    正にこれは意外な掘り出し物である。普段、本を読まない人に薦めたい、そんな作品だ。

  • 老人ホームの落ちこぼれじいさん軍団がゲートボールでやくざと対決したり、事件に巻き込まれたりで、ラストにはカーチェイスを繰り広げ銃をぶっ放して大暴れする疾走感が最高でした。
    そして、あとがきを読んでそれぞれの名字が車やバイク会社の名前だと初めて気付きました。ホンダ、トヨタ、マツダ、スズキ、カワサキ…車愛がすごい。楽しんで描いてるというのが伝わってきました。
    翔子といい、御手洗シリーズの里美と言い、島田荘司作品に出てくる若い女の子の語尾伸ばし喋りには、どうしてもイラついてしまう。

  • 2013.10.14処分

    島田荘司本人が、自分の作品のベストのひとつと言いたいと感じた作品。
    殺人は起きるがトリックのようなものは無いユーモア小説。
    O老人ホームの最下層「竹の子寮」に住み、貧しく惨めな気持ちで毎日を送っていたゲートボールチーム「青い稲妻」のメンバーたちだったが、地上げ屋に狙われた老人ホームを救うべく、奮闘する。
    若い頃に共通していた趣味の車とバイクで敵を追い詰めるシーンは、とてもイキイキしていて爽快だった。

  • えー島田荘司ぃ~~~~~
    っていう人にぜひ読んでもらいたい島田荘司作品。

    これが新本格宣言とかしたあの島田荘司なのかっ!!
    っていうくらいめちゃめちゃコミカルでスピード感のある娯楽作品。

    こういうのを書く実力があるんだよね。やっぱりー

  • 本格ミステリ作家の手によるエンターテインメント・コメディ小説。パワフル老人集団「青い稲妻」達が、自分達の老人ホームをヤクザから守るためにゲートボール対決を繰り広げます。このヤクザもどこかひょうきんで憎めない。そして、やはりミステリ作家らしくちょっとした謎解きも用意されております。おじいちゃん達の苗字も、「本田」「豊田」「松田」など、車好きの作者の愛が感じ取れます。車やバイクの描写がくどい箇所も見られますが、色々とお買い得な一冊。(20050625)

  • 真の男とは、騎士であること。
    負けてもヘコたれても這い上がろうとする、そんな気概が粋。

  • じーちゃんがんばる!という感じの楽しいお話。ミステリとしてより、コメディとしてじーちゃん達の暴走ぶりを楽しむにつきますな。

  • 島田荘司は大好きな小説家なので、読んでみよう!と図書館で借りる。

    10年前の話なので、今と状況が違うのはわかるが、高齢者を笑いものにしている感があって、なんかいや。
    笑えるところはなかったな。なんだか、自分のいやなところを見せ付けられた感じがする。

    最後のシーンも、きっとすっきりするシーンなのが本来なのだろうけど・・
    私にはそうは感じられなかった。

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著者プロフィール

●著者紹介
1948年広島県福山市生まれ。武蔵野美術大学卒。1981年『占星術殺人事件』で衝撃のデビューを果たして以来、『斜め屋敷の犯罪』『異邦の騎士』など50作以上に登場する探偵・御手洗潔シリーズや、『奇想、天を動かす』などの刑事・吉敷竹史シリーズで圧倒的な人気を博す。2008年、日本ミステリー文学大賞を受賞。また「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」や「本格ミステリー『ベテラン新人』発掘プロジェクト」、台湾にて中国語による「金車・島田荘司推理小説賞」の選考委員を務めるなど、国境を越えた新しい才能の発掘と育成に尽力。日本の本格ミステリーの海外への翻訳や紹介にも積極的に取り組んでいる。

「2021年 『島田荘司選 日華ミステリーアンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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