地球暗黒記〈3〉アルカ・ノアエ (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
3.00
  • (0)
  • (2)
  • (8)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 34
感想 : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041690161

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • サバイバルゲームはじめるとは思わなかった…

  • ついに主人公の陽子は米国の秘密結社BNASに拉致されハワイ島キラウェア火山の地下大洞窟へ。仲間とともに命を懸けた洞窟脱出ゲームに参加させられてしまいます。なぜそんなに敵対しあうのかよくわからない秘密結社同士の陰謀もすごいですが、ハワイに代表される南国の楽園の暗い歴史と「楽園」そのもののイメージがいかにして作られていったかを読むと、まさしく熱で思考も溶け暗黒に落ちて行きそうになります。ハワイは火山島なので珊瑚のかけらからなる白い砂浜は本来無い。南国ビーチの代表椰子の木も、もともとは無い。バナナ畑ももともとは無い。ではどこから持ってきたか・・・どんどんアメリカナイズされ、日本の観光用にイメージを上塗りされて完璧な「楽園」のできあがり。そしてポリネシア文化は死滅する・・・この恐ろしいサイクルが、地球規模の陰謀とつながって実に暗澹たるイメージが出来上がります。命がけでの脱出を果たし帰国した陽子も変貌をとげ、もはや学校生活にはなじめなくなってしまいます。なんという絶望感を孕んだラストシーン。南国の印象を一変させるこの作品。次にミクロネシアの島に行くときには、見る目が変わっているに違いありません。

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

作家・京都国際マンガミュージアム館長

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

荒俣宏の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×