帝都物語〈第壱番〉 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (441ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041690246

感想・レビュー・書評

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  • 明治の帝都を舞台に、陰陽道を操り帝都崩壊を
    目論む加藤の姿を追う伝奇シリーズ。

    想像していたよりずっとスペクタル。
    おまけに完全な非現実味溢れる伝奇と思いきや
    史実・政変もしっかり絡める上、陰陽道はじめとした
    民俗学・歴史的知識もスゴイ。
    綿密な調査と練りに練って書かれた熱を感じます。

    この一冊ですでに明治~大正への時代をまたぐ数年を描きますが
    これからのプロローグにしか感じられなくらい。
    壮大だけど尻込みしない、続きが気になる。
    登場人物の視点がころころかわるので、
    「これだれ?誰が主役なの?」と前半はあわあわしてましたが、
    慣れるとその人の網目も面白い。

    何より魔人・加藤のインパクトは強烈過ぎる。
    敵役ながら彼が出てくると、不思議と沸き立ちます。

  • 長い。
    実在の人物がたくさん出てくるので相当調べた上での作品なのだろうけれども、皇国礼賛というか、かなり危ない思想が盛り込まれている小説だった。
    関東大震災でデマによる朝鮮半島系の人々が虐殺された史実を考えると、クライマックスのあたり、読後暗い気分にならざるを得ない。

  • 2022/04/07-04/10

  • 概ね史実で、概ね実在人物なのに、圧倒的にオカルト。ワクワクする。ドーマンセーマン、陰陽道、式神、地脈、霊的にも守られた最強の都市・東京を創る…。

    加藤が怖くて気持ち悪くていいかんじ。
    この兄は「ブラック労働染まり野郎」なので、妹は放っておいていい。
    妹が大変なことになっているのに、兄はシゴト漬け、いい感じだった兄の友人も奔走するものの最終的には疎遠、精神病院に送られて「ヒューマンロスト」な感じになっている妹が不憫でならない。

    不思議な地震とか、加藤の暗躍とか、老陰陽師が最期に残した手紙とか、ワクワクする舞台じかけがいっぱい。
    絶妙なフィクション具合だと思います。

  • 多分本好きなら中学生位で読んどくものなのでしょうが・・・初めて読みました、大変好みでした。
    いや、顔の長い怖い人が、というぼんやりしたイメージと、虚実百物語にちらっと出てきた実物の顔の長い俳優と、その半分、青いのモアイ店長という認識しかなかったのですが。 のっけからもえもえきゅんきゅんなサービスショット?だったため、あ、これこの二人が幸せになんないと嫌なやつや、と思ったのですが、 ゆかりさんが出て来た時点で嫌な予感はしたのです、あれ、これこのまま触れられないで終わるパターンですか?と。違うでしょ、「虞美人草」的?、兄への執着からねちねちゆかりさんにつきまとうパターンでしょ!と至極勝手に思っていますが、どうなるのでしょうかね。

  • 大正時代に起こった関東大震災は、加藤保憲という元陸軍中尉が日本を破滅させるために術を用いて起こした人災だった。

    ……というお話。

    風水とか陰陽五行とか、オカルティックなネタがてんこ盛りでした。
    これは好きな人には好きかもねぇ。

    江戸(本来は「水戸」)に長年残されていた平将門の怨念だとか、葛城の一言主神をはじめとする「まつろわぬ民」の大和に対する怨嗟だとか、大陸や半島の人が日本人を怨んでいる思いだとか、いろいろ入り混じった過去があるようだけど、とにかく加藤さんは日本を滅ぼしたいらしい。

    亥年が1つのポイントになっていて、関東大震災も神戸の大震災も亥年だったことを考えると、来年亥年の今年に読んでおくべきと思って手に取りました。

    「天災は忘れたころにやってくる」は本人のことばではない説もあるけれど、寺田寅彦さんなど実在の人物もたくさん出てきます。

    ちょっと軽い感じもあるけれど、気軽に読めてよさそうな感じ。
    世界観に入り込めれば、とても楽しめそうなお話です。

  • オカルトファンタジー、題材は好きだが、絶版なのか手に入らないので1巻でおしまい

  • 昔から、いつか読みたいなと思っていたのを大人買い。第壱~六番までということは、昔出ていた10巻強のやつを2冊で1冊にくっつけているのであろう。

    有名な話なので内容は割愛するが、将門の首塚というキーとなる場所が旧大蔵省の中庭に存在していたというところにおそらく着想し、陰陽師、霊的現象および、当時の有名人をキャラクター化した作品。

    映画が公開された当時、中高生もこぞって読んでいたわけで、それくらい軽く読めると見て読み始めたのだが、現代口語と文語的表現が入り交じる、次から次へとキャラクターが出てくるという内容も読む方もしっちゃかめっちゃかの展開で、結構時間がかかる。

    しかしまあ、寺田寅彦などの科学者から幸田露伴から、みんなして霊的な知識に長けていたり、短刀を持ってアクションをかましてみたりと、漫画的な表現も多くてなかなか飽きない。

    そのへんは子供向けとして、SF読みからすると、呪術の解説は嬉しいのだが、何でもかんでも魔法で済まされてしまった感は拭えず。

    実のところ、電子書籍で読んでるんですが、結構厚い本ぽいんで、あと5冊か…。気が向いたら次読みます、ということで。

  • 「1・神霊篇」と「2・魔都(バビロン)篇」の新装合本版。今では漫画やらゲームやらでお馴染みになっている魔術用語(陰陽道、蟲術など)も、発表当時は斬新で衝撃的だったんだろうなと思います。史実や実在の人物(幸田露伴、寺田寅彦など)が登場する群像劇的面白さとオカルティズムが相まって独特の雰囲気を醸造してます。加藤最高。

  • 数年ぶりに読み返してみましたが好きなものの詰め合わせで、やっぱり面白いなあ。歴史上の偉人をうまく盛り込ませているのでリアリティもあって、なにより荒俣先生の膨大な知識量に脱帽です。

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著者プロフィール

作家・翻訳家・博物学者。京都国際マンガミュージアム館長。
平井呈一に師事、平井から紹介された紀田順一郎とともに、怪奇幻想文学の日本での翻訳紹介に尽力。のち活動の幅を広げ、博物学をはじめとして多ジャンルにわたって活躍。
主な著書に『妖怪少年の日々』、『帝都物語』シリーズ(ともにKADOKAWA)、『世界大博物図鑑』(平凡社)、『サイエンス異人伝』(講談社)、『江戸の幽明』(朝日新書)など。『怪奇文学大山脈』Ⅰ~Ⅲ(東京創元社)を編纂。

「2021年 『平井呈一 生涯とその作品』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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