帝都物語 第2番 (角川文庫 あ 10-21)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (525ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041690253

感想・レビュー・書評

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  • 最後の最後での恵子さんにちょっと疑問を持ってしまった。


    自ら占いの結果により決めた使命を遵守し、
    仕事に生きる夫と気の触れた彼の妹を守り、
    人妻でありながその清廉さから乙女を匂わせる美貌。


    まるで日本人形のように、艶っぽいのに無機質なイメージ。
    しかも、時に荒々しく精神面も強い。
    なんて利用の女性・・・!!


    と追っていた恵子さんの終盤の決断には、
    本当にド肝を抜かれたというか突っ込まずにはいられなかった。
    魔人・加藤も終盤の人間臭さに驚かされた。
    でも、物語的にはこの2人の結末は次への布石として面白いんだろうな。


    史実・実在の人物と創作的な伝奇要素が
    織り交ざっていて混沌としている。
    だけど、真実と想像が不思議と違和感無く結びつけられ、
    信じ込んでしまわせるような力がある。


    一件着いた感じに見えるけど、次はどう進むのか。

  • 加藤さん、いいけどさ別に、なんで辰宮じゃなくて幸田さんとかに執念燃やしてんねん、そっちじゃないでしょ、と言いたい。あっちゅう間に40歳ですよ、悲しいな。これはあの一瞬の輝きに追いすがるしかないのか...。
    しかし幸田さん意外と武闘派で熱いですね、たぶん文豪ストレイドッグ並なのでは(よくしらない)
    バブル期に書かれたのか、と。じゃあ半分、青いのすずめは、この本や映画が流行した頃の彼のその後のあの人と・・・と思うとちょっと面白い。

  • このシリーズはけっこう早く時間が進んで行くね。
    この巻は魔人加藤さんによって関東大震災が起こる「大震災篇」とその後に平将門さんの流れを汲む巫女さんが辰宮家に嫁いで魔人加藤さんのもくろみを阻止しようとするんだけど結局失敗して加藤さんの女になってしまう「龍動篇」が収録されていました。

    いずれにしても、加藤さんはどうしてそこまで「東京」を破壊したいのかな?
    明治維新後の帝都だから?
    千年の都、京都じゃダメなの?!

    しかし、学生時代は体も弱く引っ込み思案だった大蔵官僚である辰宮くんはムッツリ系っぽいな…と思ったいたら、やっぱり実の妹さんの意思を無視して彼女との間にお子ちゃま(雪子ちゃん)を作っていたのか…。

    大人しそうな男性って何かしら心の闇があるから、そのあたりは気をつけないといけないね。
    加藤さんもジメっとしてるし、サバサバしていないのはよくないねぇ。

  • 関東大震災からの加藤暗躍が楽しい2巻前半の震災編。満州から将門の首塚まで続く龍脈を探る寺田寅彦等の視点と、由香里を取り巻く幸田露伴等の病院の視点など、幾つかの絞られたまとまりになっていることも有り、これまでとうって変わって読みやすくなる。

    ただ、冗談のつもりなのかなんなのか知らないが「考現学」などという、1980年台の言葉を取り混ぜてくるので、なんともくすぐったい気になる。

    前半の震災編は、エンタテインメント小説として非常に良く出来ている。

    後半の「龍動編」がちょっと難物で、話自体は前半とつながっているものの、龍が存在するものなのか、抽象的なものなのか、なんだかよくわからないまま話が進行するのがいただけない。これは年をとったせいかもしれないが。

    また、後半で辰宮家内での騒動、目方恵子と加藤の邂逅部分など、描写が追いついておらず、よくわからない表現が続く。

    また、星(北斗七星)の配置までを変えてしまう魔術について、どうもこう、動機(東京の破壊)が小さすぎるため、もう少しメカニズムの説明は欲しいものである。

    でもまあ、第壱番に比べると、キャラクターの動かし方がこなれてきて、読みやすく引き込まれやすいので、出来としては良い。

  • 龍脈まではいいんだけど。。。月を動かすのはさすがに無茶だなあ。醒めてしまう。そんなことができるのなら、もっと直接的な手段を使えるだろうし。

  • 序盤は読む手が重かったが中盤からは加速。
    二匹の龍を押さえ込む作戦が練り上がっていくところが見所だった。
    恵子さんはデキる女すぎたのだろうか…

  • (全巻合わせた感想)
    難しかった。風水など占いだと思って、まったく興味がなかったが、地脈などの大地・経度緯度などの太陽、地球の関係などを基本とした学問であることが分かった。

    ただ、怨霊などの非現実的な現象や不老不死、生き返りなど話についていけなかった。また、好感を持てる登場人物が居ないので感情を込めて読めなかった。寝る前に読むには良い本。

  • シリーズ第二巻。

    確かに少し中弛みの感がないこもとない。
    この調子で六巻まで行くのは少ししんどいかもしれないと思っていたが、終盤に来て物語が加速。
    次巻に続く期待が増した。

    加藤さんは今回出番が少なめであったが、相変わらずおしゃべりさんでした。
    ラストの二人の豹変振りとかも好きだ。
    惹かれ合う理由も、何だか納得出来る。
    この年になって読んだから、多分解るんだと思う。

  • 色々と楽しませていただきました。結果としてはこれでよかったのだろうと。
    加藤という人物がすごすぎるのが、怖くて仕方がない。
    それにしても加藤は一体いくつなんだろうか?

  • 加藤!!加藤がすべて。か・と・う・や・す・の・り!

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著者プロフィール

作家・翻訳家・博物学者。京都国際マンガミュージアム館長。
平井呈一に師事、平井から紹介された紀田順一郎とともに、怪奇幻想文学の日本での翻訳紹介に尽力。のち活動の幅を広げ、博物学をはじめとして多ジャンルにわたって活躍。
主な著書に『妖怪少年の日々』、『帝都物語』シリーズ(ともにKADOKAWA)、『世界大博物図鑑』(平凡社)、『サイエンス異人伝』(講談社)、『江戸の幽明』(朝日新書)など。『怪奇文学大山脈』Ⅰ~Ⅲ(東京創元社)を編纂。

「2021年 『平井呈一 生涯とその作品』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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