陰陽師鬼談 安倍晴明物語 (角川文庫)

著者 : 荒俣宏
制作 : 皇 なつき 
  • KADOKAWA (2003年8月23日発売)
3.14
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  • レビュー :6
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041690369

陰陽師鬼談 安倍晴明物語 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 聖徳太子や吉備真備と安倍仲麻呂の話から、さらに安倍清明が仲麻呂の子孫だったという話もあり楽しかった。安倍清明の遺跡をめぐるツアーに参加したこともあり、場所もイメージできたのでさらに楽しかった。

  • タイトルは「安倍晴明物語」とあるけれど、たいして晴明さんは出てきません。

    あっちとあっちの晴明さんが魅力的なので、こっちの晴明さんは人物像に全く魅力がなくて、話に惹き込まれませんでした。

    確かに実在の晴明さんはこの物語のように失敗が多く、奥さんに「式神なんて外に出してよ!」って言われれば「すいません。」って一条戻橋に持って行ったような人かもしれないけれど…。

    ネタは古典好きなら一度は読んだことがあるようなお話ばかり。

    結果的に物足りなくて、あっちの晴明さんの本を再読して、あっちの晴明さんの氷上での演技をDVDで見たくなりました。

  • 安倍晴明は浦島太郎で阿倍仲麻呂の子孫で竜宮の娘が奥さん!
    たまに間抜け、基本冷徹
    おもしろいのー

  •  副題に安倍晴明物語とあるが、最初から最後まで晴明が主役というわけではない。
     前半は、厩戸皇子、吉備真備、藤原秀郷。
     後半は、緊那羅、茨木童子、橋姫、丑御前。
     ――等が主役である。つまりこれは、陰陽道を軸とした日本文学史を、小説という形で著した物なのだ。
     収められている話は著者の完全なる創作、というわけではない。全て古典を基として再構成しているのだ。
     古典と陰陽道(民間信仰)の関係を調べるに当たって、この書籍は素晴らしい入門書である。

  •  最初に言っておくと、この本は「幻想文学」です。ファンタジーです。歴史の勉強をしようと読む本ではありません。


     「今は昔」で始まるような、少し不気味で訓戒じみた昔話を彷彿とさせる短編連作。
     読むごとに時代を下り、その中で受け継がれていく陰陽道の系譜や、安倍晴明に至る流れが、まるで一本筋のように綺麗にできているように思います。
     「因果」という言葉が全体を通して感じられる物語です。

     厩戸皇子(聖徳太子)や吉備真備など歴史上の人物や、茨木童子といった有名どころの鬼の名前が章タイトルとして上がっていて、一見関連のなさそうな彼らがどのように安倍晴明という人物に結びついてくるのかな、と疑問に思いながら読んでいましたが、見事に繋がりました。
     歴史を齧っていたり、昔話の雑学を少しでも心得ていれば、随所で首を傾げたり突っ込みたい部分はあるかと思いますが、史実と混同せずに大嘘のフィクションだと割り切るべきでしょう。

     そしてなにより、安倍晴明はじめ、人間がいかにも俗物に描かれているのが怖いところでもあり、痛快なところでもあります。
     あやかしをセコい手段で謀って退治したり、同じ人を陥れるために汚い手を使ったり……。人を騙すあやかしなんてまだまだ可愛いものだと思えてくるほどです。
     そして、その末に報いを受け、過去を清算させられるといった、昔話にお決まりのブラックユーモアな因果応報がまた面白い。

     「幻想文学」の中でも、含蓄ある作品だという印象を持ちました。

     よく勘違いされるのですが、ファンタジーだから無責任にあれこれ設定を作って書いていい、というわけではなく、やはりある程度現実を踏まえなければ設定としては突拍子すぎて成り立たず、話も面白くはなりません。
     知識がなければ、新しく作り出すことなどできないものです。
     だから、この物語は、正しい歴史にしろ眉唾ものの伝承にしろまったくのフィクションにしろ、あらゆる豊富な知識によって紡がれた、壮大な嘘(フィクション)だと理解して読んで下さい。

  • 荒俣版・安倍晴明物語。『夢々 陰陽師鬼談』の文庫版にともない、改題されたもので、夢枕版とはまた違う、もっと人間味あふれる晴明の話が掲載されています。
    彼の一生をたどる伝説譚かと思いましたが、短編集で、はじめは厩戸皇子の話でした。

    聖徳太子は陰陽師のはしりだったようです。
    結構ひどい人間像が描かれていますが、彼の17人の子供を含めた25人の子孫は、全員蘇我族に殺されたというのが史実であれば、改めて当時の政権争いのすさまじさを感じさせられます。

    ちょうどTVで『大仏開眼』を見ましたが、遣唐使の吉備真備と阿倍仲麻呂の因縁話も出てきました。
    前者は賀茂家となり、後者は阿部家、もしくは安倍家となって、つまりは晴明は仲麻呂、そして当時の陰陽師、賀茂保憲は吉備真備の子孫ということになるそうです。

    私は、緊那羅の話が気に入りました。
    仁王に踏みつけられる邪鬼の緊那羅が、仁王像が修復のために取り除かれてから、人間になろうと百度参りをはじめ、あと一歩という99日目に、修復が済んだ仁王像にまた踏みつけられるという話です。
    毎日僧侶の読む法華経を聞きに通っていたので、相当徳を積んだだろうに、可哀そうに。
    緊那羅は、音楽の神だと思いますが、なぜ邪鬼なのか、ちょっとよくわかりませんでした。
    それとも徳を積んで、とうとう神になれたのでしょうか。

    吉備真備が唐から持ち帰ったとされる、祟り神の牛頭天王の生まれ変わり、丑御前という人物が登場しましたが、男性でした。
    御前とは、女性名だと思っていたので、驚きました。
    葛飾牛嶋に、丑御前社があるそうです。

    以前、この作品のコミック版を読みましたが、それは「橋姫と契る」話のみでした。
    かなりごちゃごちゃした話だという印象でしたが、晴明と芦屋道満との対決という点が、コミックと原作はまた違っていた気がします。
    宇治の橋姫が安倍晴明の式神だという点や、一条戻橋で渡辺綱が出会い、片腕を斬り落とした鬼が橋姫(茨木)だという点が、斬新でした。

    ほかの人による作品も読んでいるだけに、(この設定、本当かな)と首をかしげる箇所は多々ありました。
    もしかすると人物の繋がり全てが創作かもしれませんが、歴史に強い著者なだけに、いや案外本当かもしれないとも思ったりもします。
    短編集なだけに、どれも淡々とした構成になっており、式神や鬼たちも、人間っぽく描かれているため、あまり都に跋扈する魑魅魍魎のおどろおどろしさは伝わってきませんでしたが、フィクション性を十分に楽しめる一冊となっています。

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