放課後の音符(キイノート) (角川文庫)

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  • 角川書店
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レビュー : 48
  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041710043

作品紹介・あらすじ

「私、彼に対して子供の手段を使いたくないの」と、カナ。マリは南の島の思い出をジントニックを飲みながら涙を流して喋ってくれた。ぜんぶ放課後に知ったことばかり。みんなが自分のためにある風景で、出来事をおこしている-。大人になるための、そして"わたし"が"わたし"になるための贅沢な時間の使い方を描く、一級品の恋愛小説。

感想・レビュー・書評

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  • 初めて読んだのは高校三年の頃でした。
    '89年に書かれた作品ですが、久々読み返しても古臭さは感じませんでした。
    主役は女子高生で、一話完結のオムニバス形式です。

    共通して登場する「私」は、それぞれの話の主人公である女のコ達の恋を傍観しています。
    最終話では脇役からヒロインになります。

    「私」は第二話で幼馴染みにフラれますが、最終話では結ばれます。
    ハッピーエンドではなくて「結ばれる」ですね。

    「私」は当初、お子様でした。
    素敵な女のコ達の恋する姿を見て、「自分もそんな風になりたい」と思うようになります。
    彼女達から色々と学びとっていきます。

    今まで「私」は、ジタバタして大人振っていた。
    肩の力が抜けて自然体になると、男のコ達にモテるようになる。
    「いつの間にかフェロモンが出ていたわ~」といった感じでしょうか。

    ◆Body Cocktail
    カナはあまり目立つコではないが、男の人と寝ることを日常にしている。
    高校生の頃に読んだ時はいやらしく感じましたが、今はそれ程思いません。
    寧ろ、可愛いとさえ感じます。

    カナは年上の男性とイイ感じになっていましたが、お腹に子供が出来てしまいます。
    教室で金の鎖を弄ぶカナが印象的でした。

    ◆Sweet Basil
    リエという女のコの話です。
    この話に登場する純一くんはラストにも出てきます。

    純一がリエの視線に気付いて恋に落ちるまでのエピソードです。
    この話を読んでいると、牧瀬里穂の歌の「目と目が合ったらミラクル」というフレーズを思い出します。

    「私」は、この話で純一にフラれます。
    リエみたいなタイプのコは少し怖いわ。

    ◆Brush Up
    雅美は日本人だが、長年アメリカにいた。
    帰国子女だったせいで苛めに遭い、アメリカンスクールに転校する。

    アメリカの高校生は目的意識を持って勉強しているようです。
    日本の高校は義務教育に近いですからね。

    今のエロ小説では当然のように口淫シーンがあるので、「ブロウジョブ」に衝撃はありません。

    ◆Crystal Silrence
    マリが恋した相手は、旅先で会った男のコだった。
    彼は耳や口が不自由で、聞こえるのは波の音だけ。
    「17歳で、こんなしっとりとした恋をするのか」と思いました。
    マリ達の再会はあるのかしら。

    ジントニックは苦いので、あまり好きではありません。

    ◆Red Zone
    カズミの彼氏・サエキくんに年上の彼女が出来た。
    別れた直後のカズミは、サエキくんを泣きながら罵って、自分も傷付いていた。

    しかし、サエキくんの彼女を見て、「今、この人にはかなわない」と思う。
    少しずつ大人になる自分を待つことにした。

    己の幼さに気付いたカズミは綺麗になりつつあります。
    サエキくんとカズミは、彼女のお陰でイイ男やイイ女に成長しています。
    キンモクセイの匂いは、甘過ぎて私は苦手です。

    ◆Jay Walk
    ヒミコは小悪魔タイプです。
    私もヒミコみたいなタイプは苦手だわ。
    人の男を取るのは駄目でしょう。
    良く言えば自分に素直なんだろうね。

    ◆Salt and Pepa
    カヨコは三年生で、音楽の先生と恋をしている。

    男の人は、好きな女の前では幼くなる。
    この話に出てくる松山先生は素敵な人ですが、私が中学で習った音楽の先生は最悪でした。

    ◆keynote
    これまでずっと傍観者だった「私」の話です。
    両親は離婚したことで、別々の男と女になってしまった。
    「私」は父から「ミル」という名の香水を貰い、身に纏う。

    「私」はイイ女になっていた。
    リエと別れた純一もイイ男になっている。
    二人はキスがキッカケで、幼馴染みから恋人になった。

    「彼が欲しいならばガツガツし過ぎるな」ということですか?
    好きな人に想い人がいても、妬んでばかりでは駄目、と。
    「欲しい欲しい」と言ってばかりなのは、傍から見ると引くもんね。

  • 放課後を舞台に大人になろうとする女の子たちの恋愛小説。Amyの作品でもこれは周りに読んでいる女の子が多くて、香水つけ始める子もいたかも(もう10年くらい前の話)。私と純一の物語もよかったけど、私が好きなのは「Red Zone」。「金もくせいの匂いがする 甘くて歯が痛くなりそう 秋には恋に落ちないって決めていたけど もう先に歯が痛い 金もくせいを食べたの 金もくせいも食べたの だから 歯の痛みにはキス」。まるで歌詞のような文章。そして終わりは赤い紅で、予約済みのスタンプ。Amyは黒人とのベッドシーンしか書けないって思っている人がいるとしたらこのredzoneや、晩年の子供を読むと印象変わるかも。

  • 最後の話のKeynoteが好きだった。たまに主人公が全員同じなんじゃないか?と思った。主人公全員の親が離婚していて、性格的に冷静で、みんなから良い意味でも悪い意味でも浮いている女の子のことを「綺麗だな」って思っていたから。
    「恋愛をいつでもできる準備が出来ていないなら、恋愛をしてはいけないんだよ」というニュアンスの言葉や(ちょっとうろ覚え)、Keynoteに出てきたミルって香水が気になった。
    確か最初から2番目のお話で「群れる友達を持たないでいつでも独立している」っていう女の子が出てきて、かっこいいなって思った。

  • まあまあおすすめ。

  • 女子高生の恋愛事情。

    大人に憧れるけど、自分はまだ子供だし、でも裸で抱き合う事も興味がある。大人と子供のはざまで悩んだり不安になったり。そんな彼女たちの短編集。

    女子高生で性的に奔放なんてちょっとビッチじゃないのって思ったりするんですが、今はそんな事ないんですかね。でも、そんな人が身近にいたらほんの少しだけ憧れを持つのも分かる気がします。

    そんなに焦って大人にならなくてもいいのに。
    なんとなく、女子高生だった頃を思い出しました。

  • 高校生の時に出合った一冊。
    人と違うことを気にしていたわたしには、自分らしく生きる彼女たちが魅力的に映ったのをよく覚えている。
    今のわたしには物足りないかもしれないけれど、大切な一冊。
    忘れらないのは、「いつでも恋におちていい準備をしておくべき」という言葉。
    この一節だけ心のなかに仕舞って、女子であることを怠らないように気をつけようと思います(笑)

  • 十代の多感な女の子が、行為について、甘くとろけるように話すお話。

    実は、私がこの本を最初に読んだのは、随分前の中学三年生の時期で、まだまだ「お姉さんの恋愛話」だった頃。
    きっとこの先に、私にもこんなステキな恋愛ができるのかもしれない! ってちょっと期待してたんですが、残念ながら私には、彼女たちのように心も身体も身軽な女子高生ではなかったので、当然、こんなステキな恋愛をする機会なんてありませんでした。
    そして、今となっては「ちょっと背伸びをした女の子の物語」になってしまいました。
    でもやっぱっり、こういうキラキラした恋愛に夢を見る時間って絶対に必要だなあ……と、恋愛に夢を見ることにも疲れてしまったおばさんの意見です笑

    とりあえず、是非今思春期に真っ只中です! という女の子には読んで欲しいと思うので、オススメしておきます。

  • 二十年以上前に書かれた本だからかな。
    昔の少女コミックのような話でした。
    放課後の気だるい感じは伝わってくるけど、大人びた女子高生には共感できなかった。

  • 内容を読むに適年齢なはずなんだけど、あんまり…。こういう女の子の世界って嫉妬とか、あんまり温厚なイメージが感じられないものが多い気がする。温かいものを求めてると、陰鬱な雰囲気ばかりを感じやすいのかも。今の私には不似合い。

  • かなり昔に途中まで読んだまま放置してあった本。
    やはりちょっと読むのが遅かったか。
    甘酸っぱい恋物語ではあるけど、時代もあり、年齢もありで
    共感は少なかった。

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著者プロフィール

山田 詠美(やまだ えいみ)
1959年、東京生まれ。明治大学文学部中退。85年『ベッドタイムアイズ』で文藝賞受賞。同作品は芥川賞候補にもなり、衝撃的なデビューを飾る。87年には『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞受賞。89年『風葬の教室』で平林たい子文学賞、91年 『トラッシュ』で女流文学賞、96年『アニマル・ロジック』で泉鏡花文学賞、2000年『A2Z』で読売文学賞、05年『風味絶佳』で谷崎賞、12年『ジェントルマン』で野間文芸賞、16「生鮮てるてる坊主」で川端賞を受賞している。その他の著書に『無銭優雅』『学問』『タイニー・ストーリーズ』『明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち』などがある。

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