花刑 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
3.50
  • (1)
  • (0)
  • (3)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 16
感想 : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041753422

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 森村誠一『花刑』角川文庫。

    4編収録の社会派推理短編集。最初の『完全犯罪の鏡像』がまずまず面白い短編だったが、他は今一つだった。日常に潜む殺意が偶然により、犯人とその動機が見えなくなるというパターンの短編ばかりで厭きて来るのだ。社会は複雑になりつつあるが、犯罪は社会の複雑さに比べれば単純だ。

    『完全犯罪の鏡像』。明らかに黒なのに立証出来ないもどかしさ。そのもどかしさを抱えたまま朽ちていく無念さ。35年間、自宅から会社に通勤する定年間近の男が通勤電車の車窓から目にする風景の中にその家はあった。男は1年ほど前からM駅でその家に白いハンカチを振るOLの姿を目にするが、彼女の姿を目にしなくなった日にその家に住む老女が強盗に殺害され、家は放火で燃えたことを知る。退職後、男は白いハンカチのOLを思い出し、彼女の足跡を追う。★★★★

    『凶隣の巣』。どちらが安穏で幸せな生活なのか。後味の悪い短編。仲の良い人たちが立ち上げたマンションと普通の人たちが寄り集うマンションの近隣問題。2つの殺人事件とマンションの住人との関係は全く無関係に思われたが、次第に結び付いていく。★★★

    『死媒祭』。不倫を続ける男女。女は夫を殺し、一緒になろうと男に持ち掛ける。保険金を狙った女の企みは偶然が重なり、犯行は首尾よく運ぶが……★★★

    『花刑』。表題作。表題作という割りには不満足な短編。サラ金地獄で首が回らなくなった男が企てた高利貸しの老婆の殺人計画は、まさかの偶然により複雑な結末を迎える。★★★

    本体価格470円(古本100円)
    ★★★

  • 1 完全犯罪の鏡像:通勤電車、ハンカチOL
    2 凶隣の巣:人間関係、共同生活、不良
    3 死媒祭:三角関係
    4 花刑:高利貸し

    短編ものだからかあっさりしているなというのが第一印象だが、
    読み進めていくとスピーディな展開が逆に良いと思った。
    植物を小道具として使用するところが面白い。

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

1933年熊谷市生まれ。青山学院大卒。十年に及ぶホテルマン生活を経て作家となる。江戸川乱歩賞、日本推理作家協会賞、角川小説賞、吉川英治文学賞を受賞。推理小説のほか、歴史小説や俳句などのジャンルにも創作のフィールドを拡げている。

「2023年 『最後の矜持 森村誠一傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

森村誠一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×