新装版 人間の証明 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
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レビュー : 179
  • Amazon.co.jp ・本 (509ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041753606

作品紹介・あらすじ

「母さん、僕のあの帽子、どうしたでせうね?」西条八十の詩集をタクシーに忘れた黒人が、ナイフで刺され、ホテルの最上階に向かうエレベーターの中で死亡した。棟居刑事は被害者の過去を追って、霧積温泉から富山県へと向かい、ニューヨークでは被害者の父の過去をつきとめる。日米共同の捜査の中であがった意外な容疑者とは…!?映画化、ドラマ化され、大反響を呼んだ、森村誠一の代表作。

感想・レビュー・書評

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  • 麦わら帽子、詩集、熊のぬいぐるみ…。
    言葉だけ並べると可愛い少女が浮かび上がりそうなこれらのモチーフが、事件に絡んでつながってゆく。
    たとえ漠然としたものであったとしても何か期待のようなものを胸に日本へ来たのだろうと思うと、最後の最後、なんとも切なく悲しい。
    郷愁を誘う詩がよけい寂しく響く。

  • この小説は犯人を推理すると言うより、人間模様を描いた小説。
    母から捨てられ、父を殺された棟据の想い、犯人の想い、被害者の想い、社会的地位のある両親を持った子供たちの想い、田舎に住んでいる娘の想い。いろんな想いがあった。
    さらに、ひき逃げ事件も絡んできて、そこでもまた人間模様が。妻を盗られた男、妻を盗った男が複雑な想いを持ちながらも力を合わせて犯人を探し出す。
    棟据の人間の心に賭けた取調べに犯人は落ちて、やはりそこには愛があったのだ。と、ホッとした。

  • 「母さん、ぼくのあの帽子どうしたでせうね?」

    子供の頃、角川映画が大流行りだったころにCMでよく
    流れてたのかな?
    このセリフだけすごく覚えてるのですが、
    内容の記憶が薄く読んでみました。

    読み始めるといきなり興味をひかれる事件が発生。
    その後いくつもおよそ無関係と思われる出来事や人物が登場し、
    それらにどんどん引き込まれていきます。

    例えば松本清張などは大筋はともかく本を読むと、
    書き方でしょうか・・・古臭さは否めません。
    しかしこちらは同じ何十年も昔の作品とはいえ、
    そう古臭さを感じず読めましたね。
    面白かったです。

    ラストはそこまで結びつけなくとも・・・
    と、思うほど見事に全てがつながります。
    不自然さはないのですが、
    逆にそこが現実ではなく小説っぽく感じました(笑)

    証明シリーズは他にもあるので、
    今更ですが、もう少し読んでみようと思います。

  • 東京の高級ホテルでアメリカ人が刺殺された。ちょうど同じ頃、一人のホステスが行方不明となる。
    アメリカ人殺人事件を追う日米の刑事、ホステスを追う夫と不倫相手、そして逃亡者たち。散在する各々の経路が交錯し、全てが繋がってゆく。
    昭和後期の日本を舞台にした上質のサスペンス。

    この作品の良さを以下の3点にまとめた。

    1.プロットが秀逸
    これほど複雑に絡み合っていて、最後にすっきりまとまる作品はないだろう。

    2.テーマが揺るがない
    人間性を我々が持っているという主張が小説に一貫して流れている。それは犯人もそうだし、猜疑する刑事たちもそうだ。全ての行動に裏付けがあり、その人物の歴史が垣間見える。だから、現実味がある。

    3.文章が美しい
    その言い回しの端々に著者の美学を感じる。非常にわかりやすく、心地よいリズムの文章である。


    動機もよくわからない変質者を犯人として登場させ、自己満足している小説家さんには是非とも読んで頂きたい。
    そんな上質のサスペンスでした(・∀・

  • ≪内容覚書≫
    スカイレストランへ登るエレベーター内で黒人男性が、死亡した。
    胸に深くナイフを突き立てたまま、最上階を目指した彼は、
    いったいそこに何を求めたのか。

    犯人を探し、日本と米国双方が刑事が、殺された男の足跡をたどる。

    被害者、犯人、刑事。
    それぞれの思いが交錯する中、人間らしさとは何かを問う1冊。

    ≪感想≫
    推理小説としては、展開が無理やりなところはあると思うが、
    この作品を、「人間らしさ」とは何かを問うものと考えれば、
    そんなものは些細な問題として流せる。

    登場人物が絞られているおかげで、
    混乱することなく読めるが、その分役割が読みやすい。
    推理小説としては、そのあたり、物足りなさが残った。

    その代り、愛憎は表裏一体、というのを見せつけてくれる作品。
    人間を憎みながらも信じたかった刑事。
    息子との再会を喜びながらも憎しみを抱いてしまった母親。

    愛があるからこそ、愛を求めるからこそ、
    憎しみが生まれるんだろうと実感。
    感情が理解しやすく、移入しやすい。

    ただ、さて、じゃあ、母に裏切られた時、
    それを受け入れて仕方ないと思えるほど、
    母を愛しているかと問われると、正直、分からない。
    ジョニーの母への思いの強さに心が打たれた。

    また、それ以上に、随所にちりばめられたニューヨークの問題や、
    日本の民族性に関しての記述が興味深かった。

    様々な人種が集まるアメリカと違い、
    単一民族(一応)で構成される日本の
    その結束力の話は説得力があった。
    確かに、一応、みんな日本人で、
    外見もそれほど変わらないからこそ、助け合える気がする。
    「外人」を、なんとなく避けてしまうのは、
    他国でもあることなのかな、と思う。

    きれいごと、なような気もしなくもないが、
    現代の問題をいろいろ見せてくれた良い作品。

  • ちょっと展開に無理があるんじゃない…?と思いながら読み進めていったけど、たくさんの登場人物の中に少しずつある“つながり”が、「どうも引っ掛かるな」と思っていた。最後まで読むとその“引っ掛かり”が解き明かされて、びっくりします。

    東京である黒人が刺殺される、その事件を追う刑事、東京から連絡を受けてニューヨークで黒人の身元を調べるプエルトリコ人の刑事、黒人と何らかの関係があると思われる女性、その息子、その息子が事故に巻き込んでしまった女性、その夫と愛人。
    みーんながどこかで少しずつ繋がっているのです。つながり具合が不気味でさえあります。でも、もしかしたら自分の人生も、自分がした行為が、知らない間にいろんなつながりを作り、何年も何十年も経って自分のところに“戻ってくる”のかも…、などと考えました。怖いです。

    ところでこの小説は昔、映画化、ドラマ化されて話題になったらしい(観たことないけど)。小説にはニューヨークのスラムの描写がリアルに描かれている。このスラムが映像でどんな風になっていたのか気になるな。

  • 引き込まれた
    一気に読める

  • 森村誠一と横溝正史は、なぜか頭の中でセットになっている(笑)
    よって、つい比べてしまうのは仕方ないことなのか、ひと言で言っちゃうなら、横溝正史の代表作にあるような「あの哀しさ」がない。
    そこが、なぁーって感じ。

    東京をメインに霧積温泉からNY、さらに富山の八尾と、こんなに舞台が広がるミステリー小説、今ないよなぁーというあたりはとてもいいと思うし。
    本筋とは全然関係ないひき逃げ事件をからませて読者の目をくらませる手法なんかも、すごく好き(笑)
    …なんだけど、浅間嶺で死体が見つかったいきさつをキャラ設定も含めごちゃごちゃ書くくらいだったら、その母と子、それぞれの哀しさ、そして霧積温泉に行った時の憧憬をちゃんと描いてよ!と思ってしまうんだよなぁー。
    だって、それがなかったらひき逃げ事件、いらないじゃん。
    目くらましが好きと書いておいて何だが、ひき逃げ事件のエピソードは2人の子供の人生の対比が描かれることで生きてくると思うんだけど。

    くどいようだけど、森村誠一と横溝正史はセットになっているみたいなところがあって。
    つまり、読み終わった後、「これ、横溝正史が書いていたらなぁー」と思ってしまったというのはいくらなんでも失礼すぎ?w

  • 2019_01_28-009

  • 43年前の本とは思えない人間の本質をえぐる本

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著者プロフィール

1933年埼玉県熊谷市生まれ。青山学院大学卒。9年余のホテルマン生活を経て、1969年に『高層の死角』で江戸川乱歩賞を、1973年に『腐食の構造』で日本推理作家協会賞を受賞。1976年、『人間の証明』でブームを巻き起こし全国を席捲、『悪魔の飽食』で731部隊を告発して国際的な反響を得た。『忠臣蔵』など時代小説を手がけ、精力的な執筆活動を行っている。2004年、第7回日本ミステリー文学大賞を受賞。デジカメ片手に俳句を起こす表現方法「写真俳句」も提唱している。2011年、講談社創業100周年記念書き下ろし作品『悪道』で、吉川英治文学賞を受賞する。2015年、作家生活50周年を迎えた。

「2019年 『悪道 最後の密命』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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