聖戦ヴァンデ〈上〉 (角川文庫)

著者 : 藤本ひとみ
  • 角川書店 (2000年4月発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041755099

聖戦ヴァンデ〈上〉 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • フランス革命初日、バスティーユ陥落に狂喜するパリの街頭で出会った三人の青年。貴族出身の国王騎兵隊士官アンリ、その副官で親友の伍長ニコラ、そして革命を信奉する寄宿学生ジュリアン。激変する政情は、彼らを激しく対立させ、革命史上最大の大量虐殺へと導いていく。青年たちの友情と憎悪、別れと再会を通じ、革命美談の裏に隠されてきたフランス史の暗黒を暴く、渾身の力作長編。
    「BOOK」データベース より

    フランス人の名前が長すぎて部分的にしか覚えられない・・・
    革命の吐息が伝わってくる描写に胸が高まったり、革命の残酷さに胸が詰まったり.高校の世界史の授業では、主だった人の名前と、どんなことをしたのか、ということがテキストの数行で表現されているのみなので、実感など得られないが、それがどんな意味をもっていて何につながっているのか、分かりやすく描かれている.

  • 藤本ひとみほど、フランスの歴史物をわかりやすく、ロマン溢れる書き方ができる作家はいないと思う。

    もう五回くらい読んでいるけど、何度読んでも色褪せない。

    フランス革命時に活躍した恐怖政治で有名なジャコバン派のリーダーロベスピエール。

    ロベスピエールに心酔し、その思想を純粋に実行しようとするジュリアン。

    貴族に生まれながら、ヴァンデ地方の蜂起に加担することになったアンリ。

    思想の違いによりアンリと対立する革命軍陣営に身をおかざるを得なかったニコラ。

    以上の魅力的な主要人物たちがそれぞれの思惑を持ちながらも、フランス革命という激動の時代を生き抜く。

    必死になればなるほど、民衆の求めるものとかけ離れていく共和政府。

    彼らは自分たちの理想に酔うがゆえに、民衆が見えていない。

    この時代に興味がある人も、ない人も間違いなく読むべき良書。

  • 心に残るシーンが多く、好きな作品。特に主人公のアンリが反乱軍に参加する時に領民たちに言った言葉は、胸を撃ち抜かれる(実際に史実で言われているそうで、ナポレオンも後に英雄の言葉と称している)このシーンは、主人公の決意がうまく描かれていると思う。また、反乱の悲惨さが伝わってきて、読後、ずしりとくる。

  • ヴァンデの戦い、いわゆる、フランス革命である。フランス革命はバスティーユの襲撃から始まる。バスティーユは政治犯を収容していた牢獄であり、抑圧された革命派が襲撃を企て、成功を収めた。革命派の主導者がロベスピエールであり、そのロベスピエールの目といわれたのが、主人公の一人、マルク・アントワーヌ・ジュリアンだ。ジュリアンは、『バスティーユを陥落させたことは、取るに足らない。王座を打倒すべきである』と、ビラを配り、それが、議員でもない、18歳の青年であるというところに、ロベスピエールは感動し、次第にジュリアンを重く用いるようになる。

    そして、本書のもう一人の主人公とも言えるのが、アンリ・デュ・ヴェルジエ・ドゥ・ラ・ロシュジャクランだ。アンリは貴族の公子であった。フランス王ルイ16世を守る親衛騎兵隊の少尉であり、反革命派である。

    この立場の相反する二人を中心に物語りは進む。

    ジュリアンが革命の戦争の中、婚約者と先生を失う。ジュリアンはロベスピエールにそんな境遇の自分はどうすればいいのか問う。ロベスピエールは言う『人間は、多くを得、多くを失う。最後に残るのは、君自身だけだ。それだけが、真の君のものだからだ。君の物でないものは、君をすり抜けていくだろう。仕方の無いことだ。本当に君自身のものだけが、失われることも無く、奪い取られることも無い。君が失ったという2人が君に残したもの、君の心の中に生き、実っているものこそが、君のものだ。それを大切にしようと考えれば、自分がこれからどうすればよいかは、自ずと分かってくるだろう』と。

    フランス革命が起こり、バスティーユの監獄が陥落し、革命派が主導権を握ると、ルイ16世は家族とともにフランスを脱出する。王妃マリー・アントワネットの強い主張に動かされ、オーストリアに亡命を図る。しかし、ルイ16世はフランスに連れ戻され、革命派の弾劾にあい、革命広場でギロチンにより斬首された。

    フランスの内戦に付け込み、領土を占領しようというイスパニア、英国が食指を動かしだす。それに対抗するため、革命派は30万人の募集をするが、集まらない。応募が30万人に満たない場合は、その不足を抽選による徴兵で補うことが決められた。これに対し、農民は反乱する。各地で徴兵反対の農民青年たちが武装し、抵抗した。これが、反革命派として、ルイ16世の遺児、ルイ17世を新たなフランス国王とすべく、ヴァンデ地方を拠点に集合した。反革命派は、白地に赤い十字架と心臓をかたどった紋章・聖心(サクレクール)を胸飾り、進軍する。ジャック・カトリノーを最高司令官として蜂起した。ただ、反革命派の主体は農民だ。軍のように規律が取れているわけではない。そんな農民兵をまとめているカトリノーをアンリは尊敬崇拝した。『農民兵は子供なのだ。素朴で純粋で無垢、同時に限りなく図に乗り、下品で残酷、臆病で鈍感。まずそれを許し、受け入れなければ、彼らとは付き合えない。指導者である私たちは、彼らを糾弾するのではなく、親のような愛情と同情をもって包み込み、その成長を見守るべきだ。裁くことは神がする。神に任せておけばよい』と、農民兵のまとまりの無さに嫌気が差してきたアンリをいさめたりした。また、アンリの古い部下は革命派に流れている。アンリはカトリノーに問う、『もし敵陣に古い友人がいて、戦いの最中に再開したらどうすればよいか』と。カトリノーはこたえる。『再会を喜び、酒を酌み交わす。心を寄せ合い、結び合った友情以上に尊いものはない。役職も、立場も、信義も、それを越えることは出来ない。人間一人を助けたからといって、大勢が変わるわけでもあるまい。私なら、友人を何よりも上に置く』と。

    ただ、そんなカトリノーも戦禍に倒れ、続く最高司令官となったエルベも重症を負う。続いて最高司令官として迎えられたのが、アンリである。

    アンリの敵方の謀将であるジュリアンはヴァンデが二度と立ち上がれないように非戦闘員も含めて全滅させようとする。森・畑・村を焼き尽くし、土地に塩を撒き、すべての住民を無差別に葬り去り、最後に土地の名を別の名に変えてしまえば、ヴァンデは息絶え、祖国フランスから消滅する。ジュリアンが信奉するロベスピエールはそれを聞いて感じる。物事というのは常に行き過ぎるものであるが、行き過ぎるほどの力をもって臨まなければ常に結果は下回る。過不足なく留めることは不可能に近い。最善の方法は、充分に施行してから、様子を見て基準を緩めることだと思った。

    ただ、それに対し、同じ共和国軍の少将であり、かつてのアンリの部下であったニコラは言う。戦いにも秩序が必要であり、規律無しに戦えば精神の荒廃につながり、それが敗北をもたらす。軍人の仕事の一つは人を殺すことである。規律や至誠を失ってしまえば、殺人者と変わりない。

    ジュリアンの焦土作戦は、結果としてヴァンデを死に物狂いにさせた。全滅させないまでも、一度こてんぱんに叩き、そのまま攻めるぞと脅しておけば、農民たちは降伏したかもしれないのに、完璧に弾圧しようとして、却って農民たちを再武装させたのである。

    だが結局共和国軍の物量攻撃にヴァンデ軍は持ちこたえられず、将軍たちは次々と消えていった。ヴァンデが静まるのは、ナポレオン・ボナパルトがローマ教皇ピオ七世と和議を結び、ヴァンデに対し、信仰の自由、徴兵の免除、損害の賠償、復興援助等の政策を講じてからのことである。バスティーユの襲撃が一七八九年七月十四日から数えて十二年後の一八〇一年七月十五日のことだった。

  • フランスものが読みたくて。

    でも思ってた時代より後だった。

    出会いのシーンとか、鋭くてきゅんとします。

  • フランス革命。
    どこに立つ人もそれぞれの位置で譲れないもの、捨てられないものがあって。
    後戻りも逃げることもできない。

    読後、苦しくなる。

  • フランス革命の背景で起こり、握り潰されていった農民反乱。その戦乱に身を投じ、知恵を絞って戦う指揮官アンリの話。あまりに酷い話で本当にへこみました。が、その酷さ、渇きこそが革命の余波なんだとも考えさせられる……。

  • 登場人物の名前が覚えられない!!(笑)
    名前が長いし、沢山出てくるし、主要人物を覚えるだけで精一杯でした。

  • 本筋は英雄が出てくる歴史小説のスタイル。でもまあBLです。読めばそう分かります。口絵のカラー写真が資料的に役に立つかも。

  • 私の卒論テーマでもあるヴァンデの反乱を扱った小説。
    さすが邦語資料が少ないだけあって、私もたぶんこの資料読んだなぁというのが節々から感じられて別の意味で楽しめた。
    しかし、アンリとニコラの扱いが…。こんなあっさり?もうちょっとネチっこく書いてもよいと思う。

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