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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784041785034
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みんなの感想まとめ
猫を軸にした人間ドラマが展開される本作は、独身女性の翠が愛猫メロウを探す姿と、隣人の鳴海が妻を殺害するという衝撃的な事件が交錯するミステリーです。読みやすい文体で描かれたこの物語は、登場人物たちの狂気...
感想・レビュー・書評
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本作は有栖川氏の『ダリの繭』同様、角川ミステリ・コンペティションの参加作品で文庫書下ろしで刊行された作品。
一読して驚くのは、非常に読みやすい文体と内容になっていることだ。ゴシック趣味溢れる『時のアラベスク』や『罪深き緑の夏』の同一作者とは思えないほど、普通のミステリとなっている。恐らく読者の人気投票で優秀賞が決まるというこの企画に即して、自らの持ち味をあえて殺し、普段本を読まない人でも読めるように意図したのではないだろうか。
出版社を退職し、翻訳者として第2の人生を歩むことに意気揚々としていた森本翠は女性編集者の瑠璃と祝杯を上げたその夜、愛猫の黒猫メロウが行方不明になり、心境穏やかでなくなる。
一方、近所のアパートでは駆け出しの役者鳴海が妻を殺害し、バラバラに解体していた。底に現れた1匹の黒猫。黒猫を必死に探す翠と、瑠璃、そして鳴海の人生が交錯しようとする。
退職した独身女性で唯一の家族が黒猫という60歳の女性、翠の思考がなんだか痛々しい。独り身の寂しさの拠り所が猫というのは、私も飼っていたので猫に対する愛情については理解できるが、やはり常人とはどこかずれていて、狂気さえ覚える。鳴海もボタンの掛け違えのような瑣末な事から起こしてしまった殺人を、どこか夢の中の出来事のように第三者的に捉えながら、その実、自覚せずにどんどん狂気の井戸の底に落ちていく。
そしてまた2人の狂人の緩和剤として挿入された瑠璃もまた、常識人とはちょっと違った特異な考え方を持っている。つまりこれは1匹の黒猫を軸にした3人の狂人たちの遁走曲なのだ。
作者の故服部氏は猫好きとしても有名だったので、どうしても翠と作者がダブって仕方がなかった(ちなみに作者は既婚)。
中身はごく普通のミステリで、結末も皮肉が利いている。前2作の雰囲気が好きな人にはあっさりとしすぎて物足りなさを覚えるだろうが、私は全く逆の立場だったので本作は服部氏の作品では最も評価が高い。
昔のミステリマガジンで猫ミステリの特集が組まれていた。その中にいくつか猫ミステリ作品が挙げられていたが、本書はその選から洩れていた。長らく絶版になっており、本書もまた忘れられていく一冊になるのだろう。そんな消えゆく作品を少しでも誰かの記憶にとどめて欲しいために私はこんな風に感想を書いているのかもしれない。 -
服部さん何作か読んできたが本書が1番好みではなかった。ちゃんと物語の世界に入りきらずに読んだから、最後の方よく理解できなかった箇所もあったが読み返す気も起きない。冒頭のイラストレーターと瑠璃のシーンは何だったんだ?いなくなった黒猫を探す翠と、妻を殺した昭平のモノローグの掛け合いは面白かった。
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出版社を定年退職した翠の最愛の猫・メロウが脱走。必死に探すが見つからず、方々に協力を頼む。一方、向かいの部屋に住む劇団員の昭平は、口論の末に妻の幸子を殺してしまい、途方に暮れていた。そこに迷い込んできたのは、1匹の黒猫……。
タイトル通り、猫が絡んだミステリ。舞台を観ているかのような臨場感溢れる文章が素晴らしい。コメディなのに真面目、シェイクスピアの喜劇のよう? -
服部まゆみ第4作目。
「この人コメディかけるのか!」と目からうろこの1冊。
いや、本人は実に真面目なんだろうけどね。
そのまじめっぷりが実に面白い。
うん、面白いサスペンスでした。
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☆3.0
著者プロフィール
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