哀しい予感 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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レビュー : 466
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041800010

作品紹介・あらすじ

いくつもの啓示を受けるようにして古い一軒家に来た弥生。そこでひっそりと暮らすおば、音楽教師ゆきの。彼女の弾くピアノを聴いたとき、弥生19歳、初夏の物語は始まった。

感想・レビュー・書評

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  • ---するとしないでは何もかもが180度違うことがこの世にはある。そのキスがそれだった。---

    この一文の重み。もう姉弟じゃない。もうおばじゃない。
    喪った家族の思い出に胸を痛めながらも、今そばにいる家族や始まる恋の予感に慰められて・・・

    普段、カレーは辛口派だけどこのフルーツカレーは気になりますね。

  • 普通に、明るく、元気そうに生きていても、人は喪失してしまったことから本質的には逃れられない。
    乗り越えても、何もなかった頃のように、元通りになれるわけではない。
    「でも肝心なのは置き忘れてきた部分なんですよ。誰とも分かち合えない」
    欠けてしまった部分を埋めるために、前向きなものに触れようと思う。
    だけど本当にそれを埋められるのは、自分の哀しい部分に触れてくれる何かなのかもしれない。

    霊感、直感、不思議に惹かれ合う感覚。
    よしもとばななさん特有の世界観の中に、姉妹愛や姉弟愛や親子愛が絡み合った、切なくて愛しい物語。

  • 雨の冷たい空気とか、軽井沢の涼しさとか、部屋の暗さとか埃っぽさとか、上野のムッとした雑踏とか

  • 相変わらず吉本ばななの物語の語り口が好き。心が浄化されていくような、とにかくこちらの内面を落ち着かせてくれる文章。
    「予感する」って基本的には誰にもある程度は分け与えられている無意識の能力?だと思う。それが強いか弱いかは人それぞれだとしても。そういった目に見えない、形のないものにスポットを当てて物語を作るのがこの人は異様に巧い。作品全体に漂うある種の切なさも、物語の終盤で回収されていく。真に「美しい物語」だと思う。まぉこの小説に限らず、彼女の作品全体に言えることだとは思うけど。

  • しらなくていいことなんてない。
    知ろうとすることが大切なのかな。

  • 再読。
    初めて読んだ時は「好きな本」だと思ったのに、
    2度目の今回は、なんだかちょっと…という感じでした。

    恋愛に対する感情や感じ方も共感できるけど
    「姉」と「弟」というだけでなんとなく拒否反応。
    自分の兄弟構成と同じだからでしょうか…。

    初めて読んだ時に、良い!と思った部分を
    今回たくさん見落としてしまっているようで自分にショック。

  • 薄くてさらっと読めるのだけれど、
    とっても詰まっている。

    どうしようもない迷いや葛藤、澄んだ気もち、凛とした決意。
    あざやかな緑、やさしい音色、かなしい湖水。

    家族の出来事は、抗えないし、それが運命だったのだと思うけれど、
    その運命を受け入れるには、強い心が必要だ。
    受け入れて、包み込む、強い心。

    すべての真実を知り、弥生も哲生も、強くなる。成長する。

    ゆきのの先の読めないふわふわとした感じが、なんだかとても安心感がある。ゆきのもまた、家族を喪い、その運命を受け入れ、その真っ直ぐな優しさを得たのだろうか。


    「ああ、ほんとうに、わからないままでいいことなんてひとつもないのだ。」

  • 私の中で勝手によしもとばななさんキーワードとしている、「死」と「奇妙な女同士の関係」と「旅」と「静かで切ない雰囲気」が全部入った、彼女らしい物語だった。

    特にフルーツカレーの描写が好き。
    こういった描写が、切ない雰囲気に優しさをいい感じに加えて、全体としていい雰囲気の物語になっているんだと思う。

  • 失われた子供時代、ある日を境に、ふと思い出した記憶。

    やさしい父母と、仲のいい弟の哲生、ひとりで住んでいるおばのゆきの。
    温かい家族に囲まれて育った弥生の心にときどき潜む空間の意味。

    本当の肉親が誰であるか、わかってしまったときから
    弥生はおばのゆきのを探しに出て、得たもの。

    読みやすぅーい。

    誰かを探しに行くで、江國香織のなつのひかりを思い出した。

    これってきっとこれからが大変だよね現実だったら。
    吉本ばななって初めて読んだ!)^o^(

  • 『彼の声は闇によく通り、まるで光る道のように鮮やかに夜空を満たすように思えた。聞いていて安心するトーンの声だった。それは哲生が私をとても好きだからだろう、と私は思う。かんたんなことだ。私も哲生をとても好きだからだろう。』

    『何か、今日って夜がすごくきれいじゃないか? 明かりの感じとかさ、いつもと違わない?』
    『うん、そう思うわ。ー きっと、空気が澄んでいるからよ、今夜は。』

    『その電話は特別な電話で、秘めていたことはすべて言葉の裏側から通じ合ってしまうような錯覚をした。』

    『どうした、人でも殺しちゃったのか? そういう感じだよ。』

    『するとしないでは何もかもが180度違うことがこの世にはある。そのキスがそれだった。』

    『来てくれてありがとう。あなたの行動力を私は称える。』

    『もう、二度とない、貴重な。一度きりの。』

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著者プロフィール

吉本ばなな(本名:吉本 真秀子 よしもと まほこ、旧筆名:よしもと ばなな)
1964年、東京都生まれの作家。日本大学芸術学部文芸学科卒業。卒業制作の「ムーンライト・シャドウ」が日大芸術学部長賞を受賞。また「キッチン」で第6回海燕新人文学賞を受賞、デビュー作となる。
1989年『TUGUMI』で山本周五郎賞を受賞。1996年イタリアのフェンディッシメ文学賞(35歳以下部門)、1999年イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門を受賞。2000年『不倫と南米』でBunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。その他代表作に、映画化された『アルゼンチンババア』などがある。
海外での評価が高く、著作が多くの国で翻訳されてきた。

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