キッチン (角川文庫)

著者 :
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レビュー : 1589
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041800089

感想・レビュー・書評

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  • 家族を無くした人生の孤独を感じました。
    でもそんな孤独の中で、しっかりと自分を保って、プラトニックな関係を温めていくみかげと雄一がただただ羨ましい。

    みかげさんはスクールに料理を習いにきた女の人たちを見て、『幸せを生きている人たちは本当に楽しいことを知りはしない』みたいなことを言うけれど、人生の楽しみや充足に本当とか本当じゃないとか、そんなことあるのかなと思ったりもした。
    寂しい想いをしてきた分、私は彼女たちより本当の楽しみを知っているんだ、って。そういったところに顔を出すちょっとしたささくれみたいなものが、綺麗過ぎなくて好きだけれど。

    えり子さんの手紙では、人の気を引こうとして、人の嫌がることをしてしまう人のことが書いてあって、何だか自分のことを言われているようで、胸を突かれました。

    この作品を通して感じたのは、やっぱり人間が最終的に行き着くところは、恋とか愛みたいに情熱をもって語られるものじゃなくて、家族的な穏やかさなのかな、ということでした。

    隣に寄り添ってくれる人ってありがたいものだったんですね。
    それを強く感じるのは、失ってしまってからってのが悲しいところです。

    私もいつかそういうものを失ったり、手に入れたりするのかと思うと、時間が止まって欲しいような、進んでほしいような、やりようのない感情がふつふつと沸いてくるのを感じました。

    ムーンライト・シャドウは恋愛の絡んだ話のようだったので、なんとなく、キッチンから受け取った静謐な雰囲気を壊したくなくて、読むのはしばらく後にしようと思ったわけです。
    それくらい、キッチンの読後感が良かったということかもしれません。

    もっと早く出逢えてたらな、と思った作品でした。

    ・追記

    しばらく時間をおいて、ムーンライト・シャドウも読んだら、思っていた話と全然違いました。

    四年間連れ添った恋人との死別を乗り越えるまでの悲しいストーリーに、共感を覚えました。
    離別してみるとその人との時間が急に貴いものに感じたりすることはありますね。
    どうしてもっとよくしてやれなかったんだろう、と後悔したり。
    過去の思い出が甦って心がくすんだようになってしまったり。

    死別ともなれば、相思相愛で引き裂かれるのですからつらさは倍増でしょうね。

    でも、人は皆いつかは誰かとお別れをしなきゃならない。
    すれ違いの中に生きているんだということを強く感じさせられました。

    一生添い遂げる、想い続けるみたいな恋愛がしたいと思った時期もありましたが、そんなのは幻想なのかもしれない、そんな風に思い始めた頃合いに読んだので、とても琴線に触れました。

    後悔を残さないためにも、隣でなんの気なく笑ってくれる人達を大切にしようと思える作品でした。

  • 読み終わると不思議な感覚になる。
    暖かい気持ちになるような、とてつもなく寂しい気持ちになるような・・・。
    どう言葉にするのが適切なのか分からないけど、とにかくすごくよかった。

    分かるような、分からないような。
    希望のような、絶望のような。
    笑いたいような、泣きたいような。

    何だかそんなものを感じました。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「読み終わると不思議な感覚になる。」
      へぇ、、、よしもとばななって、ちゃんと読んだコトがなくて、近々初挑戦?
      「TUGUMI つぐみ」と「パ...
      「読み終わると不思議な感覚になる。」
      へぇ、、、よしもとばななって、ちゃんと読んだコトがなくて、近々初挑戦?
      「TUGUMI つぐみ」と「パイナツプリン」を読もうと思ってます。その次は「キッチン」にしようかなぁ~
      2013/07/31
  • 読まず嫌いで読んでいませんでしたが、とうとう読んでしまった!

    感想→マジメに泣いた。

    すごくイイ。ごめんなさい、私が間違っていました。
    一気にファンになりました。

  • 吉本ばななさん、初めて読んだ。
    近い人の死を乗り越える、2件の話構成。
    感性フルな作家さん。好きになった。

    1件目。主人公はこの世で一番台所が好き。どこのどんなのでも、それが台所であればつらくない。いつか死ぬ時が来たら、台所で息絶えたいと思う。心を安らかに保つ場所が、彼女にとっては台所。一般的ではなさそうな場所を、それでいいとして設定するところがまず、いい。

    30年も前に書かれた本に、愛した女性の死を乗り越え性転換した男性を登場させるところも、いい。万年筆と恋人に対する愛情が同質な人もいるかもしれない、という表現で、愛の質や重みを本人以外が量ることなどできないと触れるところも。
    生まれてからずっと幸せを生きる人がいる一方で、主人公は死を孤独を常に近くに感じて生きてきた(と、本人は思っている)。切り立った崖っぷちを歩き、国道に出てほっと息をつき見上げる月の美しさを知ってしまった主人公は、だからこの先も後者の生き方をしたいと思う。いい。

    2件目。突然恋人を失った主人公。恋人と兄を失った、恋人の変わった弟。大事な人を失っても日々は続いていくから、ちゃんと切り替えなきゃいけないという普通の話なのだが、その境地に至るまでの描き方がいい。主人公の最後の語りが特に好き。

    2件とも、多様性をそれでいいとして、むしろ魅力的なものとして描いている。いい。日に当たって生きる人にはもしかするとわからない次元の感性が描かれている。死を乗り越える話なのに、暗くないところも好きだ。

  • キラキラがちりばめられてる。


    んー!
    ムーンライト・シャドウの方が好きかも。
    素敵な言い回しや、描写や、表現が沢山あって、
    凄く好きだった。
    何度も何度も読み返したい。

    そののちのこと
    も良かったなあ。

  • キッチンも素敵なお話やったけど、「ムーライト・シャドウ」がより素敵で心を掴まれた!!
    まだ、家族以外の大切な大切な人との別れを経験した事ないけど心の辛さとかギューってなる感じがヒシヒシ伝わってきて、最後のありがとうがかなり染み入った。
    2作ともとっても綺麗な素敵なお話やった。

  • 2回目読了。
    人の死と、そこに佇む場所を絡めたストーリー。心にグッとくる作品だ。また読み返すだろう。

  • 昔 読んだような気がするけど新たな気持ちで読んだ(笑) 文章も感性もやっぱり初々しいし瑞々しいし清々しいね♪ 当時バカ売れした記憶があるけど、それだけのものがありますね。今読んでもまったく色褪せていない!

  • 中学くらいに初めてこの本で現代文学的なものを読んで、それまで読んでいたものとの字体や次元の違いにとまどった。でもなぜかそれまでの自分とはかけ離れているけれどなんとなくわかるようなさみしさや強さを感じる世界に憧れ、ずっと手元に置いている大切な本。

  • キッチンを読んでみかげが雄一にカツ丼を届けに行ったときにふたりが繋がったって感じました
    勝手にわたしは吉本ばななさんの本に人と人の心が繋がる瞬間を感じるのですが、その吉本ばななさんの本の人と人の心が繋がる瞬間がすごく素敵で大好きです

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著者プロフィール

吉本ばなな(本名:吉本 真秀子 よしもと まほこ、旧筆名:よしもと ばなな)
1964年、東京都生まれの作家。日本大学芸術学部文芸学科卒業。卒業制作の「ムーンライト・シャドウ」が日大芸術学部長賞を受賞。また「キッチン」で第6回海燕新人文学賞を受賞、デビュー作となる。
1989年『TUGUMI』で山本周五郎賞を受賞。1996年イタリアのフェンディッシメ文学賞(35歳以下部門)、1999年イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門を受賞。2000年『不倫と南米』でBunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。その他代表作に、映画化された『アルゼンチンババア』などがある。
海外での評価が高く、著作が多くの国で翻訳されてきた。

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