- Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041804131
作品紹介・あらすじ
49年連れ添った両親が離婚を宣言。が、これからも生活は今までどおりだという。息子、娘たちは理由がさっぱりわからず、それぞれの家族を含めて、大騒ぎに。どうやら、長年世話になった家族同然の女性に遺産を分けるためらしいが…。それぞれの思惑と愛情が交錯して、意外な結末にたどり着く。読売新聞夕刊に連載したユーモアあふれ暖かみのある家庭小説の文庫化。
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
「母さんと離婚しようと思う」から始まる、子供たちの奔走を横目に、父親の作戦が始動する。
なんてことはない普通の小説である。帯の「遺産相続の仕方」というのに引っ張られると、若干ハマるのではないかと思われる。
さて、ブクログの評価は低いようだが、個人的にはなかなか面白かった。というのも、SF読みにとっての「思考実験」という意味ではそこそこ成功しているのではないかと思う。遺産相続の計算というベースがあっての作品だろうが、そこに周りのヒューマンドラマを絡めてくるので、退屈せずに読める。
読み始めに引っかかるのは、父親夫婦と妻のいとこ、息子、娘x2の各家族に加え、息子娘夫婦にそれぞれ2人ずつ子供がいることであろう。これから読む人にアドバイスをするとしたら、父と母、母のいとこ、息子、息子の嫁、娘(と旦那)の7~9人に注意しておけばよろしい。それぞれの孫世代や会社の人間などはほぼ出てこないので、それ以上は無視してもよい。
おそらく、面白くなかったという評価は、その登場人物が把握できなかったからではないかと思われる。
上記の関係ない人たちとした人物たちは、予想通りに問題を起こして状況に変化を加えるわけだが、いうほど引っ掻き回されない。
難を言うなら、もうちょっと事件が起こっても良かったかな。