不倫 (角川文庫 ひ 8-9)

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  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041835098

作品紹介・あらすじ

売れないエロ小説家、力石理気子。美人なのに独身で、しかも未だ処女の彼女が、ひたすら「セックスをしてくれる男」を捜し求めて奮闘する、生々しくもおかしい、スーパー恋愛小説。

感想・レビュー・書評

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  • 女は強い。女はシビア。
    改めて、そう感じた一冊。

    主人公の理気子は、男性経験のない34才ポルノ作家。
    その肩書き(?)を聞くと、容姿が著しく悪いのかとイメージしてしまうけど、そうではないように思わせる描写も。
    長身で、怪力であることは間違いないようですが。

    彼女は、自身には女としての魅力が著しく欠けているのではないかと考えており、けれど、とにかく経験はしておきたい、という願望を強く抱いています。

    そんな彼女が惹かれ、そんな彼女に惹かれた男性は、妻帯者でー。

    とにかく面白おかしい一冊。けれど単なる、薄っぺらなラブコメではありません。

    恋愛中の盲目・陶酔・自己保身…そういったものが、恋愛中であるはずの理気子の視点できちんと分析されていて、そして、こんな分析ができてしまう自身がやはり、女としての魅力に欠けているという思考に落ち着く…
    そんな書き方が、この作品にはとてもちょうど良く、ふむふむ、参考になるなと思ってしまいます。

    恋愛をすると「分からなくなる」人とそうはならない人がいる。何となく、頭では分かっていたけれど、この作品を読んで、すっきり理解できました。

    好きだから分からなくなるという言い訳で、自己保身をし、言い訳をし、意志力のなさ・覚悟のなさをひた隠し、そんな自分を見ない事にして、恋愛という現象でちょっと美化して語る。
    それができれば、きっと楽。

    無意識にしてるのが男性で、自分でも気付かずに、そう演じられるのが女性。
    ※もちろん、そうではない人もいるけれど。

    やっぱり女は強くてシビア。

  • 2017年4月9日再読了。※ネタバレあり※
    官能小説家でありながら実は高齢処女の主人公。軍人の家に生まれ、一人娘なのに祖父に武道を叩き込まれ、男女の友情が成立してしまい、恋愛に発展せず。読者からの不倫相談にも「男とずるずるした関係になれるだけの女の魅力がある」と羨む。そんな彼女が人生初めての不倫を経験!するが、どうも「わけわかんなくなるくらい好き」なのが理解できない。だって仕事あるし病人の世話も確定申告もせなあかんし。でも相手の男がフランス式に悩んでわけわかんなくなっちゃう。これ男女逆転?wと悩む主人公。
    とにかくおもしろく読んだ。でもラストでは、しっかり主人公の悩みの核心に迫っていて深い。「丸三日以上、自分以外の人間が80m2にいない状態」を経験したことのある人間の「ひとり」と、経験したことのない人間の「ひとり」は違う。だから不倫を「私はレンタルでじゅうぶんなの」と言う。霞さんのキャラ良かったなぁ。

  • おもろい!笑笑

    処女にして、官能小説作家の力石リキ子。しかもオーバー30。すでに設定からしてそう。甘くくど〜い恋愛小説なんてもってのほか。力石にかかればちゃっちゃとヤりたい。

    もしくは微妙に話の噛み合わない男に心の中で爆笑しつつ、10セットでゲームセットなんだから早く次いきましょー。と、なんともサバサバとした力石リキ子の姿についつい魅了されてしまう。
    そんな力石さんは処女にして官能小説作家っていうね。

    うまぃなぁ。うまい。

    噛み合わない男とのやりとりもうまいし、ちゃっちゃとヤりたい力石を口説いてどーにかしようという男の回りくどい意味のない言葉の羅列の描き方もうまい!

    それをリキ子は28字で要約してしまったり、彼から来たラブレターに赤ペン入れたり、恋愛と結婚、恋人と妻などへの考え方の潔いこと。よいこと。

    リキ子乾杯。

    リキ子万歳。

    リキ子の大ファンです。

  • 姫野さん、やっぱ好きやわ〜(大阪のおばちゃん風)!!言葉遊びが満載。つべこべ言わずに、それを楽しむべき。

    主人公は34歳、身長170cm、武道有段者で処女の力石理気子。
    これだけでもツボ(((^_^;)

    そして、初ロマンスのお相手、外見良しで既婚、振る舞いがまるでフランス人な霞雅樹。

    まったくもって魅力のない霞。知性ゼロの話の長いカス男。しかし、中身が乙女な理気子の傾倒ぶりが笑える。

    ラストで、本来の自分を取り戻しての行動が痛快(^^)v

  • 「処女三部作」のラストらしい。
    文体に馴れなくて面食らったけど、徐々に馴れた。1,2も読んでみようかな。

  • 「ぼくは好きになったらその女といつもいっしょにいたい。だからいっしょに暮らしたい。部屋にいて、とくになにかをふたりでするわけじゃない。かたほうが本を読んでいて、かたほうはうとうとしていたりする。そうすると、うとうとしている耳に、本のページを繰る音がときおり聞こえたり、聞こえなかったり、そんな時間を持っていたいと思う」
    「私は……レンタルでじゅうぶんなの」
    どちらもとても解るから困ったもんだなと。

    そういうの置いといて、初めて姫野カオルコさんを読んだ時は独特な文章について行きづらいなと思ったけど、なんだか読んでいるうちにどんどんはまってきた感じがする。これが4作目か。たぶんほかのも読むだろうな。

  • 不倫と書いてレンタルと読む。
    そうか、そうか。
    要するに不倫っていうのは、相手をレンタルする(貸していただく)ってことか。

    「いや、違う。出会うのが遅かっただけで、本当に純粋な愛なの」っていう方もいるとは思いますが、気持ちはさておき形態としては、不倫ってレンタルなのね。
    そう思うとのぼせあがっていた気持ちがさめる人もいるのではないかしら、と思ったり。

    主人公の力石理気子のように、30過ぎて処女だと焦る気持ちはまだ想像もできるけど、だからと言って相手を好きであると自分に暗示をかけてまで恋愛関係に持ちこむ気持ちっていうのが理解できない。
    作者も多分「恋愛至上主義、ばかばかしいよねえ」って思いながら書いているのだろうけれど。

    そのばかばかしさの最たるものが、相手の男・霞 雅樹だ。(苗字と名前のあいだには必ずブランクが入る)
    フランス式(作者命名)の持って回った無意味な文章が、句点でつながれて延々と続く。
    ああ、フランスねえ。
    フランス文学もフランス映画も苦手だからなあ。
    と一歩引きながらも、基本的に姫野カオルコの小説は小気味がいいのでさくさく読める。
    「ぢん・ぢん・ぢん」より、はるかに愉快に読みました。

  • 軽薄さと甘ったるさにチョップ!
    けど、軽薄さと甘ったるさを取ったら、世の中はスカスカになっちゃうなぁ。
    「しおしおのぱー」が思いの外、面白かったから、星を五つにしよう。

  • 「ドールハウス」「喪失記 」と順を追って “処女三部作”を読了しました。
    前の二作に比べるとほんのり滑稽さがあって、読みやすかったです。

  • ブクログだったかな、どこかの記事で推薦本になってたので読んでみた。官能小説でもなければ、読ませるストーリーもない、なぜこの本が推薦されていたのか、とっても疑問である。

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著者プロフィール

作家

「2016年 『純喫茶』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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