蕎麦屋の恋 (角川文庫 ひ 8-12)

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  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041835128

作品紹介・あらすじ

秋原健一、四十三歳、ふつうの会社員。波多野妙子、OLを辞めた三十歳。それぞれに過去の小さくも苦い思いを抱えた男と女は、通勤の京浜急行で出会い、途中下車した駅の蕎麦屋でせいろをすすり、ただテレビを観る。淡く、不思議な甘さに包まれながら-。爽やかな感性の触れあいを描いた表題作他二編収録。日常に潜むふとした喜びやせつなさを掬い取った可憐な短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 一緒にテレビをみたい。
    そんなことってあるのかな? と思いましたが、でも可愛くていいですね。
    ちゃんとした理由がありました。

    モテる男がでてきますが、いいな~、もったいないな~
    世の中そんなにもてる男がいっぱいいるのか、、、
    いーなあ、といろいろ考えながら読みました。

    第一印象で決まるところも多いですよね。
    それって中身をほとんどみていない、ってことでしょ?
    男と女って、残酷だ。

  • 最近、新書や対談ばかり読んでるから、小説サイドにズレたい感覚から、女性作家の短編という、読みやすそうな着地点へ。しかし、40のオッサンが、恋と名の付く、カオルコと名乗る人の本を電車で読む勇気をわかって欲しい。

    姫野カオルコの本は、「リアル・シンデレラ」以来。短編は初。

    なんて言うんだろう、気持ちの良い読後感。
    アッパーでもダウナーでもない、ニュートラルって気持ち良いよねー、って感じ。恋だからって別に燃え上がらなくても良いし性行為の描写が無くても良いやん、バックバク心臓打たんでも燃え上がるほどヒート!しなくても良いやーん、って感じ。

    女性作家が書いた、村上春樹短編的な?違うかな。
    恋とか性に対しての距離感が春樹っぽい気がします。いわゆるデタッチメントってのは違うけど、それは恋とか性に対する基本的なスタンスとかベクトルの男性/女性の差なのかな。距離は同じでも距離感は違うというか。

    こういう作品に対して、男女で読後の感想を語り合ってみたいです。

  • 姫野節はあまり感じなかった。小川洋子みたいな読後感。

  • 読み始めた前日に、京急に乗って葉山まで行ったので、ご縁を感じる本でした。

  • 2015 2/15

  • 姫野さんの本は2冊目。ツ、イ、ラ、クで受けた衝撃には遠く及ばず、あっさり目でしたが、これはこれで面白かった。少しファンタジックな現実味に欠けるふわふわしたお話ですが、女性の視点がさっぱりしているのに比べて、登場する男どもの疑似恋愛体質ぶりが面白かったです。

  • 3品の短編集。感性が心地よい。やはり表題作がいい。こういう恋もあるんだ、と新しい発見をしたような気分になった。

  • 二冊目の姫野カオルコである。
    当時小学生の頃、購読していた雑誌で推薦されていた『変奏曲』を読んで(あれは小学生が読むべき本ではまったくなかった)以来。

    あらすじを読んでこんなしっぽりした話を書くのか、と思ったけれど、案の定淫靡なテンションの作品だった。
    具体的な描写はないけれど。

    表題作の『蕎麦屋の恋』は、43歳のサラリーマンと30歳の料理人を目指し脱サラした女が親密になっていくまでを描いている。
    二人は京急線ユーザーで互いに存在を知っていて、ふとしたきっかけで言葉を交わすようになる。
    ただ二人が接触するのは後半部で、男女それぞれの過去に起こった出来事を掘り下げている。

    男はなんでそんなに?というほどモテる。
    彼に魅力を感じきれず、なんか違和感があった。ここまでモテる設定にしないほうがよかったのではないかと思う。
    女の方は、父親の歪んだ教育観に多大な影響を受け、”TVを誰かとみる”ことに異様なほど価値を置く。
    恋愛というもの、女性であることがピンときていない感じの女と、プレイボーイの男(と彼がこれまで出会ってきた女達)のズレがよかった。
    ただ、タイトルは『テレビの恋』の方が内容的に正しいのではないか。まったく風情はないけれど。

    『お午後のお紅茶』
    バイセクシャルの美容師が自身の過去を振り返る物語なのだが、”ポプリ”という名で自然派を気どりながらもポーズだけで中身がズレているレストランとその女店主の滑稽さを描いている、らしい。
    というのも解説を読んで、ああそうなのかと思ったから。
    こういう系の物語はイマイチピンと来ない。

    『魚のスープ』
    結婚三年目の夫婦がスウェーデン旅行をする話。
    夫は”平均的ないい夫婦”である自分と妻の現状に満足していて、そろそろ子供も作ろうと思っているが、それは妻への愛情や子供への欲求よりも”あるべき姿”になることを求めている印象がある。
    その理由が物語でわからなかったのがイマイチ入り込めなかった。
    スウェーデンに赴任している女友達との微妙な綱の引き合いと、妻への覚めた目が印象的だった。

  • 直木賞受賞作家を、図書館で借りる。価値観のギャップが面白い。例えばバイセクシャルであることのような驚く話がさらっと、炬燵でTVのようななにげない話がガツっと描かれる。世間に囚われない軽やかさがいい。

  • 製薬会社の経理部課長、秋原。43歳の平々凡々な男なのに、新入社員のお嬢さまやら年上のキャリアウーマンやらにやたらともてる。
    一方コックを目指す31歳の波多野妙子は家庭の団欒に飢えた一風変わった女性。
    二人は通勤に使う京浜急行の中で出会い…。
    二人のキャラクターも出会い方も直球の恋愛小説とはほど遠いのだが、なぜか和む。
    表題作の他に収められている「お午後のお紅茶」と「魚のスープ」もなんとも言えないおかしみがある。解説(石田衣良氏による)にもあるが、作者の好き、嫌いをやわらかく、だけどストレートに伝えてくるあたりが心憎い。

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著者プロフィール

作家

「2016年 『純喫茶』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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