ツ、イ、ラ、ク (角川文庫)

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  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2007年2月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (540ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041835142

ツ、イ、ラ、ク (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 最後のページを読み終えたとき、「なんだ、この話?」と思った。
    つまらなかったのではない。面白かった。すごく。
    そう思ったのは話の展開が全く読めず、どこへ連れて行かれるのか分からず、
    最後は予想もできない着地点で、予想もできない感情に心が支配されたから。

    小学2年生の、とあるクラスの様子から始まり、
    ひとりひとりのキャラクターや関係性が丁寧に書き込まれる。
    中でもひときわ底意地の悪い女の子が登場するので、
    「彼女が主人公か?」と思ったりする。
    でもスポットの当る子が次々変わり、「あぁ、群像劇か。」と思いきや、
    中盤に差しかかる頃、ぼんやりと主人公が浮かび上がってくる。

    彼らは成長して、高校生になっている。
    教師とつき合う主人公・隼子。
    だけどそこには恋愛は無く、あるのはただ肉欲だけ。
    人の道に反したこの二人に嫌悪感を抱くのだが、
    徐々に恋愛感情が生まれ、心底隼子にハマってしまった教師が、
    人間らしさを取り戻す別れのシーンはグッときた。
    それから数年後、運命の再会。そしてラストシーン!
    切なかった。心を掻き乱すほどに。
    あの隼子に100%共感する自分がいた。

    最後の文章「それが恋というもの」を読んで「完」の字が目蓋に浮かび、しばし茫然。
    そこから現実に引き戻された時、前述の感情が浮かんだ。
    不安定な気持ちをグイッと掴まれ、ぐるんぐるんと振り回して放り投げられ、
    落ちたところは甘美な世界。なんだこれ?みたいな。
    いやぁ、やられたなぁ。姫野さん、すっかり持って行かれましたよ。

  • こんなに「続きが読みたい」と思うとは、思っていなかった。
    最初は独特のテンポや比喩のお陰で、何のことを言っているのか、どういう意味なのか分からなくて、しかも私が知らない言葉がこれでもかと出てきて、話の面白さとは別に読みにくいなーとは思った。
    新選組の喩えは好きなので分かりやすかった。

    小学校低学年から始まり、低学年なのにこんなに色恋のこと話題にしてたっけ、と思ったけど、思い出してみたらそんな会話してたなと。

    あとがきにも解説にもあったけど、これは大人が読んで面白い話。私のようにもう子供でもないけど、34歳の大人でもない年齢では、中途半端なのか、共感できるということはなかった。その代わり、過ぎ去った子供時代を思い出すことはできて、懐かしかった。
    大きくなったら、子供の時は気楽でいいなんて思うかもしれないけど、子供は子供でその世界が全てなんだし、子供だから大人の言ってることが分からないなんてこともない。ちゃんと考えてるし、感じている。だから「噂」になったら、もうその世界では生きていけないんだと思う。

    私は隼子みたいな大人びた子供の気持ちは分からないけど、河村先生が魅力的に見えるのは分かる。私が学生の頃は20代の先生ってほとんどいなかったけど、きっと若くて大人っぽくて落ち着いていて、それだけで憧れちゃうだろうなって。
    読んでいるうちに、中学生と先生が恋愛して何が悪いのかって思ってくる。それぐらい二人は惹かれてたのに。
    隼子が熱を出して先生に送ってもらうところや、美術準備室の場面がすごく好きだなあ。

    三ツ矢のような嫉妬する人間はどこにでもいる。そこじゃないでしょっていうところに、攻撃して、壊そうとする人間が。好きの度合いが高ければ余計に。だから客観的に自分を見られない人は怖い。

    隼子と先生は一旦別れたけど、その直前にお互いのことが好きだと実感していて、それが切なかった。私はもう二人のことを応援してしまっていたから、なんで離れないといけないのか全然わからなかった。

    最後、大人になってから再開するけれど、二人が幸せになるならそれは良かったのだけど、急に現実的というか、夢から醒めたような気になって、あぁ子供時代って特別なんだなーと思った


    この話の舞台はどこなんだろう、大阪や京都でないし、言葉を見る限り兵庫和歌山奈良も違うので、滋賀かな?
    セピア色がよく似合うお話。

    20161119

  • 誤解していた。
    この本は若い子向けだって。
    敬遠していた。
    けど、あとがきと解説に書いてあった。
    この作品を最もよく理解出来るのは、40代以上の大人でしょう、と。

    最初から違う。本当に途中まで、誰が主人公なのかわからない。
    だけど、懐かしくて堪らない。あの頃はそうだった。同級生達が全員、誰かと重なる。

    そして、一人浮かび上がってきた隼子。
    何を隠そう、私も早熟だった。海外アーティスト相手の妄想。英語の歌詞を訳して、勝手に自分への応援ソングにしてみたり。
    とにかく、隼子に関しては入り込んで読めたよ。

    初めてのシーンの河村先生は良いね♪23歳の男が余裕をなくし、「だめだ。俺、こいつにまいってる。」なんて。
    そして、墜落した二人は犯ってヤって犯ってヤって…やりまくって、体重減るまで(笑)
    それでも、純愛。お互いを思いやり、潔く別れを選ぶ。お互いを守るため、嘘をつき通す。
    こんなにも胸が痛い小説だったとは!

    そして20年後…こうなったらいいなぁ、を裏切らない結末。
    苦笑い出来たら大人の証拠らしいですが、泣き笑いはどっちですか?

  • 読むのは5回目。直木賞受賞を機にまた。
    同じ所でまた泣く。

  • とても不思議な構成の物語。子供時代の描写は、隼子の思想がませているとことか、群れたがる女子にうんざりするとことか、非常に共感モード。で、思春期になると隼子がモテ出して、ここで共感終了w 美人ではないけど足がすらりとしていて、ボーイッシュな服をかっこよく着こなす、大人っぽくてモテる隼子のイメージを頭の中に描くのがとても難しかった。芸能人だとしたらどんなタイプなのかなー。 で、私が大好きなのは、中学校の教師とつきあい初めて急激に大人になってしまった隼子が、河村先生に別れを告げられるシーン。先生は、高校卒業まではもうセックスはするなと言い、勉強を頑張れという。そして別れた後、先生は教師を辞めて責任をとる。ここの別れ際の美しさにはヤられました。隼子が「今日できっと最後なんだ」と薄々気づくとことか、とても大人っぽくていいんだよね。それと隼子の人生に傷がつかないようにサポートしてくれる小山内先生の存在も素晴らしい。でも本当にこんなことあったらびっくりだよ!だけど世の中にはあるんだろうな。
    タイトルのツイラクというのは意図せず突然恋に落ちることを指しているわけだけど、道ならぬ恋の場合は、そこからはいあがる必要がある。(ここからは私の解釈) 堕ちっぱなしでいるわけにはいかない。はいあがる為には、知力が必要なんだと思う。「家族」も墜落から引き上げてくれる存在としては非常に大きいけど、隼子には本当の両親がいなかった。私が子供時代を振り返ってみると、片親の子って色気のある子が多かったと感じる。隼子も両親がいないことで、色気がにじみ出ていたんだろう。家族がいなくて色気がある隼子は、墜落から這い上がる為には知力を味方にするしかない。身を挺して「勉強するんだ」と隼子に教えてくれた河村は、なかなかいいやつではないか、と読み終えて思うのでした。登場時はチャラい感じでいけすかないんだけどね。子どもを描いた話だけど、30過ぎた人間が読むといろいろな読み方ができるので、とっても面白いです!

  • そうですか 
    良いですか 
    どこが良いのか、わかんないなあ 

  • ものすごく、よかった。姫野カオルコ初めて読んだ。たぶん直木賞取らなかったら一生読まなかった。直木賞とったから、本屋に平積みされてた「ツ、イ、ラ、ク」を買って読んだ。読んでよかった。
    小学生から大人になるまで、必要な部分は丁寧に、飛ばしていいところは駆け足で描かれている。読み終えて、そうどなあ、こういうのだったなあ恋、と思う。別にいまだってしてるけど、恋。改めて。
    そばで見ているような気持ちで、主人公のジュンコを応援してしまう。息を潜めて。応援といっても、いまだいけ!とかそういう分かりやすい応援は彼女にはできなくて、じっと、祈るよう感じで見守る。
    いい小説だった。この物語に出てくるのはわたしたちだと思った。誰もが、この物語の中にかつての自分を見つけると思う。

  • 多数の登場人物をわずかな台詞と説明とで輪郭を際立たせ、読者がみな過去過ごしたであろう小さな世界での小さかったり大きかったりするとうに忘れてしまっている出来事をオーバーラップさせる文章でぐいぐい引き寄せて一気に読ませる。

    さらさら読める箇所と、比喩や一見まわりくどい言い方の箇所とのバランスがとても良く心地いい。

    主人公の視線と、周りの人物の視線とが次々変わっていくなか、筆者に翻弄される感じがいやじゃなくて、誰の視線なんだろうって一生懸命あたまをぐるぐるさせながら置いてかれないように読むのがとても楽しかった。

    行為が先にあって、別れる直前に同じ事に気づくふたりのさまが哀しくて切なくて泣いた。

    おとなになった三ツ矢くんと東京に帰る前の隼子の会話が哀しくて哀しくて哀しくてしょうがなかった。

    「二十年目のコーヒー代を彼の充足にすべきなのか、自分の充足にすべきなのか。彼の幸福はどちらなのか」

  • 良かった…数日嵌り込んでしまった。
    切なくてどうにかなりそうだった。
    私もこのほんにツイラクした。

  • この本に書かれていることが私の人生のすべてだとさえ思う

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