ツ、イ、ラ、ク (角川文庫)

  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (540ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041835142

作品紹介・あらすじ

地方。小さな町。閉鎖的なあの空気。班。体育館の裏。制服。渡り廊下。放課後。痛いほどリアルに甦るまっしぐらな日々-。給湯室。会議。パーテーション。異動。消し去れない痛みを胸に隠す大人達へ贈る、かつてなかったピュアロマン。恋とは、「堕ちる」もの。

感想・レビュー・書評

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  • 恋愛小説だと思いますが、単なる恋愛小説ではありません。高校生や大学生が読む恋愛小説ではなく、ある一定以上の時間を社会に出て過ごし、さまざまなことに疲れを少しでも感じたことがある年齢になったときに読む恋愛小説だと思います。10代の人が読むのと、30代後半の人が読むのでは、この小説の主人公と彼、あるいは周囲の人たちの心の動きについての感じ方がまったく違うと思います。個人的には30代後半になってから読むのが良いかと思います。ただ、いろいろな人がいますので、10代の人が読んでも考えさせられることも多くあるのではとも思います。

    作品の内容は学生と教師の恋愛、恋というものを心と体で覚えていく主人公のお話です。ちょっと興味深い部分は、視点が主人公だけではなく、登場するすべての人々の視点で話が進んでいく部分です。ちょっと分かりにくいと感じる部分もありましたが、いろいろな人の切ない胸の内が感じられました。

  • 最後のページを読み終えたとき、「なんだ、この話?」と思った。
    つまらなかったのではない。面白かった。すごく。
    そう思ったのは話の展開が全く読めず、どこへ連れて行かれるのか分からず、
    最後は予想もできない着地点で、予想もできない感情に心が支配されたから。

    小学2年生の、とあるクラスの様子から始まり、
    ひとりひとりのキャラクターや関係性が丁寧に書き込まれる。
    中でもひときわ底意地の悪い女の子が登場するので、
    「彼女が主人公か?」と思ったりする。
    でもスポットの当る子が次々変わり、「あぁ、群像劇か。」と思いきや、
    中盤に差しかかる頃、ぼんやりと主人公が浮かび上がってくる。

    彼らは成長して、高校生になっている。
    教師とつき合う主人公・隼子。
    だけどそこには恋愛は無く、あるのはただ肉欲だけ。
    人の道に反したこの二人に嫌悪感を抱くのだが、
    徐々に恋愛感情が生まれ、心底隼子にハマってしまった教師が、
    人間らしさを取り戻す別れのシーンはグッときた。
    それから数年後、運命の再会。そしてラストシーン!
    切なかった。心を掻き乱すほどに。
    あの隼子に100%共感する自分がいた。

    最後の文章「それが恋というもの」を読んで「完」の字が目蓋に浮かび、しばし茫然。
    そこから現実に引き戻された時、前述の感情が浮かんだ。
    不安定な気持ちをグイッと掴まれ、ぐるんぐるんと振り回して放り投げられ、
    落ちたところは甘美な世界。なんだこれ?みたいな。
    いやぁ、やられたなぁ。姫野さん、すっかり持って行かれましたよ。

  • とても不思議な構成の物語。子供時代の描写は、隼子の思想がませているとことか、群れたがる女子にうんざりするとことか、非常に共感モード。で、思春期になると隼子がモテ出して、ここで共感終了w 美人ではないけど足がすらりとしていて、ボーイッシュな服をかっこよく着こなす、大人っぽくてモテる隼子のイメージを頭の中に描くのがとても難しかった。芸能人だとしたらどんなタイプなのかなー。 で、私が大好きなのは、中学校の教師とつきあい初めて急激に大人になってしまった隼子が、河村先生に別れを告げられるシーン。先生は、高校卒業まではもうセックスはするなと言い、勉強を頑張れという。そして別れた後、先生は教師を辞めて責任をとる。ここの別れ際の美しさにはヤられました。隼子が「今日できっと最後なんだ」と薄々気づくとことか、とても大人っぽくていいんだよね。それと隼子の人生に傷がつかないようにサポートしてくれる小山内先生の存在も素晴らしい。でも本当にこんなことあったらびっくりだよ!だけど世の中にはあるんだろうな。
    タイトルのツイラクというのは意図せず突然恋に落ちることを指しているわけだけど、道ならぬ恋の場合は、そこからはいあがる必要がある。(ここからは私の解釈) 堕ちっぱなしでいるわけにはいかない。はいあがる為には、知力が必要なんだと思う。「家族」も墜落から引き上げてくれる存在としては非常に大きいけど、隼子には本当の両親がいなかった。私が子供時代を振り返ってみると、片親の子って色気のある子が多かったと感じる。隼子も両親がいないことで、色気がにじみ出ていたんだろう。家族がいなくて色気がある隼子は、墜落から這い上がる為には知力を味方にするしかない。身を挺して「勉強するんだ」と隼子に教えてくれた河村は、なかなかいいやつではないか、と読み終えて思うのでした。登場時はチャラい感じでいけすかないんだけどね。子どもを描いた話だけど、30過ぎた人間が読むといろいろな読み方ができるので、とっても面白いです!

    • 夢で逢えたら...さん
      comuchiさん、お久しぶりです。
      comuchiさんのレビューで興味を持ち、読んでみました。いや〜面白かった。
      解釈はその通りだと思...
      comuchiさん、お久しぶりです。
      comuchiさんのレビューで興味を持ち、読んでみました。いや〜面白かった。
      解釈はその通りだと思います。河村は隼子を墜落させたけど、自分の気持ちを封じ込め、
      這い上がるための示唆を与えた、あの別れのシーン最高でした。
      素晴しいレビュー有難うございました。
      2014/05/11
  • 生徒と先生の禁断の恋のお話。
    姫野カオルコさんの“彼女は頭が悪いから”を読みたかったので、先に一冊読んでおこうと思ってこの作品を読んでみた。
    終わり方が今まで読んだ恋愛を主題としている作品の中で1番好み。恋愛ものの本をおすすめするなら真っ先にこの作品をおすすめする。
    姫野カオルコさんの独特な言い回しや比喩がすごく好きで、この表現どうやって思いついてるんだろうと感心しながら読む場面が多かった。また、多分この言葉は今後の人生の中で何度も思い起こされるんだろうなという言葉もあり、少しの絶望感をもらえる。
    高校という小さな小さな社会の中、何も知らないピュアな主人公の鮮明なリアルさがすごく心に響く。
    痛いけど痛いと言えない。やりたくないのにやりたくないと言えない。現代はそういうことが多すぎる。それを痛く、目を背けたくなるほど突き刺してくる作品だった。

  •  読んでいる時は、まるで自分が学生になったみたいに、気持ちがざわざわする。いいことばかりじゃなくて、黒歴史みたいなものを思い出させてくれる。

     田舎の子供で、子供だから、田舎だから、世界が狭くて。同級生はずっと顔ぶれが変わることもなく、親同士の噂話も普通に入ってくる。

     その中で異質に感じるものは、誰かがクローズアップして、異質なものを受け入れられない声の大きな保守派から吊し上げられる。

     以前読んだ時は、もっと「恋は、するものじゃなくて、落ちるもの」というところばかり読んでいた。今読むと、恋に落ちた後のこと、見守る大人の目線になっている。美術の小山内先生のいなし方が好きだ。

     恋に落ちた2人の、別れの会話がとても切なくていい。別れなくちゃいけないことはわかってるのに、でも、でも。

     恋してる人も、恋、お久しぶりの人も、ぜひこのヒリヒリした感じを味わってほしい!

  • 地方の中学校が舞台の物語。
    登場人物は、クラスメイトと、先生と、そして家族。という、本当に小さな世界(サロン)での出来事を綴っています。

    スクールカースト。とか、学校内でのヒエラルキー。とか、最近いろいろ言われていますが、表現する言葉が新しくとも、昔から、私が中学生だった何十年前でも、もちろん、そういうのありました。

    クラスの中も、当然グループ化されてて、誰かが、意図的に振り分けた訳でもないのに、なぜか「同類」とみなされた人たちが自然と集まってしまう。という、なんとも不思議な現象。ですよね。

    グループでいることでの安心感と、自分は一人じゃないという充実感は、学校の規則を守ることなんかよりも、何倍も大事なことで、逆に、グループからはみ出す。ということは、裏切り。とか背徳。とか、とてつもない罪を背負ってしまう。ということだったような気がします。

    なんか今思うと、しょーもないことに、すごいエネルギーを使ってたなー。という感じ。
    でも、それがきっと『若さ』なんですよね。

    そんな、集団心理から、ふらりとはみ出した少女。
    それが、主人公・隼子。なのです。

    23歳の教師と恋に堕ちる隼子。
    唐突に『性』というものにツイラクして行くその様は、胸が張り裂けそうになるくらい、切ないものでした。

    好きだ。という気持ち。抱かれたい。という想い。は、大人になってしまうと、かけ引きの対象になってしまい、好きな人に真っ直ぐに向かって行く。ということが、出来なくなったりするのだけれど、だけど、恋。さえも、愛。さえも知らない隼子が、好きな人を求め続けようとする思いは、ブレーキがきかない自転車のように、坂道を滑り落ちて行くだけなんですよね。

    だけど、でも、恋ってそういうものなんだよな。なんて。
    日常の、ポッカリあいた穴に、すとん。と堕ちてしまう。それが、恋。
    恋とは、『堕ちるもの』なのです。

    あの頃は、学校という小さな、本当に小さな世界で、きっと誰もが、『特別』でいたかったんですよね。

    同じ制服を着て、同じような髪形をして、同じアイドルが好きで、同じ話題で笑ったりして。

    そんな同じタイプの子達が集まったグループの中で、みんなに波長を合わせながらも、心の中では、自分だけは特別なんだ。なんて、妄想を抱いていたような気がします。

    白馬に乗った王子様のキスで目覚めるのは、きっと私なんだ。みたいな。
    恋に恋して、夢を夢見て、そんなあの頃は、私の青春。だったんですよね。

    あとがきと解説にも書いてあるように、この作品は、紛れもなく大人の恋愛小説。です。

    登場人物の誰かに自分の姿を重ね合わせ、懐かしんでみたり心を痛めてみたり。
    そして、隼子の早すぎる経験を羨ましく思ってみたり。

    作中の『青春は一度しかない、残りの年月はただそれを思い出すだけ』という言葉に、うんうん。と何度も頷いてしまった私は、やっぱり、大人なんだな。なんて、ちょっと寂しく思ったりしました。

    だけど、この作品を、姫野さんの思惑通りに読み終えた私は、やっぱり、大人なんだな。なんて、ちょっとうれしく思ったりしました。

    • しらい弁当さん
      すごくステキな感想ですね
      もう一度、読み返した気持ちになります
      ホントに、誰かと似ているような気持ちになって
      閉めたはずのあの頃の記憶の蓋が...
      すごくステキな感想ですね
      もう一度、読み返した気持ちになります
      ホントに、誰かと似ているような気持ちになって
      閉めたはずのあの頃の記憶の蓋が開いちゃいますね。
      2022/06/16
  • 関西のどこか。小学生たちは集い、反発し、人を好きになり、中学生へ、高校生へと成長してゆく。多くの小学生の中で、スポットライトが当たるのは、森本隼子。もっと美形の子はいるのだけれど、なぜか人気がある。隼子は上級生と付き合いながらも、教師河村と関係を持ってしまう。そう禁断の恋。その恋と前と最中と後を濃密に描く。

    うーむ。面白い。面白すぎる。

    最初は多数の小学生が登場し、中学生になってゆくが、誰が誰のこと好きでとか、仲が良いとか悪いとか群像劇的に描かれる。

    その中から森本隼子が飛び出してゆくのだが、彼女、教師、周囲の心の機微が、尋常でないほど絶妙なタッチで表現される。あー、なんでおらの中学時代のごどごんなにわがんのだー、と思わず故郷の言葉が出てしまった。

    【男と女はちがう、こうちがう、と展開する随筆が、なかば世界の伝統芸的に人気があるから、すでに先人がのたまわれているだろうか。女は下半身の煩悩をほかの女と共感するより、上半身のそれを共感することで友情を感じ、男は上半身のそれより、下半身のそれをほかの男と共感するとき、友情を感じる、と。】

    うーむ。たしかにそうかもしれない。

    【以前からあまり教師のことはよく言わない三ツ矢が意外にも河村を褒めたので、末摘花(外見)の六条御息所(性格)に、さらにルクレチア・ボレジア(技術)が加わった。】

    末摘花の外見に六条御息所の性格!なるほど。

    【交換とは、実に発音のとおり、交歓である。指輪よりもノートをかわしあうほうが、「たかだか中学生」だったときのこの交歓のほうが、「たかだか」でなくなった年齢になっておこなった交歓よりもはるかに熱く官能的だったではないか。】

    作内では「交換ノート」になっているけれど、我が中学生時代の「交換日記」の甘酸っぱい記憶を思い出してしまった。嗚呼どうして女の子はいつも(以下省略)

    単なる少女ビカム大人の女ばなしではないし、禁断の恋オンリーでもない。「恋愛大河小説」といった感じ。最終章で明らかになる、その後がまたすごく良かった。

  • こんなに「続きが読みたい」と思うとは、思っていなかった。
    最初は独特のテンポや比喩のお陰で、何のことを言っているのか、どういう意味なのか分からなくて、しかも私が知らない言葉がこれでもかと出てきて、話の面白さとは別に読みにくいなーとは思った。
    新選組の喩えは好きなので分かりやすかった。

    小学校低学年から始まり、低学年なのにこんなに色恋のこと話題にしてたっけ、と思ったけど、思い出してみたらそんな会話してたなと。

    あとがきにも解説にもあったけど、これは大人が読んで面白い話。私のようにもう子供でもないけど、34歳の大人でもない年齢では、中途半端なのか、共感できるということはなかった。その代わり、過ぎ去った子供時代を思い出すことはできて、懐かしかった。
    大きくなったら、子供の時は気楽でいいなんて思うかもしれないけど、子供は子供でその世界が全てなんだし、子供だから大人の言ってることが分からないなんてこともない。ちゃんと考えてるし、感じている。だから「噂」になったら、もうその世界では生きていけないんだと思う。

    私は隼子みたいな大人びた子供の気持ちは分からないけど、河村先生が魅力的に見えるのは分かる。私が学生の頃は20代の先生ってほとんどいなかったけど、きっと若くて大人っぽくて落ち着いていて、それだけで憧れちゃうだろうなって。
    読んでいるうちに、中学生と先生が恋愛して何が悪いのかって思ってくる。それぐらい二人は惹かれてたのに。
    隼子が熱を出して先生に送ってもらうところや、美術準備室の場面がすごく好きだなあ。

    三ツ矢のような嫉妬する人間はどこにでもいる。そこじゃないでしょっていうところに、攻撃して、壊そうとする人間が。好きの度合いが高ければ余計に。だから客観的に自分を見られない人は怖い。

    隼子と先生は一旦別れたけど、その直前にお互いのことが好きだと実感していて、それが切なかった。私はもう二人のことを応援してしまっていたから、なんで離れないといけないのか全然わからなかった。

    最後、大人になってから再開するけれど、二人が幸せになるならそれは良かったのだけど、急に現実的というか、夢から醒めたような気になって、あぁ子供時代って特別なんだなーと思った


    この話の舞台はどこなんだろう、大阪や京都でないし、言葉を見る限り兵庫和歌山奈良も違うので、滋賀かな?
    セピア色がよく似合うお話。

    20161119

  • 誤解していた。
    この本は若い子向けだって。
    敬遠していた。
    けど、あとがきと解説に書いてあった。
    この作品を最もよく理解出来るのは、40代以上の大人でしょう、と。

    最初から違う。本当に途中まで、誰が主人公なのかわからない。
    だけど、懐かしくて堪らない。あの頃はそうだった。同級生達が全員、誰かと重なる。

    そして、一人浮かび上がってきた隼子。
    何を隠そう、私も早熟だった。海外アーティスト相手の妄想。英語の歌詞を訳して、勝手に自分への応援ソングにしてみたり。
    とにかく、隼子に関しては入り込んで読めたよ。

    初めてのシーンの河村先生は良いね♪23歳の男が余裕をなくし、「だめだ。俺、こいつにまいってる。」なんて。
    そして、墜落した二人は犯ってヤって犯ってヤって…やりまくって、体重減るまで(笑)
    それでも、純愛。お互いを思いやり、潔く別れを選ぶ。お互いを守るため、嘘をつき通す。
    こんなにも胸が痛い小説だったとは!

    そして20年後…こうなったらいいなぁ、を裏切らない結末。
    苦笑い出来たら大人の証拠らしいですが、泣き笑いはどっちですか?

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「胸が痛い小説だったとは!」
      表紙写真とタイトルに惹かれて購入したら、、、ブ厚さにメゲテお蔵入り中。。。
      胸が痛いと聞いたら、ますます読めな...
      「胸が痛い小説だったとは!」
      表紙写真とタイトルに惹かれて購入したら、、、ブ厚さにメゲテお蔵入り中。。。
      胸が痛いと聞いたら、ますます読めなくなりそう
      2013/04/16
    • さちろーさん
      コメント、いっぱいありがとうございます!!

      実は、私、本を読むの凄く早いんです。だから、この本位はラクラク。
      速読術をマスターした訳...
      コメント、いっぱいありがとうございます!!

      実は、私、本を読むの凄く早いんです。だから、この本位はラクラク。
      速読術をマスターした訳じゃないけど、長年の読書の賜物かな!?

      話が逸れましたが、この小説は胸が痛くなるけど、そのままじゃ終わらない強さ(都合の良さ?)があるから、安心して読んでみて下さい(^^)

      登場人物も多いので、誰に一番感情移入したのか聞きたいですし…。

      2013/04/17
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「長年の読書の賜物かな!?」
      素晴しい!
      私は、行き帰りの電車(片道10分)で読むのが殆どなので、どうしても長いのは後回しになっています。ま...
      「長年の読書の賜物かな!?」
      素晴しい!
      私は、行き帰りの電車(片道10分)で読むのが殆どなので、どうしても長いのは後回しになっています。まぁGWには長めの本を読むつもりなので、、、
      「そのままじゃ終わらない強さ(都合の良さ?)が」
      何だろう気になるなぁ(面白そう)
      2013/04/24
  • どこかで暮らす誰かのお話だと思ってしまうほど、仕舞い込んでいた心の奥を一瞬で蘇らせてきます。久々に読み返したくなって、2日で一気に読み終えた。やっぱり変わらぬ面白さ!はじめて読んだときは前半の長さに読むのをやめたくなったけど、読み進めていくと心を全部持ってかれる!恋愛小説とくくるには幅広く、多角的で、年月の重みも重い、もはやヒューマンドラマ。ていうか、みんなそれぞれの登場人物の誰かに共感する部分があるのではないでしょうか…。わたしはこの子みたいなこと思ってたなぁ…とか思いながら読みました。ラストをぼやっ…とあんなことあったメモリー的な雰囲気で終わらせるのではなく、ちゃんと結末を描いてピリオドが打たれているのも気持ちよかったです。この作品のあとに書かれた、お話の続きやもう少し掘り下げて描かれた短編集「桃」もとても印象的で、よかったのを覚えています。

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著者プロフィール

作家

「2016年 『純喫茶』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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